インバウンドビジネスへの新規参入を検討している法人の皆さん、「どのように参入すべきか」「本当に収益が見込めるのか」「どの業種が自社に合うのか」とお悩みではありませんか?2030年に訪日外国人6,000万人を目標とする中、インバウンド市場は再び活況を呈しています。

しかし、闇雲に参入しても成功は難しいのが現実です。本記事では、インバウンドビジネスに法人として参入するメリット、有望な業種、具体的な参入方法までを徹底解説します。
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インバウンドビジネス法人新規参入のメリットは?

inbound

近年の訪日外国人観光客の増加に伴い、多くの企業がインバウンド分野に注目しています。「本当に参入すべきか」「どのようなメリットがあるのか」と悩む経営者や新規事業担当者も少なくありません。

まずは、インバウンドビジネスに参入することで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。

外国人観光客の需要増加で売上が期待できる

インバウンドビジネスの最大の魅力は、外国人観光客の急増による売上拡大のチャンスです。政府の積極的な観光政策により、コロナ禍からの回復も含め、訪日外国人数は右肩上がりのトレンドを示しています。

2019年には3,188万人だった訪日外国人観光客数は、2024年には3,600万人まで増加しており、2030年には6,000万人を目標としています。この数字は単なる目標ではなく、政府が本気で取り組んでいる国家戦略の一環なのです。

「うちの業種には関係ない」と考えている方も多いかもしれませんが、実はインバウンド需要は宿泊・交通・飲食だけでなく、小売・医療・美容・教育など様々な業界に波及しています。外国人観光客の行動パターンや消費傾向を理解することで、どのような業種でも独自のインバウンド戦略を構築できます。

訪日客の消費力で高収益が見込める

訪日外国人の消費力は非常に高く、インバウンドビジネスの収益性を押し上げる重要な要素となっています。観光庁の2024年1月から3月まで調査によると、訪日外国人1人あたりの旅行支出は約20万円から35万円程度と、国内旅行者の平均支出を大きく上回っています。

特に富裕層の外国人観光客は、高級ホテル、予約困難な飲食店、プライベートツアーなど、付加価値の高いサービスに惜しみなく支出する傾向があります。彼らがお金を使うのは「価値がある」と感じるからです。その「価値」を提供できるビジネスモデルを構築できれば、高収益を実現できます。

また、外国人観光客の多くは「日本でしか買えないもの」「日本でしか体験できないこと」を求めています。地域の特産品や伝統工芸品、ユニークな体験プログラムなどは、適切なマーケティングとともに提供することで、高い単価設定が可能になります。

市場が拡大中で需要が高い

インバウンド市場は今なお拡大中であり、需要の高まりが続いています。この市場の特徴は、単に訪日外国人数が増加しているだけでなく、訪問地域や関心分野の多様化も進んでいる点にあります。

かつての「ゴールデンルート」(東京-富士山-京都-大阪)中心の観光から、地方都市や農村地域への関心も高まっています。外国人観光客の間でSNSを通じて「知られざる日本の魅力」が共有される現象も加速し、これまでインバウンドと無縁だった地域にも観光客が訪れるようになってきました。

さらに、消費分野も多様化しています。従来の「モノ消費」(家電や化粧品など)から「コト消費」(体験や活動)へのシフトが鮮明になっており、料理教室、農業体験、伝統工芸体験など、体験型コンテンツへの需要が急増しています。

市場拡大の背景には、アジア諸国の経済成長による中間層の旅行需要増加、LCCの発達による渡航コスト低下、SNSを通じた日本文化への関心高まりなど、複合的な要因があります。これらの成長要因は今後も継続する見込みであり、インバウンド市場の拡大は中長期的なトレンドとして捉えられています。

新たな市場開拓で事業の安定性が増す

インバウンドビジネスへの参入は、新たな顧客層を開拓することで事業の安定性を高める効果があります。国内市場だけに依存していると、少子高齢化による市場縮小や、国内景気の変動による影響を直接受けることになります。

外国人観光客という新たな顧客層を獲得することで、顧客基盤の多様化が実現します。例えば、国内の観光地では閑散期に外国人観光客が増える傾向があり、繁忙期と閑散期の差を平準化できる可能性があります。また、国内消費が落ち込む時期でも、外国からの観光客が一定数訪れることで、売上の下支えにもなります。

さらに、国や地域によって旅行のハイシーズンが異なるため、ターゲットとする国・地域を分散させることで、年間を通じた安定した集客が可能になります。例えば、中国は春節(旧正月)、台湾は秋から冬、欧米は夏のシーズンに多く訪日する傾向があります。

多様な業種で展開できる

インバウンドビジネスの魅力の一つに、参入できる業種の多様性があります。「インバウンド=宿泊業や観光業だけ」という認識は古く、現在では実に様々な業種がインバウンド市場で成功を収めています。

まず、小売業では免税対応や多言語対応を進めることで、訪日外国人の購買意欲を高めることができます。地元の特産品や伝統工芸品などは特に人気が高く、適切なストーリーとともに提供することで高い付加価値を生み出せます。

飲食業では、メニューの多言語化やムスリム対応(ハラル)、ベジタリアン対応などを行うことで、多様な文化的背景を持つ訪日客を取り込むことができます。食は観光の大きな目的の一つであり、本格的な日本食から地元の郷土料理まで、幅広いニーズがあります。

また、体験型サービス業も急成長しています。茶道、着物着付け、日本料理教室などの伝統文化体験から、農業体験、職人体験まで、「日本らしさ」を体験できるコンテンツへの需要は非常に高まっています。

自社の製品やサービス、技術やノウハウを「訪日外国人」という切り口で見直してみると、新たなビジネスの可能性が見えてくるはずです。そこに皆さんの業種ならではの強みを掛け合わせることで、独自のインバウンドビジネスモデルを構築できます。

インバウンドビジネスで法人が選ぶべき業種は?

注目理由

インバウンドビジネスへの参入を検討する際、「どの業種が最も有望か」という点は多くの法人が頭を悩ませる問題です。実際に市場調査を行うと、訪日外国人のニーズは多様化しており、様々な業種でチャンスが広がっていることがわかります。

ここでは、特に将来性が高く、法人として参入する価値のある業種をご紹介します。

民泊

民泊業界は、インバウンド市場において依然として高い成長性を示す分野です。ホテルとは異なる「日本の生活文化を体験できる」という付加価値が、多くの外国人観光客を引きつけています。

民泊ビジネスの魅力は、比較的低い初期投資で参入できる点にあります。既存の住宅やマンションの空き室を活用できるため、新規に建物を建設する必要がありません。一方で、住宅宿泊事業法(民泊新法)の規制に従う必要があり、年間営業日数の制限や登録・届出の手続きなど、法令遵守のための体制構築が不可欠です。

外国人観光客の視点からすると、民泊には「現地の人との交流」「キッチンが使える」「グループでの宿泊に適している」などの魅力があります。特に、リピーターや長期滞在者は、より深く日本文化に触れられる民泊を好む傾向があります。

成功するポイントは、ターゲットを明確にした差別化戦略です。例えば、外国人ファミリー向けに子供が喜ぶ和風の装飾やアメニティを用意したり、ビジネス利用者向けに作業スペースやWi-Fi環境を充実させたりするなど、特定のニーズに応える工夫が重要です。

民泊投資を始めようとすると、物件探しから始まり、改装工事、許認可取得、運営システム構築まで、膨大な時間とコストがかかっていませんか?さらに、厳しい法規制や市場の変動リスクに直面し、思うような収益化に不安を感じていませんか?

しかし、すでに稼働中の民泊物件を購入することで、これらの時間やコスト、そして失敗するリスクを大幅に削減することができます。ゼロから始める不安を解消し、即収益が見込める物件へスムーズに投資するために、専門の民泊M&A仲介会社の活用がカギとなります。

そこでおすすめするのが、日本総合政策ファンドの民泊M&A仲介サービスです。「観光大国日本を、金融の力でサポートする」をミッションに掲げ、民泊やホテルなどの観光業界に特化したM&A仲介を提供しています。すでに営業許可を取得し、安定した収益を上げている民泊物件を買収することで、新規参入の障壁を大きく下げることが可能です。

日本総合政策ファンド

日本総合政策ファンドの最大の強みは、AI/DXテクノロジーを駆使した効率的なマッチングとデューデリジェンスです。お客様の投資条件や希望に最適な民泊物件を、膨大なデータベースから迅速に見つけ出します。以下のような価値ある資産を含む物件も多数取り扱っています。

  • 旅館業法または特区民泊に基づく営業許可(年間365日運営可能)
  • 即戦力となる清掃スタッフなどの運営体制
  • 稼働開始に必要な家具家電や内装設備一式

さらに、物件だけでなく、運営ノウハウも一緒に取得できることが最大のメリットです。成功している民泊事業の運営方法、料金設定、集客戦略などの専門知識も継承できるため、民泊事業未経験の方でも安心して参入できます。

まずは無料で日本総合政策ファンドのコンサルタントに相談してみませんか?お客様の投資条件や希望を分析し、最適な民泊物件候補をご提案します。

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高級旅館の運営

高級旅館の運営は、投資規模は大きいものの、高い収益性と安定した需要が見込める魅力的な業種です。近年の訪日外国人の中には、本物の日本文化を求める富裕層が増えており、彼らは質の高いサービスに対して相応の対価を支払う用意があります。

高級旅館ビジネスの核となるのは「おもてなし」の精神です。和の空間、季節感のある料理、きめ細やかなサービスなど、日本ならではの価値提供が求められます。外国人観光客向けには、これに加えて言語対応、文化的背景への配慮、異なる食習慣への対応などが必要になります。

実際に訪日外国人向けに成功している高級旅館では、従来の日本人向けサービスをそのまま提供するのではなく、外国人の視点から見直しています。

また、食事についても、苦手な食材を事前に確認したり、ベジタリアンやハラル対応のメニューを用意したりするなど、柔軟な対応が求められます。これらの取り組みは手間がかかりますが、高単価サービスだからこそ実現できる価値でもあります。

高級旅館の運営は初期投資が大きいため、既存の旅館をリノベーションして活用するという選択肢も考えられます。実際に、廃業した旅館を買収してインバウンド向けにリブランディングし、成功している事例も少なくありません。

富裕層をターゲットにした高級旅館は、景気変動の影響を受けにくく、一度ファンになった顧客は何度も訪れる傾向があります。長期的な視点で見れば、持続可能で安定したビジネスモデルと言えるでしょう。

インバウンド向け飲食店

食は観光の大きな魅力の一つであり、多くの訪日外国人が「日本食を楽しむこと」を旅行の主な目的に挙げています。インバウンド向け飲食店の運営は、比較的参入しやすく、地域の特性を活かせる業種です。

インバウンド向け飲食店を成功させるためのポイントは、まず言語の壁を取り除くことです。メニューの多言語化はもちろん、写真や食品サンプルの活用、タブレットによる注文システムの導入など、コミュニケーションをスムーズにする工夫が必要です。

成功しているインバウンド向け飲食店の特徴として、「本物の日本食」と「わかりやすさ」を両立させている点が挙げられます。

インバウンド向け飲食店の魅力は、立地によっては1年目から黒字化できる可能性が高い点です。特に観光地周辺では、新規オープン後すぐに外国人観光客の来店が期待できます。一方で、観光客の流れやピーク時期に大きく左右されるため、オフシーズン対策も考慮する必要があります。

寿司作り体験

「体験」を求める訪日外国人が増える中、寿司作り体験は特に人気の高いアクティビティとなっています。寿司は日本食の代表格として世界的に知られており、実際に自分で作る体験はSNS映えする思い出になると好評です。

寿司作り体験ビジネスの強みは、比較的小規模な設備投資で始められる点です。既存の飲食店スペースや料理教室などを活用することも可能です。また、1回あたり2〜3時間程度のプログラムで、1人あたり5,000円〜15,000円の料金設定ができるため、収益性も高いと言えます。

成功のポイントは、単なる「手順の説明」にとどまらない付加価値の提供です。日本の食文化や寿司の歴史について解説したり、地元の食材にまつわるストーリーを伝えたりすることで、より深い文化体験として価値を高めることができます。

寿司作り体験は、特に欧米豪からの観光客に人気があり、予約サイトやOTAからの集客が比較的容易です。また、リピーターが友人を連れてくるケースも多く、口コミによる集客効果も期待できます。

着物関連

着物に関連するビジネスは、訪日外国人の間で根強い人気があり、特に女性をターゲットとしたインバウンドビジネスとして高い成長性を示しています。

着物レンタル事業は、初期投資を抑えながらも高い収益性が期待できるビジネスモデルです。多くの外国人観光客にとって、着物を着て京都や浅草などの観光地を散策することは、「日本らしい」体験の一つとして人気があります。着物レンタルの料金は1人あたり3,000円〜10,000円程度で、オプションのヘアセットや写真撮影サービスを加えることで、客単価をさらに高めることができます。

着物関連ビジネスの魅力は、単なるレンタルにとどまらず、多様な展開が可能な点です。着付け体験教室、着物を着ての茶道体験、フォトジェニックなロケーションでの撮影サービスなど、関連サービスとの組み合わせにより、総合的な「着物体験」を提供することができます。

また、高品質な着物や和装小物の販売も有望なビジネスです。外国人観光客の中には、本物の着物や浴衣を購入して帰国したいというニーズも少なくありません。特に、現代的なデザインを取り入れた和装アイテムや、コンパクトに持ち帰れる和装小物は、お土産としても人気があります。

茶道体験

茶道体験は、日本文化の奥深さを体感できるアクティビティとして、訪日外国人の間で注目を集めています。特に欧米やオーストラリアからの観光客に人気があり、「禅」や「侘び寂び」といった日本独自の美意識に触れる機会として評価されています。

茶道体験ビジネスの特徴は、比較的小規模な設備で開始できる点です。既存の和室やスペースを活用することも可能ですし、茶室を新設する場合でも、他の体験ビジネスに比べると初期投資は抑えられます。一方で、茶道具や和菓子などの準備は必要になります。

料金設定は1人あたり3,000円〜8,000円が一般的で、本格的な茶会体験であれば10,000円以上の設定も可能です。1回のセッションは60分〜90分程度で、1日に複数回開催することができるため、効率的な運営が可能です。

多くの外国人観光客は事前予約でやってくるため、予約管理システムの導入や、海外OTAとの連携も重要です。

忍者体験

忍者は世界的に認知度の高い日本文化の一つであり、忍者体験は特に家族連れやグループ旅行者に人気のアクティビティです。「NINJA」という言葉は国境を越えて知られており、特に欧米やアジアからの観光客に強い訴求力を持っています。

忍者体験ビジネスの形態は多様で、忍者衣装の着付けと写真撮影のみの簡易なものから、手裏剣投げや忍び歩きなどの技の体験、本格的な忍者ツアーまで、様々なレベルが考えられます。料金設定も2,000円〜20,000円と幅広く、提供する体験の内容によって柔軟に設定できます。

例えば、伊賀や甲賀といった忍者の本場では、史実に基づいた本格的な忍者体験プログラムが人気を集めています。歴史的背景や地域との関連性を重視したプログラムは、単なるアトラクションとは一線を画し、高い満足度を得ています。

一方、都市部では、よりエンターテイメント性を重視した忍者体験が展開されています。東京や大阪などでは、手裏剣投げのゲームや忍者衣装でのフォトスポットなど、気軽に楽しめるプログラムが好評です。

インバウンド専門の広告代理店

インバウンド市場の拡大に伴い、訪日外国人向けのマーケティングや広告に特化した専門広告代理店の需要も高まっています。この分野は直接的な観光サービスとは異なりますが、インバウンド市場を支える重要なB2Bビジネスとして有望です。

インバウンド専門広告代理店の強みは、外国人観光客の行動パターンや消費心理に精通し、効果的なマーケティング戦略を立案できる点にあります。多言語対応はもちろん、国や地域による文化的差異、旅行スタイルの違いなどを理解した上でのアプローチが求められます。

提供できるサービスは多岐にわたります。多言語Webサイトの構築・運用、SNSを活用したプロモーション、インフルエンサーマーケティング、観光客向けデジタル広告の配信、観光資源の発掘と商品化のコンサルティングなど、クライアントのニーズに応じた包括的なサービス提供が可能です。

特に、中小の観光事業者や地方自治体にとって、外国人観光客へのアプローチは難しい課題です。言語の壁はもちろん、効果的なプロモーション手法や適切なターゲット設定など、専門的なノウハウが必要とされています。インバウンド専門の広告代理店は、こうした課題解決のパートナーとして、大きな付加価値を提供できます。

インバウンド専門広告代理店は、初期投資が比較的少なく、専門人材の確保が最も重要な要素となります。多言語対応可能なスタッフはもちろん、デジタルマーケティングのスキル、海外の旅行トレンドに精通した人材など、多様な専門性を持つチーム構築が必要です。

法人がインバウンドビジネスに新規参入する方法は?

インバウンド

インバウンドビジネスへの参入を決断した法人にとって、次に考えるべきは「どのように参入するか」という方法論です。大きく分けると、ゼロから新規事業を立ち上げる方法と、M&Aによって既存事業を買収する方法があります。

どちらの方法にもメリット・デメリットがあり、自社の状況や目的に応じて最適な選択肢を検討する必要があります。それぞれの方法について、特に民泊ビジネスを例に具体的に見ていきましょう。

0から立ち上げる

ゼロからインバウンドビジネスを立ち上げる方法は、自社の理想とするビジネスモデルを一から構築できる点が最大の魅力です。特に民泊ビジネスのケースで考えてみましょう。

まず、新規参入の第一歩は徹底した市場調査から始まります。民泊ビジネスの場合、地域ごとの訪日外国人の動向、競合施設の状況、季節による需要変動、ターゲットとなる国・地域の特性などを調査する必要があります。

次に、ビジネスモデルの構築です。民泊の場合、どのタイプの物件で、どのようなサービスを提供し、どの層をターゲットにするかを明確にします。高級志向の少人数向け物件なのか、グループ旅行者向けの広めの物件なのか、立地条件や設備の水準、価格帯など、具体的な方向性を決定します。

物件の選定と確保も重要なステップです。自社で物件を購入するか、賃貸物件を活用するか、あるいは物件オーナーと提携するかなど、様々な選択肢があります。都心部の人気エリアでは物件取得コストが高くなりますが、稼働率も高く見込めます。一方、郊外や地方では物件コストは抑えられますが、認知度向上のための追加投資が必要になることもあります。

民泊ビジネスにおいては、法的手続きの遵守も不可欠です。住宅宿泊事業法に基づく届出や、旅館業法に基づく許可取得など、必要な行政手続きを正確に行う必要があります。さらに、消防法や建築基準法など、安全面での法令遵守も重要です。

運営体制の構築も大きな課題です。フロントデスク代わりの受付システム、清掃やメンテナンス体制、24時間対応可能な緊急連絡体制など、宿泊施設として必要な機能をどのように整備するかを検討します。多言語対応スタッフの確保や、チェックイン・チェックアウト時の対応方法なども具体的に決める必要があります。

予約・集客システムの構築も重要です。Airbnbなどの大手予約サイトへの登録が不可欠です。

最後に、運用開始後の継続的な改善も忘れてはなりません。ゲストからのフィードバックを収集・分析し、サービスの質を向上させていく姿勢が重要です。例えば、チェックイン時の説明内容や室内の案内表示など、実際の利用者の声を反映して改善していくことで、口コミ評価を高め、リピーターを増やすことができます。

ゼロからの立ち上げにかかる期間は、一般的に物件確保から営業開始まで最低でも3〜6ヶ月程度は見込んでおく必要があります。法的手続きに時間がかかるケースも多いため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。

0から立ち上げるメリットは、自社の理念やビジョンに沿ったビジネスモデルを構築できる点、初期投資を段階的に行える点、市場の反応を見ながら柔軟に方向性を調整できる点などが挙げられます。一方、デメリットとしては、認知度やAirbnbの評価構築に時間がかかる点、ノウハウの蓄積に時間を要する点、初期の試行錯誤に伴うコストや時間的ロスが発生する可能性がある点などが考えられます。

M&Aによって事業を買収する

M&Aによる参入は、既に実績のあるインバウンドビジネスを買収することで、短期間で市場に参入する方法です。特に民泊ビジネスにおいては、既存の運営会社や物件ポートフォリオを買収することで、即戦力となる事業基盤を手に入れることができます。

M&Aの最大のメリットは、稼働中の事業を取得できるため、収益までの期間が短いことです。特に民泊ビジネスでは、既に運営実績のある物件は予約サイトでの評価が蓄積されており、新規立ち上げに比べて集客面で大きなアドバンテージがあります。

また、運営ノウハウも同時に取得できる点も大きな魅力です。民泊ビジネスには、外国人ゲストとのコミュニケーション方法、トラブル対応、効率的な清掃・メンテナンス体制など、経験から得られるノウハウが多く存在します。M&Aでは、こうした暗黙知も含めて引き継ぐことができます。

一方、デメリットとしては、初期投資額が大きくなる傾向がある点、買収後に想定外の問題が発覚するリスクがある点、組織文化の統合に伴う摩擦が生じる可能性がある点などが考えられます。特に民泊ビジネスでは、表面上は高収益に見えても、実際には法令違反や近隣トラブルなど目に見えない問題を抱えているケースもあるため、入念なデューデリジェンスが必要です。

M&Aのプロセスとしては、まず対象企業の選定から始まります。インバウンドビジネス、特に民泊分野では、運営会社の規模や保有物件の質、立地、収益性、法令遵守状況などを総合的に評価する必要があります。M&A仲介会社や不動産仲介会社、業界関係者からの紹介など、様々なルートで候補企業を探します。民泊特化のM&A仲介会社である日本総合政策ファンドは、東京を中心に運用歴がある民泊物件のM&A案件を保有しています。成果報酬制であるため、ご気軽に相談してみてください。

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次に、詳細なデューデリジェンス(資産査定)を行います。財務状況はもちろん、運営システムの実態、スタッフの質、顧客からの評価、法的リスクの有無などを詳細に調査します。民泊ビジネスの場合、特に重要なのは各物件の法的適合性です。住宅宿泊事業法や旅館業法の許認可状況、消防法・建築基準法への適合状況など、法令遵守の状況を確認することが不可欠です。

さらに、物件そのものの状態や設備の確認も重要です。外装・内装の状態、設備の老朽化度合い、今後必要となる修繕・リノベーションコストなども見積もっておく必要があります。

交渉・契約段階では、買収価格の決定が最大の焦点となります。民泊ビジネスの場合、一般的にはEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の数倍が買収価格の目安となりますが、物件の立地や成長性、ブランド力によって大きく変動します。また、のれん代(営業権)の評価も重要です。特に予約サイトでの高評価や、リピーター顧客の存在は大きな無形資産となります。

買収後の統合プロセスも慎重に計画する必要があります。特に重要なのは、既存スタッフの処遇と組織文化の融合です。民泊ビジネスは人的サービスが重要な要素を占めるため、優秀なスタッフの流出を防ぎ、モチベーションを維持することが事業価値を守るために不可欠です。
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まとめ

インバウンドビジネスは多くの法人にとって魅力的な新規事業領域です。外国人観光客の増加による売上拡大、高い消費力を活かした収益性、市場の継続的な成長性、事業の安定化、多様な業種展開の可能性など、数多くのメリットがあります。参入する業種選びでは、民泊や高級旅館などの宿泊業、飲食店、体験型サービス、インバウンド専門広告代理店など、自社の強みを活かせる分野を選ぶことが大切です。

そして参入方法としては、ゼロから立ち上げるか、M&Aで既存事業を買収するかという選択肢があります。どの方法を選ぶにせよ、成功の鍵は訪日外国人のニーズを深く理解し、独自の価値提供ができるビジネスモデルを構築することです。市場調査を十分に行い、長期的な視点でインバウンド市場に向き合うことで、持続可能なビジネスを実現できるでしょう。

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