民泊事業を始めたものの「思ったより経費がかかる」「収益が上がらない」とお悩みではありませんか?多くの民泊オーナーは初期費用に意識が向きがちですが、実は長期的な収益を左右するのは月々のランニングコストです。

固定費や変動費の適切な把握と管理ができていないと、せっかくの投資が水の泡になりかねません。本記事では、民泊経営に必要な費用項目を詳しく解説します。

民泊のランニングコストには何が含まれる?

ランニング

民泊事業を運営する際に頭を悩ませるのが、毎月発生するランニングコストです。収益を安定させるためには、これらの費用を正確に把握し、適切に管理することが不可欠です。特に初めて民泊事業に参入する方は、想定外の出費に驚くことも少なくありません。

民泊のランニングコストは大きく「固定費」と「変動費」に分けられます。

固定費

固定費は、稼働率や売上に関係なく毎月一定額が発生する費用です。安定した経営のためには、これらの費用を最小限に抑えることが重要です。

物件の賃料・ローン返済は民泊運営において最も大きな固定費となります。賃貸物件の場合は毎月の家賃、購入物件であればローンの返済額が該当します。

また、賃貸物件の場合は契約更新時に更新料が発生するほか、敷金・礼金といった初期費用も考慮しておく必要があります。物件購入の場合は、固定資産税や都市計画税などの税金も忘れずに計算しましょう。

さらに、マンションやアパートなどの集合住宅では、管理費や修繕積立金が毎月発生します。これらは物件の維持管理や将来的な大規模修繕のための費用として、所有者や入居者が負担するものです。

通信費としてはWi-Fi環境の提供が必須となります。宿泊者にとって高速インターネット接続は基本的なサービスとなっているため、安定した回線を確保することが重要です

変動費

変動費は、宿泊者数や稼働率に応じて増減する費用です。売上が増えれば比例して上がりますが、逆に予約がない月は抑えることができる費用でもあります。

清掃費は最も代表的な変動費です。宿泊者が入れ替わるたびに発生するため、稼働率が上がれば比例して増加します。一般的に1回の清掃で5,000円〜15,000円程度かかりますが、物件の広さやサービス内容によって異なります。自分で清掃する場合でも、洗剤や掃除用具などの消耗品費用は計上しておくべきです。

アメニティ費用も稼働率に比例して増える費用です。シャンプー、ボディソープ、歯ブラシ、タオルなどの消耗品は、宿泊者数に応じて補充が必要になります。

光熱費(電気・ガス・水道)は季節や宿泊者の使用量によって大きく変動します。特に夏季や冬季は冷暖房の使用で電気代が高騰することがあるため、余裕を持った予算設定が必要です。

リネン類(シーツ、枕カバー、布団カバーなど)のクリーニング費用も忘れてはならない変動費です。宿泊者ごとに交換する必要があるため、稼働率に応じて費用が増減します。

予約サイト(OTA)の手数料は、予約が入るたびに発生する典型的な変動費です。Airbnbなどの主要なプラットフォームでは、宿泊料金の3%〜15%程度が手数料として差し引かれます。複数のサイトを利用している場合は、それぞれの手数料率を把握しておくことが重要です。

消耗品の補充・交換費用も見落としがちな変動費です。電球、バッテリー、調理器具など、使用頻度に応じて劣化する物品の交換費用は、宿泊者数が増えるほど頻繁に発生します。

運営コストが適切ではないとどうなる?

適切ではない 失敗

民泊運営において適切なコスト管理は事業の成否を分ける重要な要素です。多くのオーナーは初期費用には注意を払いますが、継続的に発生するランニングコストの管理が不十分なケースが少なくありません。適切なコスト管理ができていない場合、様々な問題が次々に発生します。

コスト管理の失敗は単なる収益の減少にとどまらず、サービス品質の低下やビジネスの持続可能性にまで影響を及ぼします。具体的にどのような問題が生じるのか、詳しく見ていきましょう。

民泊投資の収益性が低下する

運営コストの管理が不適切だと、真っ先に収益性の低下という形で問題が表面化します。特に予想外の費用が発生した場合、収支計画が大きく狂う可能性があります。

例えば、アメニティや消耗品の購入を適切に管理せず、高額な商品を不必要に多く仕入れてしまうと、宿泊料金に見合わない出費となります。また、清掃業者との契約内容を精査せずに高額なプランを選択していると、毎回の清掃で余計なコストがかかってしまいます。

さらに深刻なのは、固定費の見誤りです。物件購入時に修繕積立金や管理費などの固定費を適切に計算に入れていなかった場合、想定していた利回りを大きく下回る結果となります。特に古い物件では、水回りや電気設備のトラブルが多発し、予想外の修繕費用がかさむことがあります。

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レビューが悪化する

コスト削減が行き過ぎると、サービス品質の低下を招き、ゲストからのレビュー評価に直接影響します。オンライン予約サイトでのレビュースコアは、新規予約獲得の重要な要素であり、評価の低下は深刻な問題です。

例えば、コスト削減のためにアメニティの質を落としたり、清掃頻度を減らしたりすると、「清潔感がない」「必要な物が揃っていない」といった不満につながります。特に冷蔵庫の中の古い食品や、前の宿泊者のゴミが残っているといった基本的な清掃の問題は、レビューで厳しく指摘されます。

また、Wi-Fi環境を削減したり、冷暖房の使用を制限したりすることも、現代の宿泊施設としては致命的な問題です。「インターネットが繋がらない」「夏なのに部屋が暑すぎる」といったコメントは、今後の予約に大きな影響を与えます。

弊社の調査によるとレビュースコアが4.5以上と4.0以下では、予約率に30%以上の差が出るということもあります。一度低下したレビュースコアを回復させるには、何倍もの労力とコストがかかることを認識しておくべきです。

競争力が低下する

適切なコスト管理ができていないと、価格設定の柔軟性が失われ、市場における競争力が低下します。特に観光地や都市部など、民泊物件が集中している地域では、この問題が顕著に表れます。

例えば、ランニングコストが高い場合、競合物件と同等の価格設定ができなくなります。逆に価格を下げれば収益性が悪化するという悪循環に陥ります。季節変動や大型イベント時の価格調整なども、コスト管理が不十分だと適切に行えません。

また、コスト管理の失敗は設備投資や改装などの機会損失にもつながります。競合物件がサービス向上のための投資を続ける中、必要な更新や改善ができなければ、徐々に見劣りする物件になってしまいます。

売却する際の価値の評価が悪くなる

民泊投資は最終的に物件の売却という出口戦略も考慮する必要があります。ランニングコストの管理が不適切だと、物件の価値評価にも悪影響を及ぼします。

適切なメンテナンスや修繕が行われていない物件は、売却時に大幅な価格下落を招きます。壁紙の汚れ、床材の劣化、水回りの不具合などは、売却前に修繕する必要が生じ、結果的に売却利益を圧迫します。

また、民泊物件の価値は、その収益性にも大きく左右されます。ランニングコスト管理の不備により収益性が低い物件は、投資物件としての魅力が低下し、売却時の価格交渉で不利な立場に立たされます。

さらに、民泊運営の収支記録が不明瞭だと、買い手からの信頼を得られず、売却交渉が難航することもあります。透明性の高い収支管理と適切なコスト分析は、売却時の重要な交渉材料となります。

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民泊運営にかかる月々の費用相場は?

内訳

民泊事業の収益性を正確に予測するには、月々のランニングコストを具体的な数字で把握することが重要です。

地域や物件タイプによって費用は大きく異なりますが、一般的な相場感を知ることで、より現実的な事業計画が立てられます。ここでは、各費用項目の相場と変動要因について詳しく解説します。

家賃と共益費

民泊運営において最も大きな固定費となるのが物件の家賃です。立地条件や物件のグレードによって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

都心部の場合、ワンルームマンションで月額7〜15万円、1LDKで10〜20万円程度が目安となります。特に観光地や駅近の物件は高額になる傾向があります。一方、地方都市では都心部より3〜5万円程度安くなるケースが多いです。

共益費(管理費・修繕積立金)は物件の規模や築年数によって異なりますが、月額5,000円〜15,000円程度が一般的です。高級マンションの場合はさらに高額になることもあります。賃貸物件の場合は家賃に含まれていることもありますが、区分所有の場合は別途支払いが必要です。

光熱費

民泊の光熱費は一般的な住居より高めになる傾向があります。これは、宿泊者が「自分の家ではない」という意識から、電気や水道の使用量に無頓着になりがちだからです。

電気代は季節によって大きく変動し、夏季と冬季は特に高額になります。1LDK程度の物件で月額5,000円〜15,000円が相場ですが、冷暖房を頻繁に使用する季節には20,000円を超えることもあります。特に外国人宿泊者は日本人より冷暖房の使用量が多い傾向があるため、注意が必要です。

水道代は月額3,000円〜7,000円程度が一般的です。宿泊者数が多い物件や、バスタブがある物件は水道使用量が増加します。特に長期滞在者の場合、洗濯機の使用頻度も高くなるため、水道代は比例して上がります。

ガス代は月額3,000円〜8,000円程度が相場です。ガスコンロやガス給湯器を使用する物件では、電気のみの物件と比べて費用が発生します。オール電化物件の場合はガス代は不要ですが、その分電気代が高くなることを考慮する必要があります。

インターネット回線費用の場合は、月額4,000円〜6,000円程度の費用がかかります。複数の宿泊者が同時に使用することを想定し、安定した高速回線を選ぶことをお勧めします。

清掃費用

清掃費は宿泊者の入れ替わりごとに発生する主要な変動費です。清掃の質は宿泊者の満足度に直結するため、適切な予算配分が必要です。

一般的な相場は、ワンルームで1回あたり5,000円〜8,000円、1LDKで8,000円〜12,000円程度です。高級物件や広い間取りの場合はさらに高額になります。

清掃費用は稼働率に比例して増加するため、月間の総額は予約状況によって大きく変動します。

自己清掃を行う場合でも、自分の時間コストを適切に評価することが重要です。1回の清掃に2〜3時間かかると仮定すると、月に24〜36時間の労働時間となります。時給換算して適切な評価をしましょう。

また、定期的なディープクリーニング(エアコン内部、排水口、換気扇など)の費用も計上する必要があります。年に2〜4回程度、1回あたり15,000円〜30,000円の費用を見込んでおくと良いでしょう。

消耗品

消耗品費は宿泊者数に比例して増加する変動費の一つです。快適な宿泊体験を提供するために必要な費用として適切に計上しましょう。

アメニティ(シャンプー、ボディソープ、歯ブラシなど)は宿泊者1人あたり500円〜1,500円程度が相場です。高級アメニティを提供する場合はさらに高額になりますが、宿泊料金に見合った品質を選ぶことが重要です。

寝具類(シーツ、枕カバー、タオル類)のクリーニング費用は、セットあたり1,000円〜3,000円程度です。自前の洗濯機で対応する場合も、水道光熱費と洗剤代、さらに時間コストを考慮する必要があります。

トイレットペーパーや洗剤、ゴミ袋などの日用品は月額3,000円〜5,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。これらは大量購入でコストダウンできる項目でもあります。

また、季節に応じた消耗品(加湿器のフィルター、蚊取り線香など)や、緊急時用品(懐中電灯、救急箱など)の補充費用も計上しておくことをお勧めします。

管理費用

民泊の運営管理には様々な業務が発生します。これらを外部委託する場合の費用相場は以下の通りです。

鍵の受け渡し代行サービスは、1回あたり3,000円〜5,000円が一般的です。スマートロックを導入することで、この費用を削減できます。スマートロックのレンタル料は月額3,000円〜5,000円、購入する場合は15,000円〜30,000円程度の初期投資が必要です。

緊急対応サービス(トラブル対応)は、月額固定費として5,000円〜10,000円、または1回あたり5,000円〜15,000円の従量制が一般的です。深夜や休日の対応は割増料金となることが多いです。

運営代行サービスをフルパッケージで利用する場合は、売上の15%〜30%程度が相場です。これには予約管理、ゲスト対応、清掃手配、トラブル対応などがすべて含まれます。物件の立地や規模によって料率は変動します。

保険料も重要な管理費用の一つです。民泊専用保険は年間30,000円〜100,000円程度で、火災保険に加えて、宿泊者の怪我や物件損壊のリスクをカバーします。通常の火災保険では民泊利用時のトラブルがカバーされないケースが多いため、専用保険への加入をお勧めします。

プラットフォームの手数料

民泊を運営する上で避けて通れないのが、予約プラットフォーム(OTA)への手数料です。OTAは集客に必須なサービスであり、売上に直結する重要なコストとなります。

Airbnbの場合、ホスト手数料は宿泊料金の3%が基本です。ただし、厳密にはホストの手数料体系によって異なる場合があります。スーパーホストなど特定条件を満たすと割引される場合もあります。

Booking.comでは、手数料率は15%〜20%と比較的高めですが、露出度が高く集客力があるというメリットがあります。契約内容や地域によって料率は変動します。

複数のプラットフォームを併用する場合は、それぞれの手数料構造を理解し、戦略的に活用することが重要です。

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民泊のランニングコストを削減するためにはどうすればいい?

民泊物件

民泊事業を長期的に成功させるためには、収益性の向上が不可欠です。その鍵となるのが効果的なコスト削減策の実施です。ただし、単純な経費削減はサービス品質の低下を招き、結果的に評価の悪化や稼働率の低下を引き起こす恐れがあります。重要なのは「賢い節約」と「効率化」の両立です。

コスト削減と顧客満足度を両立させるための具体的な方法を見ていきましょう。

節電・節水対策で光熱費を抑える

民泊運営において光熱費は大きな変動費です。特に宿泊者は「自分の家ではない」という意識から、節電・節水の意識が低くなりがちです。しかし、適切な対策を講じることで、サービス品質を落とさずに大幅なコスト削減が可能です。

省エネ家電への切り替えは、初期投資はかかるものの、長期的に見れば大きな節約につながります。特に冷蔵庫やエアコンなどの大型家電は、最新の省エネモデルに交換するだけで電気代が20〜30%削減できることもあります。

さらに窓の二重サッシ化や断熱カーテンの設置、隙間テープによる気密性向上などの対策で、冷暖房効率を大幅に向上させることも省エネ対策にもなります。

節水対策としては、節水シャワーヘッドや節水型トイレの導入が効果的です。通常のシャワーヘッドから節水タイプに交換するだけで、水使用量を約40%削減できます。年間で見ると水道代の節約額は5,000円〜15,000円にもなります。

光熱費の対策としては、LED照明への切り替えも効果的です。一般的な白熱電球と比較して、LEDは約80%の電力削減が可能です。民泊物件の照明をすべてLEDに交換することで、月額1,000円〜3,000円の電気代削減が見込めます。また、LEDは寿命が長いため、電球交換の手間とコストも削減できます。

清掃代行を使用してコスト最適化を図る

清掃費は民泊運営における主要な変動費の一つです。完全に自己清掃から外部委託まで、様々な選択肢がありますが、最適なバランスを見つけることが重要です。

まず、自己清掃と代行サービスのコスト比較を行いましょう。自己清掃の場合、直接的な費用は洗剤や消耗品のみですが、自分の時間コストを適切に評価することが重要です。代行サービスを使用することで自分の時間を他の生産的な活動に充てられるかどうかを考慮する必要があります。

清掃サイクルの最適化も効果的です。例えば、2泊以上の連泊の場合は中間清掃を簡易なものにする、あるいは完全に省略するという選択肢があります。連泊者には割引またはアメニティの追加提供などの特典を付けることで、清掃コストの削減と顧客満足度の両立が可能です。

効率的な清掃フローの確立も重要です。清掃手順を標準化し、チェックリストを作成することで、作業の抜け漏れを防ぎながら清掃時間を短縮できます。特に自己清掃を行う場合は、部屋の準備に必要な時間を最小化するための工夫が重要です。

高稼働率を維持するためにコンセプトを考える

民泊経営において最も効果的なコスト削減策は、実は稼働率の向上です。固定費は稼働率に関わらず発生するため、空室期間を最小化することが利益率向上の鍵となります。そのためには、明確なコンセプト設定が不可欠です。

ターゲット層を明確にすることから始めましょう。「誰に泊まってほしいのか」を具体的にイメージすることで、的確なアプローチが可能になります。例えば、外国人観光客、ビジネスマン、ファミリーなど、ターゲットによって求められる設備やサービスは大きく異なります。

さらにm物件の独自性を高めることも稼働率向上に効果的です。周辺の競合物件と同じようなサービスでは価格競争に陥りやすく、利益率の低下を招きます。

加えて、季節変動への対策も重要です。観光シーズンは高い稼働率が見込めますが、オフシーズンをいかに埋めるかが年間収益を左右します。例えば、閑散期には長期滞在者向けの割引プランを提供するなどの工夫が有効です。

これらのこと以上に口コミ評価は大切な部分です。宿泊者は、評価スコアとリスティングの写真や説明などを重要視しているためそれらを評価するためのレビューを星5近くに保つことが必須となります。星5の評価を保させるためには、清潔さの徹底、迅速なコミュニケーション、小さなサプライズの提供など、ゲスト満足度を高める工夫が重要です。

以上のように、民泊のランニングコスト削減は、単純な経費カットではなく、効率化と価値向上の両面からアプローチすることが重要です。光熱費の効率的な節約、清掃プロセスの最適化、そして何より高い稼働率の維持によって、サービス品質を落とさずにコスト効率を高めることが可能です。

まとめ

民泊運営におけるランニングコストは、固定費と変動費に大別され、それぞれが収益性に大きく影響します。適切なコスト管理ができなければ、収益低下だけでなく、レビュー悪化や競争力低下、物件価値の下落といった連鎖的な問題を引き起こします。特に重要なのは、単純な経費削減ではなく「賢い節約」と「効率化」の両立です。節電・節水対策や清掃プロセスの最適化、そして何より明確なコンセプト設定による高稼働率の維持が、サービス品質を落とさずにコスト効率を高める鍵となります。これらの施策を総合的に導入することで、持続可能で収益性の高い民泊経営を実現していきましょう。