民泊事業を始めたいけれど、どのエリアを選べば良いのか分からない。収益性の高い立地を見極めたいが、競合が多すぎて失敗するのではないか。法的な規制や近隣住民とのトラブルが心配で、なかなか一歩を踏み出せない。
このような悩みを抱えている方は少なくありません。民泊事業の成功は、立地選びで8割が決まると言われるほど、エリア選択は極めて重要な要素です。間違ったエリアを選んでしまうと、どれだけ努力しても思うような収益を上げることができず、最悪の場合は事業の継続すら困難になってしまいます。
そこで本記事では、民泊運営で成功するためのエリア選びのポイントを詳しく解説します。
民泊エリア選びで重視すべきポイントは?

民泊事業で成功を収めるために最も重要な要素の一つが、運営エリアの選択です。立地の良し悪しは収益性に直結し、ゲストの満足度や回転率にも大きく影響します。
そこで、民泊エリアを選ぶ際に必ず確認すべき重要なポイントを詳しく解説していきます。
交通アクセスの良さ
民泊エリアを選ぶ際、交通アクセスの良さは絶対に外せない条件です。なぜなら、空港や主要駅からのアクセスのしやすさは、ゲストの満足度と予約率に直結するからです。
まず、国際線が発着する羽田空港や成田空港からの所要時間は、インバウンドゲストにとって重要な判断材料となります。特に電車一本でアクセスできるエリアや、乗り換えが少ないルートで到達できる場所は、重いスーツケースを持った海外からの旅行者にとって大きなメリットです。
また、主要駅から徒歩圏内にある物件は、特に高い人気を誇ります。たとえば、東京駅から徒歩10分以内のエリアは、ビジネス利用者からの需要が高く、平日の稼働率向上が期待できます。同様に、新宿駅、渋谷駅、品川駅といったターミナル駅周辺は、複数の路線が乗り入れているため、様々な方面からのアクセスが良好です。
さらに、深夜や早朝の交通手段も重要な要素です。終電が遅い路線や始発が早い路線沿いのエリアは、夜遅くまで観光や仕事を楽しむゲストにとって魅力的です。加えて、24時間運行しているバス路線がある地域も、利便性の高さから人気を集めています。
一方で、タクシーの利用しやすさも考慮すべき点です。タクシーが捕まりやすい大通り沿いや、配車アプリでの呼び出しが容易なエリアは、交通の便の良さをアピールできます。特に雨の日や荷物が多い時の移動手段として、ゲストから重宝されます。
観光スポットやイベント会場への近さ
観光地や人気スポットへの近さは、民泊の集客力を大きく左右します。なぜなら、徒歩圏内に有名な観光地があるエリアは、常に一定の需要が見込めるため、安定した収益を期待できるからです。
まず、東京の場合、浅草寺、東京スカイツリー、銀座、築地市場跡地周辺などの定番観光地近くは、特にインバウンドゲストからの人気が高いです。これらのエリアでは、観光シーズンに関係なく年間を通じて需要があり、リピーターゲストも多く見込めます。
次に、大型イベント会場への近さも重要な要素です。東京ドーム、さいたまスーパーアリーナ、幕張メッセ、東京ビッグサイトなどの周辺エリアは、コンサートや展示会開催時に宿泊需要が急激に高まります。そのため、イベント開催日には通常より高い宿泊料金を設定できる可能性があります。
また、季節性のある観光スポット周辺も魅力的です。桜の名所として知られる上野公園や新宿御苑周辺は、春の花見シーズンに非常に高い需要があります。同じように、紅葉の美しい公園や神社仏閣周辺は、秋の観光シーズンに予約が集中します。
さらに、テーマパークへのアクセスが良いエリアも検討価値があります。東京ディズニーリゾートへの電車一本でアクセスできる舞浜駅周辺や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがある大阪のベイエリアは、ファミリー層からの需要が高く、連泊利用も期待できます。
治安の良さと周辺環境
治安の良さは、民泊運営において最も重要な要素の一つです。なぜなら、ゲストの安全を確保することは運営者の責任であり、治安の悪いエリアでの事故やトラブルは、民泊事業の信頼性を大きく損なうからです。
まず、犯罪発生率の低いエリアを選ぶことが基本となります。警察庁が公表している犯罪統計データや、各自治体の安全マップを参考にして、窃盗や暴力事件の発生頻度が低い地域を特定することが重要です。特に夜間の一人歩きが安全なエリアは、女性の単独利用者からの評価が高くなります。
次に、街灯の整備状況も重要な判断材料です。夜間でも明るく照らされた道路や、人通りの多い商店街に近いエリアは、ゲストに安心感を与えます。反対に、暗い路地や人通りの少ない住宅街の奥まった場所は、避けるべきエリアといえます。
また、周辺の商業施設の充実度も治安に関わってきます。コンビニエンスストア、薬局、飲食店などが24時間営業している地域は、緊急時の対応がしやすく、ゲストにとって安心できる環境です。特に深夜でも営業している店舗があるエリアは、夜遅くに到着するゲストにとって心強い存在となります。
さらに、騒音問題についても考慮が必要です。繁華街の真ん中や、大通り沿いの物件は、深夜の騒音でゲストの睡眠を妨げる可能性があります。一方で、あまりにも静かすぎる住宅街では、民泊利用者の出入りが近隣住民とのトラブルの原因となることもあります。そのため、適度な活気がありながらも、夜間は比較的静かになるエリアが理想的です。
加えて、清潔感のある街並みかどうかも重要な要素です。ゴミが散乱していたり、落書きが多かったりするエリアは、ゲストに良い印象を与えません。逆に、街路樹が整備され、建物のメンテナンスが行き届いているエリアは、写真映えもよく、ゲストの満足度向上につながります。
競合状況と需要・供給バランス
競合状況の分析は、民泊事業の成功を左右する重要な要素です。なぜなら、同じエリアに多数の民泊が集中している場合、価格競争が激化し、収益性が大幅に低下する可能性があるからです。
まず、既存の民泊施設の数を正確に把握することが重要です。民泊仲介サイトで該当エリアの物件数を調査し、どの程度の競合が存在するかを確認します。特に人気の高い観光地周辺では、民泊の供給過剰が起きやすく、稼働率の低下や価格の下落が起こりがちです。
次に、競合物件の料金設定を詳しく分析することが必要です。同じエリア内での平均宿泊料金、最低価格、最高価格を調べることで、自分の物件の適正価格を設定できます。また、季節による価格変動のパターンも把握しておくと、収益最大化のための価格戦略を立てやすくなります。
さらに、競合物件の特徴やサービス内容を研究することも重要です。部屋の広さ、設備の充実度、アメニティの種類、清掃の質などを比較検討し、自分の物件の差別化ポイントを見つけることができます。たとえば、他の物件にはない独自のサービスや、特別な設備を提供することで、競争優位性を確保できます。
一方で、需要の動向も詳しく調べる必要があります。過去の宿泊データから、どの時期に需要が高まるのか、どのような属性のゲストが多いのかを分析します。ビジネス利用が多いエリアでは平日の需要が高く、観光地では週末や祝日の需要が集中する傾向があります。
自治体の規制・条例の確認
民泊運営において、自治体の規制や条例の確認は絶対に怠ってはいけない重要な作業です。なぜなら、地域によって民泊に関する規制内容が大きく異なり、違反した場合は営業停止や罰金などの重いペナルティが科せられる可能性があるからです。
まず、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく基本的な規制内容を理解することが重要です。年間営業日数の上限が180日と定められているほか、近隣住民への説明義務、苦情対応体制の整備、定期的な報告義務などが課せられています。これらの基本的な義務を遵守することが、適法な民泊運営の前提となります。
次に、各自治体が独自に定めている条例や規則を詳しく調べる必要があります。たとえば、東京都新宿区では住居専用地域での民泊営業を月曜日正午から金曜日正午まで禁止しており、実質的に週末のみの営業となります。一方、大阪市では一部の区域で平日の営業が可能など、地域によって規制内容が大きく異なります。
また、用途地域による制限も重要な確認事項です。第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域では、民泊営業が制限されている場合があります。逆に、商業地域や準工業地域では比較的規制が緩い傾向にあります。物件を選ぶ前に、都市計画図で用途地域を確認することが必要です。
さらに、建物の構造や設備に関する基準も地域によって異なります。防火設備の設置義務、避難経路の確保、最低居室面積の規定など、建築基準法や消防法に関連する要求事項を事前に把握しておくことが重要です。これらの基準を満たさない物件では、民泊営業の許可が下りない可能性があります。
一方で、許可申請の手続きや必要書類についても事前に確認しておくことが重要です。住宅宿泊事業の届出に必要な図面や書類、手数料の金額、審査期間などは自治体によって異なります。また、定期的な報告義務の内容や提出期限も地域によって違いがあるため、運営開始前に詳細を把握しておく必要があります。
民泊運営で避けたいエリアの特徴は?

民泊事業を成功させるためには、適切なエリアを選ぶことと同じくらい、避けるべきエリアを見極めることが重要です。なぜなら、問題のあるエリアで民泊を運営すると、法的トラブルや近隣住民との問題、収益の悪化などの深刻な問題に直面する可能性があるからです。
そこで、民泊運営で避けるべきエリアの特徴を詳しく解説していきます。
民泊禁止・厳格規制エリア
民泊運営で最も避けなければならないのは、民泊営業が禁止されているエリアや、極めて厳しい規制が課せられているエリアです。これらの地域では、そもそも合法的な民泊運営が困難であり、無理に営業を続けると重大な法的リスクを負うことになります。
まず、完全に民泊営業が禁止されているエリアを把握することが重要です。一部の高級住宅街や歴史的景観保護地区では、条例により民泊営業が全面的に禁止されている場合があります。
次に、営業日数に極めて厳しい制限が課せられているエリアも避けるべきです。法定の年間180日よりもさらに短い営業日数制限が設けられている地域では、収益性が著しく低下してしまい、資金回収に時間がかかってしまします。
また、建物の構造や設備に関して過度に厳しい基準が設けられているエリアも避けるべきです。既存の建物では対応が困難な防火設備や避難設備の設置が義務付けられている場合、多額の改修費用が必要となり、事業の採算性が悪化します。
一方で、近隣住民の同意が必要とされているエリアも注意が必要です。住民の反対により許可が下りない可能性があり、たとえ許可が取得できても、その後の運営で住民との関係が悪化するリスクがあります。
関連:民泊ができる用途地域とは?関係性や調べ方など解説!
住民トラブルが起きやすいエリア
住民トラブルが頻発するエリアでの民泊運営は、持続可能な事業運営を困難にします。なぜなら、近隣住民との関係悪化は、苦情の増加、営業妨害、最悪の場合は営業停止処分につながる可能性があるからです。
まず、既に民泊に対する住民の反対運動が活発なエリアは避けるべきです。住民組織が民泊反対の署名活動を行っていたり、自治体に対して規制強化を求める陳情を行っているエリアでは、新規の民泊事業者に対する風当たりが強くなります。このような地域では、些細なことでも苛情や通報の対象となりやすく、安定した運営が期待できません。
次に、高齢化率が高く、従来の住環境の維持を重視する住民が多いエリアも注意が必要です。特に昔からの住民が多い住宅街では、見知らぬ人の出入りや生活音に対する許容度が低く、民泊利用者の行動が問題視されやすい傾向があります。
また、マンションや集合住宅の管理組合が民泊に反対姿勢を示しているエリアも避けるべきです。管理規約で民泊営業が禁止されているマンションでは、そもそも合法的な営業ができません。さらに、管理組合の反対により、共用部分の使用制限や追加の管理費用が課せられる可能性もあります。
さらに、過去に民泊関連のトラブルが多発しているエリアも問題です。騒音問題、ゴミ出しルール違反、不法侵入などの事件が頻発している地域では、新規の民泊事業者に対する住民の警戒心が高まっており、細かな行動も厳しくチェックされる可能性があります。
加えて、文化的な価値観の違いが顕著なエリアも注意が必要です。伝統的な文化や慣習を重視する地域では、外国人観光客の行動様式や文化的な違いが問題となりやすく、文化摩擦によるトラブルが発生しやすくなります。
関連:知らないと危険!民泊でのトラブルとは?トラブル回避のための対策法を解説!
需要が極端に低いエリア
民泊事業の成功には安定した宿泊需要が不可欠ですが、需要が極端に低いエリアでの運営は収益性の確保が困難になります。そのため、需要不足が明らかなエリアは事前に避けることが重要です。
まず、観光資源に乏しく、訪問目的が見つからないエリアは避けるべきです。特に観光スポット、文化施設、商業施設、ビジネス街のいずれからも遠く離れた住宅街では、宿泊需要の創出が困難です。このようなエリアでは、料金を大幅に下げても稼働率の向上が期待できません。
次に、交通アクセスが極めて悪いエリアも問題となります。最寄り駅から徒歩30分以上かかる場所や、バスの本数が少なく公共交通機関の利用が困難な地域では、利便性の低さからゲストの敬遠される傾向があります。特に重い荷物を持った旅行者にとって、アクセスの悪さは致命的な欠点となります。
また、季節による需要変動が極端で、閑散期の需要が著しく低いエリアも注意が必要です。スキー場周辺のように冬季のみ需要があるエリアや、海水浴場近くのように夏季に需要が集中するエリアでは、年間を通じた安定収益の確保が困難です。
さらに、競合する宿泊施設が飽和状態にあるエリアも避けるべきです。ホテルや旅館が密集し、さらに多数の民泊が営業している地域では、価格競争が激化し、十分な収益を確保することが困難になります。特に観光地として成熟したエリアでは、宿泊施設の供給過剰が深刻な問題となっています。
一方で、治安の悪化により観光客が敬遠するようになったエリアも需要不足の原因となります。犯罪発生率の高い地域や、街の荒廃が進んでいる地域では、安全性への懸念から宿泊需要が低迷する傾向があります。
違法民泊が多いエリア
違法民泊が多く存在するエリアでの民泊運営は、様々なリスクを伴います。なぜなら、違法営業が横行している地域では、適法な民泊事業者も同様の疑いを持たれやすく、行政の監視が厳しくなる傾向があるからです。
まず、無許可営業の民泊が多数存在するエリアは避けるべきです。住宅宿泊事業法に基づく届出を行わずに営業している施設が多い地域では、行政による一斉取り締まりが実施される可能性があります。その際、適法に営業している民泊も詳細な調査の対象となり、営業に支障をきたす可能性があります。
次に、建築基準法や消防法に違反した民泊が多いエリアも問題です。安全基準を満たさない建物での民泊営業は、火災や事故のリスクを高めるだけでなく、地域全体の民泊に対する信頼性を損ないます。このような地域では、適法に営業している民泊も含めて、安全性への疑問が持たれやすくなります。
また、税務申告を適切に行わない民泊事業者が多いエリアも注意が必要です。所得税や住民税の申告漏れが多発している地域では、税務当局による調査が強化される可能性があります。適法に納税している事業者も、同様の調査を受ける可能性が高くなります。
さらに、近隣住民への迷惑行為が多発している違法民泊があるエリアも避けるべきです。騒音問題、ゴミ出しルール違反、共用部分の無断使用などの問題が頻発している地域では、民泊全体に対する住民の反感が高まり、適法に営業している民泊も同様の扱いを受ける可能性があります。
一方で、暴力団などの反社会的勢力が関与している疑いのある民泊があるエリアは絶対に避けるべきです。このような地域では、法的リスクだけでなく、安全面でも重大な問題が生じる可能性があります。
最後に、行政指導や処分を受けた民泊が多いエリアも注意が必要です。過去に営業停止処分や改善命令を受けた施設が多い地域では、行政の監視体制が強化されており、わずかな違反でも厳しい処分を受ける可能性があります。このような地域での民泊運営は、常に行政処分のリスクを抱えながら事業を継続することになり、安定した運営が困難になります。
関連:違法民泊とは?運営するリスクはどんなものがある?
民泊におすすめのエリア

民泊事業で成功するためには、需要が安定しており、かつ適切な規制環境が整っているエリアを選ぶことが重要です。ここでは、民泊運営におすすめのエリアを見ていきましょう。
これらのエリアは、観光需要とビジネス需要の両方を満たし、持続可能な収益を期待できる地域として選定しています。
東京エリア

東京は日本最大の民泊市場であり、インバウンド観光客とビジネス利用者の両方から高い需要があります。特に交通の利便性が高く、観光スポットやビジネス街へのアクセスが良好なエリアは、年間を通じて安定した稼働率を維持できます。
特に以下のエリアはおすすめです。
- 新宿区
- 豊島区(池袋)
- 墨田区(押上・両国)
- 渋谷区
- 台東区(上野・浅草)
- 千代田区(東京駅)
- 中央区(日本橋)
関連:東京での民泊運営は儲かる?東京での民泊運営の実態を紹介
新宿区
新宿区は東京でも最も民泊需要が高いエリアの一つです。まず、新宿駅は世界最大級のターミナル駅であり、JR山手線、中央線、総武線をはじめ、私鉄各線や地下鉄が集結しています。そのため、羽田空港や成田空港からのアクセスも良好で、インバウンドゲストにとって非常に利便性の高い立地となっています。
新宿区内には、歌舞伎町の繁華街、伊勢丹や高島屋などの百貨店、新宿御苑などの観光スポットが集中しており、観光目的の宿泊需要が豊富です。また、新宿西口の高層ビル群には多くの企業が入居しており、ビジネス利用者からの需要も安定しています。
さらに、新宿区は24時間営業の店舗が多く、深夜でも活気があるため、夜遅くに到着するゲストにとっても安心できる環境です。一方で、歌舞伎町周辺は騒音問題に注意が必要であり、静かな環境を求めるファミリー層には適さない場合があります。
新宿区での民泊運営では、平均宿泊料金が比較的高く設定でき、特に週末や繁忙期には高い収益性が期待できます。ただし、競合が多いため、差別化のための工夫が必要です。
豊島区(池袋)
豊島区の池袋エリアは、新宿に次ぐ主要なターミナル駅として高い人気を誇ります。池袋駅はJR山手線、埼京線、湘南新宿ライン、東武東上線、西武池袋線、地下鉄丸ノ内線、有楽町線、副都心線が乗り入れており、都内各所へのアクセスが抜群です。
池袋の特徴は、サンシャインシティ、ナンジャタウン、池袋演芸場などのエンターテインメント施設が充実していることです。また、サンシャイン水族館やプラネタリウムなど、ファミリー向けの施設も豊富で、幅広い年齢層からの需要があります。
また、池袋は中国系の観光客に特に人気が高く、中華料理店や中国系の商店が多数あります。そのため、中華圏からのインバウンドゲストには特に好まれる傾向があります。
豊島区では、新宿区と比較して物件価格が若干安いため、初期投資を抑えながら高い稼働率を期待できます。ただし、繁華街特有の騒音問題があるため、防音対策が重要になります。
墨田区(押上・両国)
墨田区の押上・両国エリアは、東京スカイツリーの開業により観光地としての地位が大幅に向上しました。押上駅周辺は、東京スカイツリータウンを中心とした一大観光エリアとなっており、国内外からの観光客が年間を通じて訪れています。
東京スカイツリーは、世界最高クラスの電波塔として海外でも知名度が高く、インバウンドゲストの必見スポットとなっています。また、すみだ水族館やプラネタリウム、多数のショップやレストランがあるため、一日中楽しめる観光地として人気があります。
両国エリアでは、国技館での相撲観戦や江戸東京博物館などの文化施設があり、日本の伝統文化に関心の高いゲストから支持されています。特に相撲の本場所開催期間中は、宿泊需要が大幅に増加します。
墨田区は下町情緒が残るエリアでもあり、外国人観光客が求める「本物の日本」を体験できる場所として注目されています。地域住民との関係も比較的良好で、民泊に対する理解度が高いことも特徴です。
渋谷区
渋谷区は、若者文化の発信地として世界的に有名であり、特に若年層の観光客から高い人気を誇ります。渋谷駅は山手線をはじめ、多数の路線が乗り入れるターミナル駅で、交通の利便性も抜群です。
渋谷スクランブル交差点は、東京を代表する観光スポットとして海外でも広く知られており、多くの外国人観光客が記念撮影のために訪れます。また、渋谷センター街、109、パルコなどの商業施設が充実しており、ショッピング目的の宿泊需要も豊富です。
代官山や恵比寿などの高級住宅街も渋谷区に含まれ、これらのエリアでは富裕層向けの高級民泊需要があります。特に代官山は、おしゃれなカフェやブティックが多く、女性グループや若いカップルに人気があります。
渋谷区での民泊運営では、立地により客層が大きく異なるため、ターゲットに応じた戦略が重要です。センター街周辺では若者向け、代官山・恵比寿では高級志向のゲストを意識した運営が効果的です。
関連:渋谷で民泊を始める方法とは?始めるメリット、デメリット、必要なものなど解説
台東区(上野・浅草)
台東区の上野・浅草エリアは、伝統的な観光地として長年にわたり高い人気を維持しています。上野駅は東北・上越新幹線の起点駅であり、成田空港からのスカイライナーも乗り入れているため、地方や海外からのアクセスが非常に良好です。
上野公園には、東京国立博物館、国立科学博物館、上野動物園などの文化施設が集中しており、教育的な観光を目的とするファミリー層からの需要が高いです。また、春の桜の名所としても有名で、花見シーズンには宿泊需要が急増します。
浅草は、浅草寺を中心とした歴史ある観光地であり、特に外国人観光客に人気があります。伝統的な下町の雰囲気を残しており、日本文化を体験したい観光客にとって魅力的な立地です。また、隅田川の花火大会や三社祭などのイベント時には、宿泊需要が大幅に増加します。
台東区は、比較的規制が緩やかで民泊運営がしやすい環境が整っています。また、地域住民の観光業への理解度が高く、民泊事業者との協力関係を築きやすいことも特徴です。
千代田区(東京駅)
千代田区の東京駅周辺は、日本のビジネスの中心地として極めて高い宿泊需要があります。東京駅は、東海道新幹線、東北新幹線、上越新幹線の起点駅であり、全国各地からのアクセスが抜群です。また、丸の内や大手町などの日本を代表するビジネス街が隣接しており、ビジネス利用者からの安定した需要が期待できます。
皇居や東京国際フォーラム、東京ステーションギャラリーなどの観光・文化施設も充実しており、観光目的の宿泊需要もあります。特に皇居東御苑は、外国人観光客に人気の無料観光スポットとして知られています。
千代田区は、東京の中心部に位置するため物件価格が高いものの、宿泊料金も高く設定できるため、適切な運営により高い収益性を実現できます。ただし、平日と休日の需要格差が大きいため、価格戦略の工夫が必要です。
中央区(日本橋)
中央区の日本橋エリアは、江戸時代から続く商業の中心地として歴史と伝統があります。日本橋駅は、東京メトロ銀座線、東西線、都営浅草線が乗り入れており、都内各所へのアクセスが良好です。
日本橋には、三越本店や高島屋などの老舗百貨店があり、ショッピング目的の観光客からの需要があります。また、日本銀行や証券会社などの金融機関が集中しており、ビジネス利用者からの需要も安定しています。
築地市場の移転後も、築地場外市場は観光スポットとして人気を維持しており、グルメ目的の観光客が多く訪れます。また、歌舞伎座や明治座などの劇場があり、文化的な観光需要もあります。
中央区は、伝統的な商業地域として地域住民の観光業への理解度が高く、民泊運営に対しても比較的寛容な環境があります。
大阪エリア

大阪は西日本最大の民泊市場であり、関西国際空港からのアクセスの良さとグルメ文化により、特に外国人観光客から高い人気を誇ります。食い倒れの街として世界的に有名で、美食を目的とした観光客が多く訪れます。
特に以下のエリアは民泊運営におすすめです。
- なんば
- 心斎橋
- 梅田
- 天王寺
なんば
なんばは大阪の代表的な観光・商業エリアであり、民泊需要が最も高い地域の一つです。なんば駅は、南海電鉄、近鉄、阪神電車、地下鉄各線が乗り入れるターミナル駅で、関西国際空港からの直通アクセスも良好です。
道頓堀は大阪を代表する観光スポットであり、グリコの看板やかに道楽の看板など、大阪のシンボル的な風景があります。また、たこ焼きやお好み焼きなどの大阪名物グルメを楽しめる店舗が密集しており、グルメ目的の観光客には欠かせない立地です。
なんばグランド花月では、吉本新喜劇などの関西独特のお笑い文化を体験でき、エンターテインメント目的の観光客からも人気があります。また、高島屋大阪店やなんばパークスなどの大型商業施設もあり、ショッピング需要も豊富です。
なんばエリアでの民泊運営では、外国人観光客の比率が非常に高いため、多言語対応やインバウンド向けのサービス提供が重要になります。
心斎橋
心斎橋は大阪の高級ショッピングエリアとして知られ、特に女性の観光客から高い人気を誇ります。心斎橋駅は地下鉄御堂筋線と長堀鶴見緑地線が乗り入れており、なんばや梅田へのアクセスも良好です。
心斎橋筋商店街は、老舗の店舗から最新のファッションブランドまで幅広い店舗が立ち並ぶ関西最大級のショッピングストリートです。また、アメリカ村は若者文化の発信地として知られ、古着店やカフェ、ライブハウスなどが集まっています。
心斎橋エリアは、大阪の中心部に位置しながらも比較的静かな住環境があり、ファミリー層や女性グループからの需要が高いです。また、高級ホテルが少ないエリアでもあるため、上質な民泊への需要があります。
梅田
梅田は大阪最大のターミナル駅であり、ビジネス利用者からの需要が特に高いエリアです。大阪駅、梅田駅、東梅田駅、西梅田駅が集中しており、JR各線、阪急電車、阪神電車、地下鉄各線が乗り入れています。
梅田スカイビルの空中庭園展望台は、大阪を代表する観光スポットの一つであり、特に夜景の美しさで有名です。また、阪急百貨店、阪神百貨店、大丸梅田店などの百貨店が集中しており、ショッピング需要も豊富です。
梅田エリアは、関西の経済の中心地として多くの企業が本社や支社を構えており、平日のビジネス利用者からの安定した需要があります。一方で、週末の観光需要も高く、年間を通じて高い稼働率を維持できます。
天王寺
天王寺は大阪南部の交通の要衝であり、関西国際空港からのアクセスが良好なエリアです。天王寺駅は、JR各線、近鉄南大阪線、地下鉄各線が乗り入れており、奈良方面へのアクセスも良いため、関西観光の拠点として人気があります。
あべのハルカスは日本一高い超高層ビルとして知られ、展望台からの眺望が観光客に人気です。また、天王寺動物園や四天王寺などの観光スポットもあり、ファミリー層からの需要があります。
天王寺エリアは、大阪の主要エリアの中では比較的物件価格が安く、初期投資を抑えながら民泊運営を始めることができます。また、多様な客層に対応できる立地であり、安定した需要が期待できます。
京都エリア

京都は日本を代表する観光都市であり、歴史的な寺社仏閣や伝統文化を目的とした観光客が世界中から訪れます。特に外国人観光客からの人気が高く、日本の伝統文化を体験したいゲストには最適な立地です。
以下のエリアがおすすめです。
- 四条河原町
- 祇園
- 嵐山
- 京都駅周辺
関連:京都の民泊運営は儲かる?儲かると注目されている理由など解説!
四条河原町
四条河原町は京都の繁華街の中心であり、ショッピングや飲食を楽しむ観光客から高い人気があります。四条駅と河原町駅は、阪急電車、京阪電車、地下鉄烏丸線が乗り入れており、京都市内各所へのアクセスが良好です。
祇園や先斗町などの花街が徒歩圏内にあり、舞妓さんや芸妓さんに出会える可能性があることから、外国人観光客には特に人気の高いエリアです。また、京都の老舗料理店や和菓子店が多数あり、京料理や和スイーツを楽しみたいゲストには最適な立地です。
四条通りには、高島屋京都店、大丸京都店、京都マルイなどの百貨店・商業施設があり、ショッピング需要も豊富です。また、錦市場は「京都の台所」として知られ、食材や京都特産品を求める観光客で賑わっています。
祇園
祇園は京都を代表する花街であり、日本の伝統文化を体験したい観光客にとって最も魅力的なエリアの一つです。八坂神社、知恩院、円山公園などの有名な観光スポットが徒歩圏内にあり、観光の拠点として優れた立地です。
祇園の石畳の街並みは、江戸時代の雰囲気を今に伝える貴重な景観であり、特に外国人観光客に人気があります。また、祇園祭などの伝統的な祭りの際には、宿泊需要が大幅に増加します。
祇園エリアでの民泊運営では、伝統的な日本家屋を活用した町家民泊が特に人気があります。畳や和室、庭園などの日本らしい要素を取り入れることで、他の宿泊施設との差別化を図ることができます。
嵐山
嵐山は京都西部に位置する自然豊かな観光地であり、竹林の小径や渡月橋などの美しい景観で知られています。嵐山駅は、JR嵯峨野線、阪急嵐山線、京福電鉄嵐山線が乗り入れており、京都市内からのアクセスも良好です。
竹林の小径は、インスタグラムなどのSNSで話題となり、特に若い女性観光客から高い人気を誇ります。また、天龍寺や野宮神社などの歴史ある寺社があり、精神的な体験を求める観光客にも魅力的です。
嵐山エリアは、桜や紅葉の名所としても有名で、春と秋には観光客が急増します。また、保津川下りやトロッコ列車などのアクティビティも楽しめるため、アクティブな観光を好むゲストからも支持されています。
京都駅周辺
京都駅周辺は、京都観光の玄関口として多くの観光客が利用するエリアです。京都駅は、東海道新幹線、JR東海道本線、近鉄京都線、地下鉄烏丸線が乗り入れる関西最大級のターミナル駅で、全国各地からのアクセスが抜群です。
京都タワーや東寺などの観光スポットが徒歩圏内にあり、京都観光の拠点として優れた立地です。また、京都駅ビルには、多数のレストランやショップがあり、観光客の利便性が高いです。
京都駅周辺は、他の京都市内のエリアと比較して近代的な街並みですが、交通の利便性と宿泊施設不足により、高い需要があります。特に大型の荷物を持った観光客には、駅近の立地は大きなメリットとなります。
地方・リゾートエリア

地方やリゾートエリアは、都市部とは異なる魅力を持ち、特定の目的を持った観光客から高い需要があります。自然や温泉、地域の文化や食材などの地域資源を活用することで、差別化された民泊運営が可能です。
特におすすめな地域である熱海と北海道について紹介します。
熱海(静岡県)
熱海は東京から新幹線で約45分という近さにありながら、温泉リゾートとしての魅力を持つエリアです。熱海駅は東海道新幹線と東海道本線が乗り入れており、首都圏からのアクセスが抜群です。
熱海温泉は1200年以上の歴史を持つ名湯であり、温泉目的の観光客が年間を通じて訪れます。また、熱海梅園や来宮神社などの観光スポットもあり、四季を通じて楽しめる観光地として人気があります。
熱海の海岸線は相模湾を望む絶景スポットであり、特に花火大会の際には多くの観光客が訪れます。また、海鮮料理や温泉まんじゅうなどの地域グルメも魅力の一つです。
熱海での民泊運営では、温泉付きの物件や海が見える物件が特に人気があります。また、都心からの日帰り圏内にあることから、週末利用が多い特徴があります。
北海道(札幌・ニセコ・函館・小樽)
北海道は日本最大の観光地の一つであり、雄大な自然と美味しい食材で世界的に有名です。特に冬季のスキーシーズンと夏季の避暑シーズンには、国内外から多くの観光客が訪れます。
札幌は北海道の中心都市であり、新千歳空港からのアクセスが良好です。札幌雪まつりや大通公園、すすきの繁華街などの観光スポットがあり、年間を通じて観光客が訪れます。また、海鮮料理やジンギスカン、ラーメンなどのグルメも魅力です。
ニセコは世界的に有名なスキーリゾートであり、特に外国人観光客から高い人気を誇ります。パウダースノーの質の高さで知られ、冬季には欧米系の観光客が多く訪れます。夏季にはゴルフや登山などのアクティビティも楽しめます。
函館は歴史的な港町として知られ、函館山からの夜景や朝市での海鮮グルメが人気です。また、五稜郭公園や赤レンガ倉庫群などの歴史的建造物もあり、文化的な観光を楽しむゲストに人気があります。
小樽は運河の美しい景観とガラス工芸で有名な観光地です。小樽運河や北一硝子などの観光スポットがあり、特に女性観光客から高い人気があります。また、海鮮料理や地酒も魅力の一つです。
北海道での民泊運営では、地域の特色を活かした体験型のサービス提供が重要です。また、季節による需要変動が大きいため、繁忙期と閑散期に応じた価格戦略が必要です。
関連:北海道での民泊運営は儲かる?民泊需要のある地域など紹介!
まとめ
民泊事業で成功するためには、適切なエリア選びが何よりも重要です。交通アクセスの良さ、観光スポットへの近さ、治安の良い周辺環境、適切な需要と供給のバランス、そして自治体の規制内容の確認は、必ず押さえておくべき基本的なポイントです。
一方で、民泊禁止や厳格な規制があるエリア、住民トラブルが起きやすい地域、需要が極端に低い場所、違法民泊が多い地域は避けることが大切です。これらのエリアでの運営は、法的リスクや収益性の低下など、様々な問題を引き起こす可能性があります。
具体的なおすすめエリアとしては、東京では新宿区、豊島区、墨田区、渋谷区、台東区、千代田区、中央区が挙げられます。それぞれ異なる魅力と客層を持ち、安定した需要が期待できます。大阪のなんば、心斎橋、梅田、天王寺は、グルメ文化とインバウンド需要の高さが特徴です。京都の四条河原町、祇園、嵐山、京都駅周辺は、日本の伝統文化を求める観光客に人気があります。
地方・リゾートエリアでは、熱海の温泉リゾートとしての魅力や、北海道の雄大な自然と四季の美しさが、都市部とは異なる独特の需要を生み出しています。
民泊エリア選びは、単に人気の高い場所を選ぶだけでは不十分です。あなたの投資予算、運営スタイル、ターゲットとする客層を総合的に考慮し、最適な立地を選択することが成功への近道となります。本記事で紹介した情報を参考に、ぜひ理想的な民泊エリアを見つけてください。