東京の民泊は本当に儲かるのか?

東京は宿泊需要が高く、単価も稼働率も全国の上位に並びます。それでも、始めた人の3人に1人以上が途中で手を引いています。
数字の見栄えと、続けられるかどうかは別の問題です。
東京の平均稼働率・宿泊単価の実態
東京都市部の民泊は、平均稼働率がおよそ70%。1泊あたりの平均宿泊料金は1〜1.5万円です。
宿泊単価も稼働率も、全国で見れば高い水準にあります。
ただし、実際には年間を通して客室は埋まりません。観光庁の宿泊旅行統計では、届出住宅1件あたりの平均宿泊日数は年換算で約103日。民泊新法の上限180日の57%にとどまります。
営業できる日の半分近くは、客がついていない計算です。
朝の通勤電車で東京 民泊 儲かると検索し、単価と稼働率の高さに手応えを感じる会社員は少なくありません。そこで見えている数字は本物です。手応えの根拠になる平均が、実際の稼働では半分近く目減りするところまでは見えていないだけです。
収益シミュレーション(ワンルーム・1LDK別)
週末だけ自宅を貸していたオーナーが、撤退を考え始めます。賃料が月10万円の物件を民泊で回すと、売上は月25万円前後まで届きます。経費を差し引いた手残りは月5〜10万円。数字の上では成立します。
ところが、この前提は稼働が安定して埋まったときの話です。
稼働率40%・1泊5,000円で単純計算すると月15万円。それでも家賃や清掃の固定費は毎月出続け、手残りが月5万円で精一杯と分かって手が止まります。週末だけの貸し出しでは、この水準が限界でした。
単価を上げても結果が変わらない物件もあります。
稼働率30%・1泊4万円なら年180万円。この回転だと回収まで15年以上という試算が出ます。1泊4万円は高単価です。埋まらなければ、その単価は紙の上の数字で終わります。
東京で勝負になるのは、高い単価を取れる物件ではなく、その単価を埋め続けられる物件です。
収益の計算と物件選びの基本的な考え方を整理しておきたい方には、まず民泊全体の仕組みから確認するのが近道です。
▶ 民泊投資とは?
廃業率38%の現実と生き残る物件の違い
始めた3人に1人以上が、東京でも途中で撤退します。全国の廃業率はおよそ36〜38%。
住宅宿泊事業法の累計届出は57,000件を超えました(観光庁・2025年11月時点)。ところが廃止は2万件以上に達し、廃止率は36〜38%に達します。
生き残る側と消える側の差は、はっきり出ています。
たとえばAIで価格を動かし、プロの清掃を入れる物件は稼働率60%超を保ちます。価格を固定したまま自分で清掃を回す物件は、40%以下から抜け出せません。同じ東京の物件でも、運営の手の入れ方で稼働率が20ポイント以上開く現場です。
東京で残るのは、需要の高さに乗った物件ではなく、需要を取りにいく手数をかけた物件。その手数の前提が、区の営業可能日数で決まります。
東京23区で稼げるエリアと規制の実態

同じ23区でも、上乗せ条例がない区とある区では、年間で営業できる前提がまるごと変わります。物件の立地や内装を比べる前に、その区が何日まで貸せるのかを先に確かめないと、契約してから後悔することになります。
規制なし・営業日数180日のエリア(北区・江戸川区等)
休日に北区の物件を内見し、駅からの距離と間取りを確かめて、ここなら180日フルで回せると手応えを感じて帰宅するオーナーがいます。上乗せ条例のない区では、法律の上限である年間180日をそのまま使えます。北区と江戸川区がこれにあたり、平日も週末も曜日の縛りなく予約を受けられる前提で計算できます(stayexit 調査時点)。
もっとも、180日という枠が大きいほど物件選びの自由度も上がります。曜日限定の区だと土日しか貸せず予約の取りこぼしが出ますが、フル営業の区ではその制約がありません。
たとえば大田区は別の枠組みで、羽田空港に近い立地を生かした特区民泊なら365日営業できます。羽田空港近接の物件で外国人ビジネス客を取り込み、月30万円超を安定して確保するケースも出ています。
180日と365日。この前提の違いが、そのまま年間の売上に乗ってきます。物件より先に区を選ぶ理由は、ここにあります。
2026年に規制が強化されるエリア(豊島区・墨田区等)
豊島区は2026年12月16日から、既存の施設も含めて年間120日制限に切り替わります(stayexit 2026年2月)。これまで180日で回していた物件も例外なく対象になり、来年からは貸せる日数が60日削られます。
ただし、120日という数字以上に効くのが営業できる時期の縛りです。豊島区の条例は夏休みや年末年始など需要期に寄った設計になっていますが、180日から120日に減ると、年間の売上は約53%減るというシミュレーションも出ています。
平日深夜に池袋の自宅でPCを開き、来年から収益が半分近くまで落ちると気づいて売却に傾くオーナーが出ています。墨田区と葛飾区は2026年4月施行で、こちらは既存施設が適用外になる線引きです。渋谷区も直近の区議会に改正案が出ており、規制の波は池袋だけにとどまりません。今は180日の区でも、来年の条例次第で前提が崩れることは頭に入れておくべきです。
区別の上乗せ条例まとめ
新宿区は届出3,506件で23区の最多。歌舞伎町や新大久保を抱え、需要が集まる区ほど上乗せ条例で営業に縛りがかかっています。墨田区は届出1,950件で、来年4月から規制が強化される側に入ります。
一方、北区と江戸川区には上乗せ条例がなく、180日をそのまま使えます。届出件数の多い区ほど規制が重く、件数の少ない区のほうがフルで回せるという、立地の良さと営業のしやすさが逆を向く並びです。
たとえば同じ予算で物件を探すなら、新宿の一等地で120日も貸せない部屋より、北区で180日回せる部屋のほうが年間の売上は読めます。物件の場所を決めてから区の日数を調べる順番では、間に合いません。
各区の条例の詳細と最新の日数制限を区ごとに確認したい場合は、以下にまとめています。
東京で民泊を始めるための費用と回収期間

賃貸を借り上げれば、物件を買わずに東京で民泊を始められます。ただし開業前にまとまったお金が出ていきます。
家賃のほかに、消防まわりや内装の費用が先に発生します。ここを見ないまま物件を決めると、回収の計算が最初からずれます。
初期費用の内訳(物件取得・消防設備・内装等)
物件取得にかかる敷金・礼金・保証料などで、まず50〜80万円。賃貸契約の段階で動くお金です。
次に消防設備。火災報知器、避難経路の確保、非常灯などで50万円程度かかります。宿泊者を泊める以上、ここは削れません。
内装・家具・家電で50〜150万円。ベッドやWi-Fi、調理器具まで揃えると上限に近づきます。
全部を足すと、初期費用の目安は50〜300万円。物件と内装のグレードで開きが大きい数字です。
たとえば築70年の家をリフォームして民泊にしたケースでは、安全確保のための工事費が想定を超えて膨らみました。古い建物は配線や避難経路が今の基準に合っておらず、消防まわりだけで見積もりが何度も書き換わる。
内装費を抑えたつもりでも、安全に泊められる状態にするまでの出費は読みにくい。築年数の古い物件ほど、この上振れを初期費用に織り込んでおくべきです。
ランニングコスト(運営代行料・清掃・光熱費)
運営代行を頼むと、料金は売上の15%程度です。予約対応もゲスト連絡も任せられる代わりに、売上が伸びるほど支払いも増えます。
清掃やメンテナンスを含めた月額コストは、物件の規模で12〜50万円。1DKから2LDKくらいなら、月15〜25万円の範囲に収まります。
光熱費はゲストの滞在中ずっと動きます。固定費として見落とすと、手残りが計算と合いません。
もっとも、代行を使わず自分で回せば代行料は浮きます。ただし手間は跳ね返る。清掃業者が当日キャンセルし、チェックイン3時間前に自分で掃除へ走ったオーナーの休日。
回収期間の目安
回収できるかどうかは、その区が年に何日営業できるかでほぼ決まります。
稼働率30%・1泊4万円なら年180万円。初期費用を上限の300万円かけていれば、回収に15年以上かかる試算です。営業日数が削られれば、この年数はさらに伸びます。
そのため同じ初期費用でも、フル営業できる区と、日数を絞られた区では回収までの年数が変わります。物件のグレードより、区の営業可能日数が先に効く。
豊島区では、年売上129万円から60万円へ半分近くまで落ちる試算を前に、回収の見通しが崩れて売却に傾いたオーナーがいます。費用を組む前に、その区で何日回せるかを先に確かめておくべき数字です。
東京の民泊が選ばれる理由

同じ部屋を貸すにしても、長期の賃貸契約で回すより民泊として短期で貸し出したほうが、手元に残るお金が厚くなる場合があります。ただし区を間違えなければ、東京で民泊に手を出す人が増えている背景には、この収益の差と、観光客が途切れない都心という立地があります。
高い収益性と集客力
賃料と民泊売上の差額が手残りになる仕組みで、東京の単価と稼働率はその差額を大きくします。長期で人に貸すだけなら賃料がそのまま天井ですが、宿泊単位で回すと一泊あたりの単価が増えていきます。繁忙期には通常の1.5〜2倍の料金設定もでき、桜の時期や年末年始に価格を引き上げて稼ぐ部屋も出てきます。
集客の面でも都心は有利です。たとえば山手線沿線の物件なら、主要な観光地への近さを写真や説明文で訴求でき、予約サイトの検索結果で上位に表示されやすくなります。検索上位に並べば予約が入り、稼働が安定して単価も保てる。東京の宿泊需要を背景に、この単価の積み上がりが収益を底上げする土台。
運営代行で手間ゼロの副業が可能
当日深夜0時、宿泊客からスマートロックが開かないと連絡が入ります。代行会社に電話してもつながらず、対応を自分でやるしかなくなります。こうした場面は自己運営の限界をよく表しています。
民泊には予約管理・ゲスト対応・清掃をまとめて引き受ける運営代行があり、料金は売上の15%程度が目安です。本業を持ちながら参入する人にとって、夜間や早朝のトラブル対応を任せられる意味は大きいです。
すべてを代行に預ければ、物件選びと数字の確認だけに関わり、運営の実務から距離を置く形も取れます。たとえば日中は別の仕事をして、清掃やチェックイン連絡は代行に回すという分担。手間を切り離せる点が、副業として東京の民泊が選ばれる理由のひとつになっています。
代行会社の選び方や費用感を確認したい方には、東京の代行会社をまとめた情報が参考になります。
副業・少額から参入できる
物件を買うのではなく、賃貸で借りた部屋を又貸しの形で民泊に回せば、購入のための多額の資金やローンを組まずに始められます。初期費用を抑えて入れる入り口があるため、まとまった元手のない人でも検討の対象に入ります。
実際に、物件を所有しないまま賃貸を借り上げて運営する20代・30代が増えています。たとえば本業の収入を元手に一室から試し、軌道に乗れば二室目を借りる形で広げていく動き。不動産投資のように頭金を貯めてから動く必要はありません。
東京で民泊を運営するリスク
浅草の自宅マンション1室で民泊を始めた翌日、管理組合から民泊禁止条項違反を理由に警告書が届いたケースがあります。物件を借り、内装を整え、予約サイトに掲載するところまでは順調に進む。区を選んで始めても、運営中に立ちはだかる壁は法規制だけにとどまりません。
法規制・行政指導リスク
警告書が届く前に、無許可のまま客を泊めてしまう例が後を絶ちません。届出をせずに営業した場合、100万円以下の罰金が科されます。さらに消防法に基づく火災報知器や避難経路、非常灯といった設備の整備には、初期コストとして50万円程度が別途かかる。安く始めたつもりが、適法な状態にするだけで重い負担が乗ってきます。
行政の動きは静かに進みます。近隣からの通報を起点に立入検査が入り、設備の不備や届出の不一致が発覚すれば、営業停止処分につながる。一度処分を受ければ、整えた物件も予約も止まったまま固定費だけが出続けます。法規制は始めるときの関門ではなく、運営中ずっと続く監視の目だと考えておくべきです。
近隣トラブル・競合激化リスク
東京で届出が最も多い区は3,506件に達し、同じエリア内でホスト同士が客を奪い合います。物件が増えれば1軒あたりの予約は薄まり、価格を下げなければ埋まらない局面が増える。オフシーズンには稼働率が30%を下回ることもあり、繁忙期の数字だけを見て計画を立てると収支が崩れます。
競合は外だけにいるわけではありません。外国人ゲストの深夜の会話や足音、複雑なゴミ分別の不徹底をきっかけに、管理組合や近所からクレームが入る場面も増えています。苦情が積み重なれば、規約改定や行政への通報という形で運営そのものが揺らぐ。価格の下げ合いと近隣の目に挟まれて、続けたくても続けられません。
悪質ゲスト・外部要因リスク
前日に外国人ゲスト5名の予約が入り、当日になって申告より3名多い8名で来場したケースがあります。チェックイン直前に断ることもできず、定員超過を黙認するしかなかった。トラブルや備品の破損が起きても、相手は数日で出国し責任を追えません。
外部環境の急変も収益を直撃します。2020年の新型コロナ拡大時には、東京の民泊需要は急減しました。予約はほぼ消え、固定費だけが残る。区を選び設備を整えても、ゲストの質や世界情勢といった自分で制御できない要因が、収益の前提を一夜で覆します。
東京で民泊を始めるには
運営実績のある物件を引き継げば、過去の宿泊データや売上の記録を見てから始められます。ゼロから届出を出して開業するのとは入り口が違います。東京で民泊を始める道は、自分で物件を見つけて一から立ち上げるか、すでに動いている物件を買うか、大きく二つに分かれます。どちらを選ぶかで、開業までの時間も、回収の読み方も変わってきます。
自力で物件を開拓する
まず物件を探し、賃貸または購入の契約を結び、住宅宿泊事業法の届出と保健所への申請を進めます。消防設備や近隣への周知も自分で手配し、そのうえで内装を整えて運営方法を決めていく流れです。物件探しから許認可取得、内装設計、運営の仕組みまで、すべてを自分の手で決められるのがこの道の利点です。
ただし、許認可取得には数ヶ月かかることがあります。届出書類の不備で差し戻されたり、消防の確認が長引いたりすれば、その間は1円も入ってきません。立地も実際に走らせてみるまで読めず、想定した数字に届かない月が続くこともあります。手続きの煩雑さに途中で手が止まる参入者も少なくありません。
届出から運営開始までの手順を一通り確認しておきたい方は、以下のガイドが参考になります。
M&A仲介で実績物件を購入する
すでに営業している物件を、許認可ごと買い取る方法もあります。民泊M&A仲介会社は、物件価値の評価から売買契約、許認可の引継ぎまでを支援します。届出をゼロから取り直す数ヶ月を待たず、権利譲渡で引き継いで開業までの時間を縮められます。
自力での開拓と比べたとき、いちばん違うのは判断材料の量です。新規開業は立地も集客も走ってみるまで読めません。一方、実績物件なら過去の宿泊データ、売上、ゲストからの評価をすべて確認してから投資の判断ができます。
回収の読み違いを減らせるのは、この見える化された数字があるからです。買収費用は新規より高くつくものの、空白の数ヶ月と読み違いの両方を避けられる点で、初めての参入には向いた入り方になります。物件を探す前に、まずはその区が年間でどれだけ営業できるかを確かめてから動くのが先決です。
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まとめ
東京の民泊は、区を選んでから物件を探すことが収益の出発点です。北区・江戸川区は上乗せ条例なしでフル営業できますが、豊島区は来年12月から120日制限となり、年間売上が半減する試算が出ています。
収益シミュレーションでみると、月10万円の賃貸物件を月25万円の売上で回せても、経費を引いた手残りは月5〜10万円にとどまります。廃業率は前述の通り高く、始める前に費用の回収年数と区の営業日数を両方確かめることが必要です。
参入方法は、自力で物件を開拓するか、民泊M&A仲介で実績物件を購入するかの2択です。後者なら過去の稼働データを確認してから投資判断でき、許認可取得の期間も短縮できます。
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