カプセルホテルと聞くと、「手軽に始められる宿泊業」という印象を抱く方も多いでしょう。確かに、従来のホテルと比べて初期投資は抑えられそうに見えます。ところが、実際に運営してみると、思わぬ落とし穴に直面することが珍しくありません。

客単価の低さから始まり、激しい価格競争、さらには季節による売上の大きな変動など、この業界には独特の厳しさがあります。設備投資が予想以上に膨らんだり、思うように稼働率が上がらなかったりして、投資した資金を回収できずに困っている方からのM&A(売却)の相談もあります。

この記事では、カプセルホテル運営の現実について詳しく解説していきます。

カプセルホテルは儲かる?

カプセルホテル

率直に申し上げると、カプセルホテルの収益性は立地条件と運営手法によって大きく変わってきます。一般的には、従来のホテルと比べて初期投資を抑えられる分、客単価も低く設定されるため、思うような利益を確保するのは簡単ではありません。

確かに、参入時の設備投資は抑えられるかもしれません。けれども、いざ運営を始めてみると、想像以上に多くの経営課題が表面化してきます。特に都市部では、同業他社との価格競争が年々厳しくなっており、稼働率を維持するために料金を下げざるを得ない状況が続いています。

人件費や光熱費といった運営コストは、実は従来のホテルとそれほど変わりません。むしろ、24時間営業が基本となるため、人件費の負担は重くなりがちです。こうした構造的な問題により、思うような収益を上げられない事業者が多いのが現実です。

カプセルホテルの主な運営課題

カプセルホテル経営で最も頭を悩ませるのは、低い客単価と高い運営コストのバランスです。通常、カプセルホテルの宿泊料金は1泊2000円から4000円程度。この価格帯で十分な利益を確保するには、相当高い稼働率が必要になります。

人件費の問題は深刻です。24時間体制での営業が基本となるカプセルホテルでは、どうしても夜間の人件費負担が重くなります。最低賃金の上昇も相まって、運営コストは年々増加しています。また、清掃やメンテナンスにかかる時間も、通常のホテルより長くなる傾向があり、これも人件費を押し上げる要因となっています。

さらに、設備投資の回収にも時間がかかります。カプセルホテルはシンプルな構造に見えますが、実際には空調設備、照明システム、セキュリティ設備など、多くの設備が必要です。これらの設備は定期的な更新が必要で、その費用が経営を圧迫することもあります。

また、法的な規制への対応や競合他社との差別化の問題もあります。旅館業法や建築基準法、消防法など、様々な法規制に適合するための設備投資や運営体制の構築が求められます。また、民泊や旅館、ホテルなどとの競合があり、サービス内容に大きな差がつけにくいため、結果的に価格競争に陥りやすい構造になっています。

カプセルホテル投資の利回り

カプセルホテル投資の実質利回りは、年間3%から8%程度というのが一般的な水準です。この数値は立地条件や運営効率によって大きく左右されるため、投資判断の際には慎重な検討が必要です。

都心部の好立地であれば、年間稼働率80%以上を維持できる場合もありますが、その分土地代や賃貸料が高額になるため、実質的な利益率は期待値を下回ることが多いのが現状です。逆に、地方都市や郊外では土地代は安く済むものの、集客力の確保が困難で稼働率が50%を下回るケースも珍しくありません。

投資利回りを計算する際に見落としがちなのが、設備の更新費用や修繕費です。カプセルホテルは狭い空間に多くの設備が集約されているため、一箇所が故障すると連鎖的に修理が必要になることがあります。さらに、清掃や消毒にかかる人件費も年々増加傾向にあり、これらの運営コストが利回りを圧迫する要因となっています。

他の宿泊施設と比べて収益性はどう違う?

利回り

カプセルホテルの収益性を他の宿泊施設と比較すると、明確な差異が見えてきます。カプセルホテルは客単価が低い反面、客室数を多く確保できるという特徴があります。しかし、この特徴が必ずしも高収益につながるとは限りません。

各宿泊施設の収益構造を詳しく分析すると、カプセルホテルは売上高に対する運営コストの比率が高く、利益率の確保が困難な業態であることが分かります。特に、人件費や光熱費などの固定費負担が重く、稼働率が下がった際の収益への影響が大きいのが特徴です。

ビジネスホテル

ビジネスホテルとカプセルホテルの収益性を比較すると、ビジネスホテルの方が安定した収益を確保しやすい傾向があります。ビジネスホテルの平均客単価は6000円から12000円程度であり、カプセルホテルの2倍から3倍の料金設定が可能です。

ビジネスホテルの最大のメリットは、個室を提供することで付加価値を高められる点です。会議室の利用やレストランでの食事、ランドリーサービスなど、様々な付帯サービスを提供することで客単価を向上させることができます。また、法人契約による安定した収益基盤を築きやすいのも特徴です。

運営面においても、ビジネスホテルは清掃や管理が比較的容易で、人件費効率が良いという特徴があります。カプセルホテルのように狭い空間に多くの設備が集約されていないため、メンテナンスコストも抑えられます。

一方で、ビジネスホテルは初期投資額がカプセルホテルより高額になる傾向があります。しかし、投資回収期間で考えると、高い客単価により安定した利益を確保できるため、長期的な視点では収益性が優れています。
関連:ホテル投資の平均利回りは何%?利回りを改善させるための方法は?

民泊

民泊事業とカプセルホテルを比較すると、民泊の方が初期投資を抑えやすい反面、法的な制約が多いという特徴があります。民泊の平均客単価は立地や設備によって大きく異なりますが、一般的には8000円から20000円程度と幅広い価格設定が可能です。

民泊を運営するは、既存の住宅を活用できるため初期投資を大幅に抑えられることです。家具や家電を揃えるだけで営業を開始できるため、カプセルホテルのような大掛かりな設備投資が不要です。

また、民泊は個性的な空間を提供できるため、差別化が図りやすいという特徴があります。古民家やデザイナーズマンションなど、独特の雰囲気を持つ物件であれば、高い客単価を設定することも可能です。しかし、民泊には営業日数の制限や近隣住民への配慮など、運営上の制約が多く存在します。また、清掃や管理を外部業者に委託する場合のコストも考慮する必要があります。

収益性の面では、民泊は稼働率が安定しない傾向があります。観光需要に大きく左右されるため、閑散期には大幅な収益減少が避けられません。一方で、カプセルホテルは出張などのビジネス需要も取り込めるため、比較的安定した稼働率を維持しやすいという特徴があります。
関連:【利回り8〜18%】民泊投資とは?リスクや失敗しないための方法など解説

アパートメントホテル

アパートメントホテルは、カプセルホテルと比較して客単価が高く、長期滞在による安定収益を期待できる業態です。平均客単価は8000円から20000円程度であり、週単位や月単位での利用により客単価をさらに向上させることができます。

アパートメントホテルの特徴は、キッチンや洗濯機などの生活設備を完備することで、長期滞在者のニーズに応えられる点です。これにより、出張や研修などの長期滞在需要を確実に取り込むことができます。清掃頻度がカプセルホテルより少なく済むため、人件費を抑えることができます。週単位での清掃が基本となるため、日々の清掃コストが大幅に削減されます。

また、初期投資額はカプセルホテルより高額になりますが、客単価の高さと長期滞在による安定収益により、投資回収期間は比較的短縮できます。ただし、アパートメントホテルは室数が限られるため、総売上高ではカプセルホテルに劣る場合があります。また、設備の維持管理コストが高く、特に家電製品の故障や交換費用が経営を圧迫する要因となることがあります。
関連:アパートメントホテル投資の始め方とは?メリット、デメリットなど解説!

旅館

旅館業とカプセルホテルを比較すると、旅館の方が高い客単価を設定できる反面、運営コストも高額になる傾向があります。旅館の平均客単価は立地やサービス内容によって大きく異なりますが、一般的には10000円から30000円程度と、カプセルホテルの5倍から10倍の料金設定が可能です。

旅館の収益性の特徴は、食事サービスや温泉などの付帯サービスにより高い付加価値を提供できる点です。団体客や宴会需要を取り込むことで、客単価をさらに向上させることができます。旅館は日本の伝統的な文化を体験できる施設として、外国人観光客からの人気が高く、インバウンド需要を取り込みやすいという特徴があります。

しかし、旅館は人件費負担が非常に重く、特に調理スタッフや接客スタッフの確保が困難な地域では運営が困難になる場合があります。また、建物の維持管理費用も高額であり、特に温泉設備がある場合は専門的なメンテナンスが必要になります。

近年は後継者不足により廃業する旅館も多く、業界全体が縮小傾向にあります。一方で、カプセルホテルは比較的新しい業態であり、まだ成長の余地があるという見方もあります。
関連:旅館経営が厳しいと言われる理由とは?経営を立て直すための方法など開設!

カプセルホテルの売上が左右される原因は?

投資

カプセルホテルの売上は、外部環境の変化に非常に敏感に反応する特徴があります。これは、カプセルホテルの利用者層が比較的限定されており、需要の変動が直接的に売上に影響するためです。

売上変動の要因を理解することは、カプセルホテル経営の成功にとって極めて重要です。特に、季節変動や競合他社の動向、マーケティング戦略の効果などが複合的に作用するため、これらの要因を総合的に分析する必要があります。

季節やイベントなどによる旅行需要の変動が大きい

カプセルホテルの売上は、季節変動や大型イベントの有無によって大きく左右されます。

春の桜シーズンや夏の花火大会、年末年始などの繁忙期、コンサートや展示会、スポーツイベントなどが開催される際は、周辺のカプセルホテルは一時的に高い稼働率を記録することもあります。

さらに、ビジネス需要も季節変動の影響を受けることがあります。

新規参入の増加による価格競争が激しい

カプセルホテル業界は参入障壁が比較的低いため、新規参入者が多く、価格競争が激化しています。特に都市部では、同じエリアに複数のカプセルホテルが開業することで、料金の値下げ競争が繰り広げられています。

特に新規参入者の多くは、既存のカプセルホテルより低価格で営業を開始する傾向があります。これにより、既存のカプセルホテルも料金を下げざるを得ず、業界全体の収益性が悪化する悪循環が生じています。

さらにフランチャイズ展開により新規参入のハードルが更に下がっています。フランチャイズシステムにより、経験のない事業者でも比較的容易にカプセルホテル経営に参入できるため、競合他社の増加に拍車をかけています。

広告・集客力が売上に直結しやすい

カプセルホテルの売上は、広告や集客力に大きく依存しています。特に、インターネット上での露出度や口コミ評価が直接的に予約数に影響するため、マーケティング戦略の成否が経営を左右しています。

予約サイトでの上位表示は、稼働率向上に直結します。しかし、主要な予約サイトでは手数料が10%から20%程度発生するため、利益率が低いカプセルホテルにとっては大きな負担となります。

特にMEO対策や検索エンジン対策(SEO対策)も重要な要素です。ホームページの検索順位が低いと、直接予約の獲得が困難になり、予約サイトへの依存度が高まります。そのため、手数料負担が増加し、利益率が更に悪化する可能性があります。多くのカプセルホテルがこれらの対策を行なっていないため競争優位性になると言えます。

サービスの質が低く、口コミ評価が悪い

サービス品質の低さは、カプセルホテルの売上を直接的に左右する重要な要因です。特に、清掃の不備や設備の故障、スタッフの対応不良などが口コミサイトで拡散されると、予約数の大幅な減少につながります。

カプセルホテルは狭い空間に多くの利用者が宿泊するため、清掃の重要性が特に高くなります。しかし、人件費を抑えるために清掃時間を短縮したり、清掃スタッフの教育を怠ったりすると、清潔感の維持が困難になります。

また、設備のメンテナンス不足やアメニティの質や種類も評価に影響します。タオルの品質が悪い、シャンプーが安価なもの、歯ブラシが提供されないなど、細かい部分でのサービス不足が利用者の不満につながり、口コミ評価の低下を招きます。短期的には利益率が減少するかも知れませんが、長期的に見ると大きなメリットとなります。

カプセルホテル投資の資金の回収が難しい時は?

リスク

カプセルホテル投資における資金回収の困難さは、業界特有の構造的な問題に起因しています。一般的に、カプセルホテルの投資回収期間は8年から12年程度とされていますが、実際にはこの期間を大幅に超える場合が多いのが現実です。

資金回収が困難になる要因は複数あり、これらの要因が重なることで更に深刻な状況に陥ることがあります。特に、開業後の想定外の出費や外部環境の変化により、当初の事業計画が大幅に狂うケースが頻発しています。投資家や経営者にとって、これらのリスク要因を事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

稼働率が低迷し売上不足の時

稼働率の低迷は、カプセルホテル投資の資金回収を困難にする最も直接的で深刻な要因です。一般的に、カプセルホテルの損益分岐点は稼働率65%から75%程度とされており、この水準を下回ると赤字経営に陥ります。

稼働率が50%を下回る状況が継続すると、固定費の負担が重くなり、資金繰りが急速に悪化します。特に、人件費や光熱費、家賃などの固定費は稼働率に関係なく発生するため、売上減少の影響が利益に直結します。

稼働率低迷の主な原因として立地選択の失敗と季節変動、マーケティング戦略の失敗の3つが挙げられます。

立地選択の失敗の場合は、駅からの距離が遠い場合、徒歩10分を超えると利用者数が大幅に減少する傾向があります。また、周辺にオフィスビルや観光地がない場合、需要の基盤となる利用者層が確保できません。競合他社が多い立地では、価格競争に巻き込まれやすく、結果として稼働率と客単価の両方が低下する悪循環に陥ります。

季節変動の影響の場合は、観光需要に依存する立地にカプセルホテルがある場合が特に影響されます。オフシーズンの稼働率が20%から30%程度まで低下することがあり、年間を通じた平均稼働率が大幅に下がります。特に、冬季や梅雨時期には観光客が減少し、ビジネス需要だけでは十分な稼働率を確保できません。

マーケティング戦略の失敗は、ターゲット層の設定が不適切だった場合、効果的な集客ができません。例えば、ビジネス客をターゲットにしているにも関わらず、観光地近くに立地している場合、ミスマッチが生じます。

価格競争で客単価が下落した時

価格競争による客単価の下落は、カプセルホテル投資の収益性を大幅に悪化させる深刻な要因です。特に、同じエリアに複数のカプセルホテルが開業すると、価格競争が激化し、業界全体の収益性が悪化します。

新規参入が生じた場合低価格戦略により、既存のカプセルホテルも料金を下げざるを得ないということも起きます。新規参入者は認知度向上のため、開業当初は採算を度外視した低価格設定を行うことが多く、これが業界全体の価格水準を押し下げる要因となっています。

そのため、予約サイトでの価格表示順位も客単価に大きな影響を与えます。多くの予約サイトでは低価格順に表示されるため、適正価格を維持しようとするホテルの予約数が減少し、結果的に料金を下げざるを得なくなります。予約サイトの手数料を考慮すると、実質的な客単価は更に低下することがあります。

設備投資が想定以上に膨らんだ時

設備投資の予算超過は、カプセルホテル投資の資金回収を困難にする重要な要因です。特に、建築や内装工事の段階で想定外の費用が発生することが多く、当初の事業計画を大幅に見直す必要が生じます。

建築基準法や消防法などの法的要件を満たすための追加工事が必要になるケースがあります。これらの法的要件は地域によって異なり、事前の調査が不十分だと大幅な追加費用が発生します。

配管や電気工事の費用も想定以上に膨らむことがあります。特に、古い建物を改修してカプセルホテルにする場合、配管の全面的な交換や電気容量の増設が必要になることがあり、当初予算よりも多くの費用がかかることもあります。

空調設備の費用も大きな負担となります。カプセルホテルは狭い空間に多くの利用者が宿泊するため、高性能な空調設備が必要ですが、これらの設備は高額であり、メンテナンス費用も継続的に発生します。

景気悪化や外部環境が悪い時

景気悪化や外部環境の悪化は、カプセルホテル投資の資金回収を困難にする外的要因です。特に、経済情勢の変化により出張需要や観光需要が減少すると、カプセルホテルの稼働率が大幅に低下します。

新型コロナウイルスの影響は、カプセルホテル業界に深刻で長期的な打撃を与えました。感染対策のための設備投資として、各カプセルの消毒設備、空気清浄機の設置、非接触型チェックインシステムの導入などで追加投資が必要になりました。

さらに、自然災害の影響も無視できません。地震や台風などの自然災害により、一時的に営業停止を余儀なくされたり、復旧費用が発生したりすることがあります。これらの費用は保険でカバーされない場合があり、資金回収に大きな影響を与えます。東日本大震災や熊本地震では、多くの宿泊施設が長期間の営業停止を余儀なくされ、復旧に数年を要したケースもありました。

デメリットだけでなく、メリットもあります。近年はインバウンド需要の増加により、ホテル・民泊などの需要が増加しており、以前よりも高利回りを獲得しているケースもあります。

開業後に運転資金が不足した時

開業後の運転資金不足は、カプセルホテル投資の資金回収を困難にする最も深刻で切迫した問題です。特に、開業直後は認知度が低く稼働率が安定しないため、想定以上の運転資金が必要になることがあります。

開業後3か月から6か月程度は、集客が軌道に乗るまでの期間として赤字が続くことが一般的です。しかし、この期間が予想以上に長引くと、運転資金が枯渇し、営業継続が困難になります。新規開業のカプセルホテルでは、稼働率が安定するまでに平均して8か月から12か月程度かかることが多く、この期間の運転資金を十分に確保していない場合、深刻な資金繰り悪化に陥ります。

人件費の負担も大きな問題となります。24時間営業のカプセルホテルでは、開業当初から一定数のスタッフを雇用する必要がありますが、稼働率が低い期間は人件費が売上を上回る状況が続きます。50室規模のカプセルホテルでは、最低でも3名から4名のスタッフが必要で、月間人件費は200万円以上かかります。

設備の故障や修理費用も想定外の出費となります。開業直後は設備の初期不良が発生することが多く、空調設備の故障、給排水設備のトラブル、電気系統の不具合などで高額な修理費用が発生します。これらの費用は保証期間内であっても、営業に支障をきたし、機会損失につながることがあります。また、修理期間中の代替設備費用や清掃費用の増加なども負担となります。

もし投資資金を回収できないと感じたらどうすればいい?

カプセルホテル投資の資金回収が困難になった場合、早期の対応が極めて重要です。問題を放置すると状況が更に悪化し、最終的には大きな損失を被る可能性があります。

資金回収が困難になった際の対応策は複数あり、それぞれの状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。重要なのは、感情的な判断を避け、客観的なデータに基づいて冷静に判断することです。また、単一の対策ではなく、複数の改善策を組み合わせることで、より効果的な結果を得られる場合が多いのも特徴です。

M&A仲介を使用してカプセルホテルを売却する

M&A仲介を活用したカプセルホテルの売却は、資金回収が困難になった際の有効で現実的な選択肢の一つです。特に、立地条件が良好で物件自体に価値がある場合、売却により初期投資の一部を回収できる可能性があります。

M&A仲介業者は、カプセルホテルの買収に興味を持つ投資家や事業者とのネットワークを持っています。これにより、個人では見つけることが困難な買い手を見つけることができ、適正価格での売却が期待できます。特に、ホテル業界に特化したM&A仲介業者では、業界の動向を熟知しており、最適なタイミングでの売却提案が可能です。

売却価格の算定においては、立地条件、建物の状態、営業実績、競合状況、将来性などが総合的に評価されます。赤字経営であっても、駅近の好立地や将来的な再開発が予定されている地域では、土地や建物に価値がある場合は、一定の価格で売却できることがあります。また、稼働率が低くても、運営方法の改善により収益性向上が見込める場合は、買い手にとって魅力的な投資対象となります。

売却のタイミングも重要な要素です。業界全体の景気が良い時期、インバウンド需要が回復している時期、周辺地域の開発が進んでいる時期に売却することで、より高い価格での売却が期待できます。特に、東京オリンピック前のように宿泊需要が高まっている時期は、売却に有利なタイミングとなります。

ただし、M&A仲介には手数料が発生します。一般的に、売却価格の3%から10%程度の手数料がかかるため、手数料を考慮した実質的な回収額を計算する必要があります。また、売却手続きには3か月から6か月程度の期間が必要であり、その間の運転資金も確保しておく必要があります。

DX化によって運営コストを削減する

DX化(デジタル化)による運営コストの削減は、カプセルホテルの収益性改善に効果的で持続可能な方法です。特に、人件費の削減や業務効率の向上により、利益率を大幅に改善できる可能性があります。

セルフチェックインシステムの導入により、フロント業務を大幅に自動化することができます。これにより、24時間体制のスタッフ配置が不要になり、人件費を月間100万円から150万円程度削減できます。最新のセルフチェックインシステムでは、パスポートや身分証明書の自動読み取り、決済処理、鍵の自動発行まで対応しており、利用者の利便性も向上することも可能です。

清掃管理システムの導入も効果的です。客室の利用状況をリアルタイムで把握し、効率的な清掃スケジュールを組むことで、清掃時間の短縮と品質の向上を同時に実現できます。IoTセンサーを活用した在室管理システムにより、清掃が必要な部屋を自動的に識別し、清掃スタッフのムダな移動を削減できます。

さらに、予約管理システムの最適化により、収益管理を大幅に改善することができます。需要予測に基づく動的な価格設定や、空室率を最小化する予約配分により、売上の最大化を図ることができます。AIを活用した収益管理システムでは、過去の予約データや市場動向を分析し、最適な料金設定を自動的に行います。これにより、売上を10%から20%向上させることが可能です。

加えて、利便性を向上させるサービスの充実も効果的です。コインランドリーの設置により、長期滞在者のニーズに応えることができます。軽食や飲み物の販売により、利用者の利便性を高めながら追加収益を得ることも可能です。荷物預かりサービスや高速Wi-Fi環境の提供なども、利用者満足度の向上につながります。

ホテルコンサルティングを使用する

ホテルコンサルティングの活用は、カプセルホテル経営の改善において非常に有効な手段です。外部の専門家による客観的な分析と改善提案により、自社では見つけることが困難な問題点や改善機会を発見できます。

例えば経営診断では、現状の問題点を体系的に把握することができます。稼働率や収益性の分析により、効率的な運営方法を見つけることができます。競合他社との比較により、自社の強みや改善点を明確化することも可能です。コスト構造の分析では、人件費や光熱費などの運営費最適化案を得ることができます。

マーケティング戦略の見直しも重要な改善領域です。現在の利用者データを詳細に分析し、最も収益性の高い顧客層を特定することで、効果的なターゲティングが可能になります。また、適切な料金設定や集客方法の改善により、稼働率と収益性の向上を図ることができます。

ただし、コンサルティングには相応の費用がかかります。月額数十万円から数百万円程度の費用が発生するため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。また、コンサルティング会社の実績や専門性を十分に確認し、自社の状況に適した提案ができる会社を選択することが重要です。

まとめ

カプセルホテルの収益性について詳しく解説してきましたが、この業態は客単価の低さと高い運営コストにより、安定した利益確保が困難な構造的な問題を抱えています。

年間利回りは3%から8%程度にとどまり、ビジネスホテルや旅館と比較すると収益性で劣る傾向があります。また、季節変動や競合他社の価格競争、外部環境の変化に売上が大きく左右されやすく、投資資金の回収期間が長期化するリスクが高いのが実情です。

しかし、資金回収が困難になった場合でも、M&A仲介による売却、DX化によるコスト削減、サービス品質向上による単価アップ、専門コンサルティングの活用など、様々な改善策が存在します。

重要なのは、カプセルホテル投資の現実を正確に理解し、十分な資金余力を確保した上で事業に取り組むことです。また、問題が発生した際は早期に適切な対策を講じることで、投資損失を最小限に抑えることができます。

投資を検討されている方は、これらのリスク要因を十分に考慮した事業計画を策定し、既に経営されている方は、自社の課題を客観的に分析して最適な改善策を選択することをおすすめします。

\AIを活用した最先端の民泊特化のM&A仲介/
\   日本総合政策ファンド    /

民泊購入の無料相談についてはこちら! ▶︎