所有するアパート1棟の収益が伸び悩み、新たな活用法を模索しているオーナーの方も多いのではないでしょうか。賃貸需要の低下や建物の老朽化による空室増加、家賃下落など、アパート経営の課題は年々深刻化しています。

そんな中、注目されているのが「民泊」への転換です。適切に運営すれば賃貸の1.5〜2倍の収益が期待できるだけでなく、マンションと違って管理規約の制約もなく、一棟まるごと活用することで効率的な運営も可能になります。

この記事では、アパート1棟を民泊として活用するメリットから具体的な手続き、成功のポイント、実際の事例まで、不動産投資のプロフェッショナルとして培った知見をもとに徹底解説します。

アパートを保有していなくても、大家から借りることができればサラリーマンでも運用が可能です。副業として民泊運営したい方にもおすすめの記事となっていますのでぜひ最後までご覧になってください。

アパート1棟を民泊にすべき理由とは?

アパート1棟をそのまま民泊として活用することは、従来の賃貸運用と比較して、収益性の向上や運営の自由度など、様々なメリットがあります。特に観光需要の高まりや旅行スタイルの多様化に伴い、民泊市場は着実に成長しています。

ここでは、アパート1棟を民泊運用することの具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。

賃貸よりも高収益が期待できる

通常の賃貸運用と比較して、民泊運用は大幅な収益アップが期待できます。実際の数字で見ると、同じ物件でも民泊運用に切り替えることで、月間収益が1.5倍から2倍以上になるケースも少なくありません。

この高収益を支える要因は主に「稼働率」と「料金設定」の2つです。稼働率に関しては、適切な運営を行えば年間平均70%以上の稼働率を達成することも可能です。特に繁忙期やイベント時期には90%を超える稼働率を記録することもあります。

また、料金設定については、需要と供給のバランスに応じた柔軟な価格戦略を取ることができます。例えば、週末や祝日、地域のイベント開催時には通常の1.5〜2倍の料金設定も可能です。

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マンションと違い規約がなく参入しやすい

マンションタイプの区分所有物件と比較して、アパート1棟所有の場合は民泊運営への参入障壁が大幅に低くなります。マンションでは管理規約で民泊利用が禁止されているケースが多く、区分所有法の関係で管理組合の承認を得ることが難しいことがほとんどです。

一方、アパート1棟所有の場合は、オーナーご自身が全ての決定権を持っているため、管理規約などの制約を気にせず民泊事業を始めることができます。また、近隣住民とのトラブル発生リスクも、マンションの一室を民泊にする場合と比べると低く抑えられます。

法的な面でも、2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)では、アパート1棟を民泊として運営する場合、各部屋ごとに届出を行うことで、年間営業日数の制限なく運営することが可能になっています。これにより、旅館業法に基づく許可を取得すれば、365日フル稼働での運営が実現できるのです。

部屋ごとの管理がしやすい

アパート1棟を民泊として運営する大きなメリットの一つは、建物全体の管理が効率的に行える点です。通常の賃貸運用では、各部屋の入居者が異なるため、設備の更新やメンテナンスのタイミングを合わせることが難しく、個別対応が必要になります。

しかし、民泊として一元管理することで、清掃やメンテナンスのスケジュールを効率的に組むことができます。

また、Wi-Fi環境や家具・家電の統一化により、管理の手間が大幅に削減できます。一棟丸ごと同じコンセプトでデザインすることで、備品の共通化やまとめ買いによるコスト削減も可能になります。

さらに、鍵の受け渡しやチェックイン対応も、一か所で集中して行えるため、スタッフの配置が効率化できます。自動チェックインシステムを導入すれば、人件費をさらに抑えることができるでしょう。

賃貸では稼働率が低い部屋でも利用できる

従来の賃貸運用では、立地や条件によって「なかなか入居者が決まらない部屋」が発生することがあります。北向きの部屋や、日当たりが悪い部屋、間取りが使いにくい部屋などは、賃貸需要が低く、空室期間が長期化しがちです。

しかし、民泊として運用する場合、こうした「賃貸では人気のない部屋」も有効活用できます。民泊利用者は短期滞在が前提のため、日当たりや間取りなどのファクターよりも、立地の利便性や価格、清潔さなどを重視する傾向があります。つまり、賃貸では不人気な部屋でも、適切な価格設定と魅力的な内装・サービスを提供することで、十分な稼働率を確保できるのです。

また、一棟全体を民泊にすることで、「コンセプト」を持たせることができます。例えば「和風テイストの一棟」「アーティスト向けの創作空間」など、建物全体にテーマ性を持たせることで、個々の部屋の条件の良し悪しを超えた価値を生み出すことができます。

一棟アパートを民泊にする方法とは?

専門家

アパート1棟を民泊として活用するためには、法的手続きから設備の準備、集客方法まで様々なステップが必要になります。ただ闇雲に始めるのではなく、計画的に準備を進めることで、スムーズに民泊ビジネスをスタートさせることができます。

民泊事業は法規制も多いため、手続きをしっかり理解しておくことが重要です。では、アパート1棟を民泊として活用するための具体的な手順を見ていきましょう。

民泊新法に基づく届出手続き

アパート1棟を民泊として運営するための最初のステップは、住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)に基づく届出です。この手続きは、民泊を合法的に運営するために必須となります。

まず必要書類として、住宅宿泊事業届出書を準備します。この届出書には、物件の所在地や規模、間取り、設備状況などの基本情報に加え、安全面の対策や管理方法などを詳しく記載する必要があります。また、添付書類として以下のものが必要になります。

  • 建物の登記事項証明書
  • 土地の登記事項証明書
  • 住宅の図面(各階平面図)
  • 周辺地図 ・非常用照明器具や消火器などの設置状況を示す書類
  • 住宅宿泊管理業者との締結契約書(管理を委託する場合)
  • 欠格事由に該当しないことを誓約する書面

申請先は物件が所在する都道府県または保健所設置市区町村の担当窓口となります。最近では多くの自治体がオンライン申請にも対応していますが、自治体によって独自の追加要件がある場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

届出の際に特に注意が必要なのは、住居専用地域での営業日数制限です。多くの自治体では、住居専用地域において年間180日以内という営業日数の制限があります。ただし、旅館業法に基づく許可を取得すれば、この制限を受けずに営業することも可能です。

申請に関しては、申請代行を使用することで手間を削減することができます。

関連:民泊申請代行とは?メリット、デメリット、自分で申請する時の違いなど解説!

必要な設備と内装の準備

民泊として運営するためには、宿泊者が快適に過ごせる設備と内装の準備が欠かせません。しっかりとした投資が将来の高評価・高稼働につながります。

まず、家具については以下のものが基本となります。

  • ベッド(シングルまたはダブル、部屋のサイズに合わせて)
  • テーブルと椅子 ・収納家具(クローゼットやチェスト)
  • ソファやリラックスできる椅子

家電については、以下が必須アイテムです。

  • エアコン
  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ
  • テレビ
  • 洗濯機(共用でも可)
  • Wi-Fi環境(高速かつ安定したインターネット接続)
  • ドライヤー
  • ケトル

また、安全面で特に重要なのが消防設備です。法令で設置が義務付けられている設備もあります。

  • 火災報知器(全室必須)
  • 消火器(各フロアに最低1つ)
  • 誘導灯または非常用照明
  • 避難経路の表示
  • 防炎カーテン(法令により義務付けられている場合)

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近隣住民への対応

民泊運営で最も気を配るべき点の一つが、近隣住民との良好な関係構築です。トラブルを未然に防ぐための対策を講じることが、長期的に安定した運営につながります。

まず、民泊運営を始める前に、近隣住民向けの説明会を開催することをおすすめします。説明会を開催することで、住民の不安や懸念を直接聞く機会にもなります。

さらに、定期的な近隣住民とのコミュニケーションも大切です。季節の挨拶や地域の清掃活動への参加など、積極的に地域との関わりを持つことで信頼関係を築けます。

近隣とのトラブルは評価低下や行政からの指導につながる可能性もあるため、予防策と迅速な対応の準備を整えておくことが重要です。

関連:知らないと危険!民泊でのトラブルとは?トラブル回避のための対策法を解説!

OTAを使用して集客する

民泊の成功には効果的な集客戦略が不可欠です。特にOTA(Online Travel Agent)の活用は、多くの宿泊者にリーチするための効率的な方法です。

主要なOTAプラットフォームとしては以下が挙げられます。

  • ・Airbnb(世界最大の民泊プラットフォーム)
  • ・Booking.com(世界中のホテル予約で人気)
  • ・Expedia(欧米からの旅行者に強い)

OTAを効果的に活用するポイントとしては、まず物件の魅力を最大限に伝える写真撮影が重要です。

また、複数のOTAに掲載することで、より多くの潜在顧客にリーチできます。ただし、ダブルブッキングを防ぐため、サイトコントローラーの導入も検討すべきでしょう。

関連:サイトコントローラーとは?民泊運営におすすめのサイトコントローラなどを紹介!

アパートの管理・運用する

アパート1棟を民泊として運営する場合、効率的な管理・運用体制の構築が成功の鍵を握ります。日常的な業務から緊急時の対応まで、体系的な管理システムを整えることが重要です。

まず、日常業務の管理としては以下の項目が挙げられます。

  • 清掃管理(チェックアウト後の清掃、定期的な大掃除)
  • リネン交換(シーツ、タオルなどの洗濯・交換)
  • 消耗品補充(トイレットペーパー、シャンプー、洗剤など)
  • 設備メンテナンス(空調、給湯器、家電製品の点検)
  • ゲスト対応(チェックイン・アウトの案内、問い合わせ対応)

これらの業務は自身で行う方法と、運営代行会社に委託する方法があります。委託費用は売上の15〜20%程度が相場ですが、遠隔地での運営を考えると十分に検討する価値があります。

関連:民泊運営代行とは?使用するメリットやデメリット、任せることができる業務など詳しく解説!

成功する一棟アパート民泊の条件

地域

アパート1棟を民泊として運営する際、成功するかどうかは準備段階での戦略的な判断に大きく左右されます。民泊市場は年々競争が激しくなっており、差別化と効率化が成功の鍵となります。

ここでは、アパート1棟の民泊運営で成功するための具体的な条件と実践方法について掘り下げていきます。

関連:立ち上げ・利回りの改善の対策に使用できる民泊コンサルティングとは?

立地条件

民泊ビジネスにおいて「立地」は最も重要な成功要因の一つです。どんなに素晴らしい設備やサービスを提供しても、立地が悪ければ高い稼働率を維持することは難しいでしょう。

まず、観光地との近接性は大きなアドバンテージとなります。主要な観光スポットから徒歩圏内、または公共交通機関で15分以内の立地であれば、観光客からの需要を見込むことができます。観光地近接の物件は取得コストが高くなる傾向がありますが、その分だけ収益性も高くなります。

交通の利便性も重要な要素です。特に駅やバス停からの距離は、宿泊予約の決め手となることが多いです。駅から徒歩5分以内の物件は特に人気が高く、プレミアムな料金設定が可能になります。また、空港やターミナル駅からのアクセスの良さも、特に外国人観光客にとって重要な判断材料となります。

また、コンビニエンスストアやスーパーマーケットが徒歩圏内にあることは、長期滞在者にとって大きな魅力となります。。

さらに、治安の良さも大切となってきます。女性や家族連れの宿泊者は、安全な地域への滞在を強く望みます。警察署や交番が近くにある地域や、夜間でも明るく人通りのある地域は、安心感を提供できます。

立地選びでは、将来性も考慮に入れることが重要です。再開発計画がある地域や、新たな交通インフラの整備が予定されている地域は、将来的な価値上昇が期待できます。そのため物件を購入を考えている方は民泊物件をM&Aする時のことも考えるべきでしょう。

ターゲット層に合わせた施設

民泊ビジネスで差別化を図るためには、明確なターゲット設定と、そのニーズに応える施設づくりが不可欠です。「誰にでも好まれる宿」を目指すよりも、特定のターゲット層に絞った特色ある宿を提供することで、高い顧客満足度と安定した予約を確保できます。

インバウンド(訪日外国人)をターゲットにする場合、言語対応と文化的配慮が重要です。施設内の表示や案内を多言語化し、Wi-Fi環境を充実させることは基本中の基本です。

清掃や集客システムを効率化する

民泊ビジネスの収益性を高めるためには、運営コストの削減と業務効率化が不可欠です。特に人件費がかさむ清掃業務と、手数料の高い集客チャネルについては、システム化や外部委託を通じて効率化を図ることができます。

集客面では、複数のOTAを一元管理できるチャネルマネージャーの導入が効果的です。手動での在庫・料金管理は膨大な時間を要しますが、チャネルマネージャーを活用することで、複数プラットフォームの一括管理が可能になります。

清掃業務の外部委託も効率化の重要な選択肢です。専門の清掃会社と契約することで、品質の安定したサービスを提供できます。また、清掃スタッフへの明確なマニュアル提供と、チェックリストの活用により、品質のバラつきを最小限に抑える工夫も効果的です。

さらに、宿泊者とのコミュニケーションを自動化するツールも、運営効率化に貢献します。予約確認や到着案内、滞在中のフォローアップ、チェックアウト後のレビュー依頼など、定型メッセージを自動送信することで、ホスピタリティを維持しながら工数削減が可能です。

これらの効率化施策を組み合わせることで、オーナー自身の負担を減らしながら、質の高いサービスを持続的に提供することが可能になります。

一棟アパート民泊の成功事例を紹介

成功事例

アパート1棟を民泊として運営する際の参考になる成功事例を紹介します。実際に高い収益と評価を獲得している事例を分析することで、成功のポイントや差別化戦略を具体的に理解することができます。

京都の町家を活用した事例

京都市東山区に位置する築50年の木造アパート6室を町家風民泊に改装した物件は、インバウンド観光客を中心に年間稼働率85%以上を達成している成功事例です。オーナーの山田さんは、2017年に相続したアパートの活用方法を模索する中で、民泊事業に着目しました。

伝統と現代の融合をコンセプトに、外観は京都の伝統的な町家の雰囲気を保ちながら、内装は現代的な設備を取り入れたリノベーションを行いました。具体的には、玄関部分に坪庭を設け、廊下と各部屋の間仕切りには格子戸と障子を採用。一方で、バスルームやキッチンは最新設備を導入し、古き良き日本と現代の快適さを両立させています。

当初の投資回収は5年を想定していましたが、高い稼働率と単価設定により、3年半で初期投資を回収。現在は年間約2000万円の売上に対し、50%程度の利益率を維持しているとのことです。

都心の築古アパートの再生事例

東京都台東区にある築40年の鉄筋コンクリート造アパートは、若年層向けの民泊として再生した好例です。所有者の佐藤さんは、IT企業の経営者でもあります。

このアパートは全8室の1Kタイプで、以前は賃貸として運用していましたが、築年数の古さから空室が目立つようになり、収益性が低下していました。2018年、大規模修繕のタイミングで民泊への転換を決断。総額1200万円をかけて内外装のリノベーションを実施しました。

コストパフォーマンスを最大化するため、基本的な構造はそのままに、内装を全面的に刷新するアプローチを採用。特に注目したのが、若年層に人気の「インダストリアルデザイン」です。コンクリート打ちっぱなしの壁や天井、配管むき出しのデザイン、アイアンとウッドを組み合わせた家具など、あえて「未完成感」を残す内装に統一しました。

ターゲットは明確に「20〜30代の若年層」と設定。特に、デジタルネイティブで旅行好きな層にフォーカスし、若者に価値観に合わせた施設とサービスを提供しています。

まとめ

アパート1棟を民泊として活用することは、従来の賃貸運用と比較して大きな可能性を秘めています。賃貸の1.5〜2倍の収益が期待できることに加え、管理規約の制約がない自由度の高さ、効率的な一元管理、不人気物件の活用など、様々なメリットがあります。成功の鍵は、法的手続きをしっかり理解し、適切な設備投資を行い、近隣との良好な関係を構築すること。そして何より、立地条件を見極め、明確なターゲット層を設定し、運営の効率化を図ることです。京都の町家を活用した事例や都心の築古アパートの再生事例からも分かるように、地域特性や物件の個性を活かした独自の価値提供が、競争の激しい民泊市場での差別化につながります。綿密な計画と戦略的なアプローチで、アパート1棟の民泊運営は新たな不動産投資の可能性を広げてくれるでしょう。