民泊事業を始めたいけれど、どこから手をつければいいのか迷っていませんか?許認可手続きの複雑さや集客方法、収益性など、不安要素は尽きないものです。そんな悩みを抱える方にとって、フランチャイズへの加入は一つの有力な選択肢となります。

しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、総合的に判断することが大切です。この記事では、民泊フランチャイズのメリット・デメリット、初期費用から収益性まで解説します。

これから民泊事業への参入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

民泊を始める際にはフランチャイズ加入するメリット

メリット

民泊事業を始めたいけれど、どこから手をつければいいのか分からない。許認可の手続きは複雑そうだし、集客方法も不安…。そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実は、民泊フランチャイズに加入することで、これらの課題を大幅に軽減できる可能性があります。フランチャイズは単なるブランド名の使用権だけでなく、民泊事業の成功に不可欠な様々な要素をパッケージで提供してくれます。

民泊フランチャイズに加入すると、確立されたビジネスモデルを活用できるため、0から事業を構築する手間が省けます。また、本部のノウハウやサポートを受けられるため、初めての方でも安心して運営に取り組めます。さらに、集客や運営システムが整っているため、効率的に事業を進められる点も大きな魅力です。

それでは具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

初心者でも安心の運営ノウハウが提供される

民泊事業を一人で始めようとすると、運営ノウハウの蓄積に時間がかかります。試行錯誤の連続で失敗も多く、軌道に乗るまでに時間とコストがかかってしまうことも少なくありません。

フランチャイズに加入すれば、本部が長年培ってきた運営ノウハウをすぐに活用できます。例えば、清掃の基準やチェックイン方法、トラブル対応の手順など、細かい点まで確立されたマニュアルが提供されます。「お客様からこんな要望があった場合はどう対応すればいいのか」「清掃はどこまで徹底すべきか」といった悩みも、すでに答えが用意されています。

また、定期的な研修や勉強会が開催されるフランチャイズも多く、常に最新の運営テクニックを学ぶことができます。これにより、宿泊者満足度を高める接客方法や、効率的な運営手法をしっかりと身につけることができるのです。

集客・予約管理システムが充実している

民泊事業の成功には、安定した予約の確保が不可欠です。しかし、個人で運営を始めると、どのプラットフォームに登録すべきか、写真や説明文はどう作成すべきか、料金設定はどうすればいいのかなど、多くの疑問に直面します。

フランチャイズに加入すると、Airbnbや楽天トラベル、Booking.comなど複数の予約サイトへの一括登録をサポートしてくれます。写真撮影やプロフィール作成もプロが手掛けるケースが多く、魅力的な物件ページを簡単に作成できます。また、シーズンや曜日、イベントに合わせた最適な料金設定のアドバイスも受けられるため、稼働率と収益の最大化が可能になります。

さらに予約管理システムも大きな強みです。複数サイトからの予約を一元管理できるシステムが提供され、ダブルブッキングのリスクを低減できます。また、チェックイン・チェックアウト情報の自動送信や決済処理の自動化など、オペレーションの効率化にも貢献してくれます。これはフランチャイズに加入しなくても導入することは可能ですが、民泊運営の初心者にとって大きなサポートとなるでしょう。

法令対応や許認可申請をサポートしてくれる

民泊を運営する上で最も頭を悩ませるのが、複雑な法令対応です。住宅宿泊事業法(民泊新法)をはじめ、消防法、建築基準法など様々な法令に準拠する必要があります。

フランチャイズに加入すれば、これらの法令対応を専門家がサポートしてくれます。住宅宿泊事業者としての届出や営業許可の申請代行はもちろん、必要書類の作成から行政への提出まで一貫してフォローしてくれるケースが大半です。

また、消防設備の設置や非常用避難経路の確保など、安全面の法令遵守に関するアドバイスも受けられます。火災報知器の設置位置や消火器の種類など、細かい規定も専門家が指導してくれるため、安心して準備を進められます。

さらに重要なのが、法改正への対応です。民泊に関する法律や規制は比較的新しく、今後も変更される可能性があります。フランチャイズ本部では最新の法令情報をいち早くキャッチし、加盟店に通知してくれます。法改正があった場合の対応方法も指導してくれるため、常に適法な状態で運営を続けられるのです。

物件選定から内装までトータル支援してくれる

民泊事業の成功は、物件選びから始まります。どのエリアで、どのような物件を選べば良いのか。これは収益性を大きく左右する重要な判断です。

フランチャイズに加入すると、豊富なデータに基づいた物件選定のサポートが受けられます。観光客の動向分析や周辺施設との関係、過去の稼働率データなどを基に、最適な立地を提案してくれます。「この駅周辺は外国人観光客に人気がある」「このエリアは季節変動が少なく安定している」など、具体的なアドバイスが得られるのは大きな強みです。

物件が決まったら、次は内装です。フランチャイズでは、宿泊者の満足度を高める内装デザインのノウハウを提供してくれます。限られた予算内で最大の効果を発揮するインテリア選びや、写真映えするポイントの設置など、集客につながるデザインを提案してくれます。

さらに、多くのフランチャイズでは家具や備品の一括調達サービスも提供しています。大量発注によるコスト削減効果があり、個人で購入するよりも安価に質の良い設備を整えられることが多いです。また、リピーターを獲得するためのアメニティセットの提案や、トラブルの少ない家電選びのアドバイスなども受けられます。

物件準備の最終段階では、プロのカメラマンによる写真撮影や360度ビューの作成など、予約サイトで魅力的に見せるためのサービスも提供されます。第一印象で予約率が大きく変わるため、このサポートは非常に価値があります。

フランチャイズ加盟の初期費用は?

収益

民泊フランチャイズへの加盟を検討する際、最も気になるのは「いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。実際に民泊事業を始めるには、加盟金だけでなく物件取得や内装設備、さらには運営開始後のランニングコストまで、様々な資金が必要になります。

資金計画を立てる際には、初期投資だけでなく回収までの見通しも重要です。民泊事業は立地条件や運営方法によって収益が大きく変わるため、各費用項目を正確に把握し、慎重に計画を立てることが成功への近道となります。

それでは、民泊フランチャイズに加盟する際の費用について、具体的な金額や内訳を詳しく見ていきましょう。

加盟金の相場と内訳

民泊フランチャイズの加盟金は、ブランドの知名度や提供されるサポート内容によって大きく異なります。一般的な相場としては、100万円~300万円程度が中心となっています。

加盟金は主に「契約金」と「保証金」に分けられます。契約金はフランチャイズ本部への支払いであり、返還されません。一方、保証金は契約終了時に返還される可能性がありますが、契約違反や途中解約の場合は全額または一部が没収されることもあります。

契約金には、ブランド使用権やノウハウ提供の対価に加え、研修費用や開業サポート費用が含まれることが多いです。例えば、スタッフ研修、マニュアル提供、システム利用権、開業時のマーケティングサポートなどが契約金に含まれているケースが一般的です。

物件取得費用

民泊事業を始める際の最大の初期投資は、物件取得費用です。自己所有の物件を活用する場合は新たな支出は必要ありませんが、新規に購入したり賃貸契約を結んだりする場合は、立地条件によって大きく金額が変わってきます。

物件購入の場合、都心部のワンルームマンションであれば2,000万円~5,000万円、郊外や地方都市では1,000万円~3,000万円程度が一般的な相場です。場所によってはこれ以上の価格になる場合もあります。

賃貸契約の場合は、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用に加え、月々の賃料が発生します。都心部のワンルームマンションで月額10万円~20万円、郊外や地方都市では5万円~15万円程度が相場です。賃貸契約で民泊を行う場合は、大家さんの許可が必要となる点にも注意が必要です。

立地条件は民泊の収益性に直結する重要な要素です。具体的には以下のポイントを考慮して物件を選ぶことが重要です。

  • 駅やバス停からの距離、主要観光地へのアクセスの良さ(交通アクセス)
  • コンビニ、飲食店などの利便施設の充実度(周辺環境)
  • 周辺の宿泊施設の数や料金設定(競合状況)

内装・設備投資

物件を確保した後は、内装や設備の整備に投資する必要があります。この費用は物件の状態や広さ、提供するサービスレベルによって大きく異なりますが、一般的な相場としては100万円~500万円程度です。

内装については、壁紙の張替えや床材の交換、照明器具の設置など基本的なリフォームから始まります。民泊利用者は「非日常感」を求める傾向があるため、デザイン性の高い内装が求められることも多いです。例えばインバウンド・外国人向けに和をコンセプトとした空間にすることなどがいいでしょう。

家具については、ベッド、ソファ、テーブル、椅子などの基本的な家具に加え、収納家具や照明なども必要です。質の高い家具を揃えると差別化になりますが、コストも比例して高くなります。耐久性と見た目のバランスを考慮した選択が重要です。

家電製品としては、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビなどの基本的な家電に加え、エアコンや給湯器なども必要です。近年では外国人観光客向けに炊飯器や電気ケトルなども人気があります。

さらに、アメニティ類(タオル、シーツ、枕、食器類など)にも初期投資が必要です。複数セットを用意する必要があるため、意外と高額になることがあります。一般的には宿泊者数×1.5セット程度を用意しておくとスムーズな運営が可能です。

フランチャイズに加入すると、これらの内装や設備について推奨仕様やパッケージプランが提供されることが多いです。また、提携業者を紹介してもらえるケースも多く、単独で手配するよりも割安になることもあります。ブランドイメージを統一するため、一定の基準を満たす必要がある場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

月額ロイヤリティ

フランチャイズ加盟後は、継続的に本部へロイヤリティを支払う必要があります。ロイヤリティはブランド使用料やノウハウ提供の対価、継続的なサポートへの報酬として位置づけられています。

ロイヤリティには主に「売上比例型」と「固定型」の2種類があります。

売上比例型は、月間売上高の一定割合(通常5%~20%程度)をロイヤリティとして支払う方式です。この方式のメリットは、売上が少ない月は支払額も少なくなる点です。特に季節変動の大きい観光地では、オフシーズンの負担が軽減されます。一方、売上が増えるとロイヤリティも比例して増えるため、成功すればするほど本部への支払いが増える点がデメリットとも言えます。

固定型は、売上に関わらず毎月一定額(通常5万円~20万円程度)を支払う方式です。この方式のメリットは、売上が好調な時期でも支払額が変わらない点です。予算管理がしやすく、高稼働が見込める物件では有利になります。一方、売上が落ち込んだ時期でも定額の支払いが必要なため、オフシーズンや不測の事態が発生した際のリスクが高まります。

多くのフランチャイズでは、これらに加えて「システム利用料」や「広告宣伝費」などの名目で追加費用が発生することがあります。システム利用料は予約管理システムなどのITインフラ利用の対価として月額1万円~5万円程度、広告宣伝費はブランド全体のプロモーション費用として売上の1%~5%程度が一般的です。

ランニングコスト

民泊事業を継続的に運営していくためには、初期投資だけでなくランニングコストの把握も重要です。主なランニングコストとしては、以下の項目が挙げられます。

清掃費は最も基本的かつ重要なランニングコストです。一般的にワンルームタイプの物件で1回あたり5,000円~8,000円程度、より広い物件では1万円以上かかることもあります。稼働率やチェックイン・チェックアウトのタイミングによって月間の清掃回数が変動するため、シミュレーションを行っておくことが重要です。

設備メンテナンス費も継続的に発生します。エアコンの定期清掃(年1~2回、1回あたり1万円~2万円)や給湯器のメンテナンス、家具・家電の修理や交換費用などが含まれます。一般的には月額で平均すると1万円~3万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

光熱費(電気、ガス、水道)は宿泊者の使用量によって変動しますが、一般的にはワンルームタイプの物件で月額1万円~2万円程度です。最近では、宿泊者に節電・節水を促すために、エコな利用を呼びかける物件も増えています。

インターネット回線費用は月額4,000円~6,000円程度です。安定した高速通信が求められるため、低価格プランでは不十分な場合が多く、ビジネスプランの導入を検討すべきでしょう。

消耗品費(トイレットペーパー、洗剤、アメニティの補充など)も月々発生し、稼働率によって変動しますが、ワンルームタイプの物件で月額5,000円~1万円程度が目安です。

さらに、民泊仲介サイト(Airbnbなど)の手数料も考慮する必要があります。一般的に予約金額の3%~15%程度が手数料として差し引かれます。フランチャイズによっては、独自予約サイトからの集客に力を入れているところもあり、その場合は仲介手数料の負担を軽減できる可能性があります。

これらのランニングコストに加え、予期せぬ修繕費や緊急対応費なども発生する可能性があるため、月間売上の20%~30%程度を予備費として確保しておくことをおすすめします。
関連:民泊のランニングコストには何が含まれる?コストが適切でないとどうなる?

民泊運営でフランチャイズに加入するデメリットは?

デメリット

民泊フランチャイズへの加入には、先にご紹介したようなさまざまなメリットがありますが、実はデメリットも存在します。

特に個性的な民泊運営を希望される方や、すでに不動産や接客業の経験がある方にとっては、フランチャイズのデメリットが大きく感じられる場合もあります。また、投資額と収益のバランスを考えると、必ずしもフランチャイズ加入が最適解とは限らないケースもあります。

それでは、民泊フランチャイズに加入する際のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

自由度の低さと規約の縛りがある

フランチャイズに加入すると、本部が定めたルールやマニュアルに従って運営する必要があります。これはブランドの統一性を保つために必要なことですが、オーナーの裁量で自由に運営したい方にとっては大きな制約となります。

例えば、内装や家具の選定においても、本部の基準に合わせる必要があるケースが多いです。「このエリアにはこんな個性的な内装が合うのに」と思っても、ブランドイメージを損なうという理由で却下されることもあります。

料金設定についても自由度が制限されます。多くのフランチャイズでは、料金設定のガイドラインが設けられており、極端な値下げや値上げはできません。市場の変化に柔軟に対応したい場合でも、本部の承認が必要になることがあり、機動的な価格戦略が取りにくくなります。

さらに、宿泊者へのサービス内容も、マニュアルで細かく規定されていることが一般的です。挨拶の仕方からトラブル対応まで、決められた手順に従う必要があります。

加えて、契約期間中の物件の売却や用途変更も制限されます。多くのフランチャイズ契約では、民泊以外の用途への変更や、契約期間中の物件売却に制限が設けられています。不動産投資としての柔軟性が失われる点は、将来的なリスクとして認識しておく必要があります。

追加費用が発生するケースがある

フランチャイズ加入時には契約書に明記された費用以外にも、様々な追加費用が発生することがあります。これらは契約書に小さく記載されていたり、口頭での説明にとどまっていたりするケースもあるため、事前に十分確認することが重要です。

まず、定期的な研修費用が発生することがあります。多くのフランチャイズでは、運営ノウハウの更新や新サービスの導入に伴い、定期的な研修参加が義務付けられています。この研修費用や、研修参加のための交通費・宿泊費は加盟店負担になります。

次に、品質維持のための設備更新費用も見逃せません。本部の基準が変更された場合や、定期的な品質チェックで改善を求められた場合、設備やアメニティの更新が必要になります。これらの費用は全て加盟店負担となるため、突発的な出費となることがあります。

また、契約更新時に更新料が発生するケースもあります。一般的にフランチャイズ契約は3年から5年の有期契約で、更新時に初期加盟金の10%~30%程度の更新料が必要になることがあります。長期的な運営を考えている場合、この更新料も含めた収支計画を立てる必要があります。

さらに、本部独自の販促ツールや備品の購入が事実上義務付けられているケースもあります。例えば、本部指定のアメニティやリネン類、看板やロゴ入りグッズなどは、指定業者からの購入が必須となることが多く、市場価格よりも割高な場合もあります。

このように、表面上の費用だけでなく、運営していく中で発生する様々な追加費用を事前に把握しておくことが重要です。

本部の方針変更への対応する義務がある

フランチャイズビジネスでは、本部の方針変更に従う義務があります。これは契約上の義務であり、たとえ加盟店にとって負担が大きくても対応しなければならないケースが多いです。

最も一般的なのは、ブランドイメージの刷新に伴う改装要請です。本部がブランドリニューアルを行う場合、看板やロゴだけでなく、内装や設備の変更を求められることがあります。

さらに、運営システムの変更も大きな負担になり得ます。予約管理システムや会計システムが刷新される場合、新システムへの移行費用や再研修の費用が発生します。また、システム変更に伴う業務フローの変化により、一時的に業務効率が低下することもあり、間接的なコスト増加につながります。

本部の経営状態や買収・合併なども大きな影響を与えます。本部が経営不振に陥った場合、サポート体制の弱体化や広告宣伝費の削減といった形で加盟店にしわ寄せがくることがあります。また、本部が他社に買収されると、ブランドポリシーが大きく変わる可能性もあります。

これらの方針変更に対して、加盟店側に拒否権はほとんどありません。契約書には「本部の方針に従う義務」が明記されていることが一般的で、従わない場合は契約解除事由となることもあります。特に、方針変更による負担増を理由に中途解約した場合、違約金が発生するケースがほとんどです。

運営代行・民泊開設エージェントを使用するだけで十分な場合が多い

フランチャイズへの加入は一つの選択肢ですが、必ずしもそれが最適解とは限りません。特に、運営代行サービスや民泊開設エージェントを利用する方法は、フランチャイズに加入するよりもコスト効率が良い場合が多いです。

これらのサービスを利用するメリットは、柔軟性の高さです。例えば、内装や設備は完全に自分の裁量で決められますし、料金設定やプロモーション戦略も自由に展開できます。また、複数の予約プラットフォームを使い分けたり、地域特性に合わせた独自サービスを提供したりすることも可能です。

さらに、物件ごとに異なる運営戦略を取ることができます。例えば、一部の物件は自分で運営し、別の物件は運営代行サービスに委託するといった柔軟な対応も可能です。事業拡大や縮小も自分のペースで決められるため、市場環境の変化に応じた機動的な判断ができます。

特に以下のような方にとっては、フランチャイズよりも運営代行サービスや開設エージェントの方が適している場合が多いです。

  • すでに不動産や宿泊業の経験がある方
  • 独自の運営スタイルやコンセプトにこだわりがある方
  • 初期投資を抑えたい方
  • 数年後の事業方針を柔軟に変更したい方
  • 試験的に民泊事業を始めてみたい方

もちろん、運営代行サービスにもデメリットはあります。例えば、ブランド力がないため集客力ではフランチャイズに劣る場合があります。また、サービス品質にはバラつきがあり、業者選定が重要になります。さらに、体系的な研修やノウハウ提供が少ないため、運営の詳細を理解したい方には物足りないかもしれません。

しかし、コスト面での優位性は大きく、特に小規模で始めたい場合や、段階的に事業を拡大したい場合には、フランチャイズよりも運営代行サービスや開設エージェントの方が合理的な選択となることが多いです。

民泊開設エージェントや民泊運営代行サービスは日本総合政策ファンドでも提供しています。

フランチャイズで運営の収益は?

地域

民泊フランチャイズへの加入を検討する際、最も気になるのは「いくら稼げるのか」という点ではないでしょうか。

ここでは、民泊フランチャイズ加入時の収益モデルについて解説していきます。
関連:民泊を経営の平均年収はどれくらい?成功するためのコツなど紹介

月間収支モデルケース

民泊事業の収益は、主に「稼働率」と「客単価」という2つの要素によって決まります。これらの数値は立地条件や物件の質、サービス内容によって大きく変動しますが、一般的なモデルケースを見ていきましょう。

稼働率は、1ヶ月のうち実際に宿泊者が滞在した日数の割合を指します。都心部や主要観光地では年間平均で60%~80%程度、郊外や地方都市では40%~60%になります。

客単価は1泊あたりの売上額です。都心部のワンルームタイプで8,000円~15,000円、複数ベッドルームの広い物件では15,000円~30,000円以上が相場です。こちらも季節や曜日、イベントによって大きく変動します。

これらの数値を基に、東京都内のワンルームタイプ(25㎡程度)の民泊を運営した場合の月間収支モデルを見てみましょう。

収入面

【客室単価(平均)】

  • 東京都内のワンルームタイプ(25㎡程度)で約12,000円~15,000円/泊

【月間売上計算例】

  • 月間稼働日数: 約22日(特区民泊地域、または旅館業を取得している場合の稼働率約73%)
  • 月間売上: 264,000円~336,000円 (計算例: 14,000円 × 30日 × 0.8 = 336,000円)

支出面

フランチャイズ加入の場合、以下のような費用が発生します。

  1. ロイヤリティ: 売上の15%程度(約39,600円~50,400円)
  2. 物件費用:
    • 賃貸の場合: 月額80,000円~100,000円(管理費・共益費込み)
  3. 清掃費:
    • 1回あたり2,000円~3,000円
    • 月間で約44,000円~72,000円(稼働日数による)
  4. 光熱費: 15,000円~20,000円/月
  5. 消耗品費: 8,000円~10,000円/月
  6. 通信費(WiFi等): 5,000円/月前後
  7. 予約サイト手数料: 売上の3%~15%(約26,400円~50,400円)
  8. その他経費: 約10,000円/月

合計支出

約228,000円~300,000円/月

月間利益

月間利益は約36,000円~80,000円となります。運営代行を使用する場合売上の15%程度(例の場合は約39,600円~50,400円)程度かかるため利益がわずかしか残らないこともあります。

年間では約43万円~96万円程度になりますが、修繕費や設備更新費などの臨時支出を含まないため、実質的な年間利益は30万円~80万円程度と見るのが現実的でしょう。

まとめ

民泊フランチャイズは、運営ノウハウの提供や集客支援、法令対応のサポートなど多くのメリットがある一方で、自由度の制限や追加費用の発生、本部方針への従属といったデメリットも存在します。初期費用は加盟金100万円〜300万円を中心に、物件取得や内装設備を含めると数百万円から数千万円の投資が必要です。

フランチャイズ加入の判断には、自身の経験や資金力、目指す運営スタイルなどを総合的に考慮することが重要です。必ずしもフランチャイズが最適解とは限らず、運営代行サービスや民泊開設エージェントの活用など、代替手段も含めて幅広く検討することをおすすめします。