民泊事業からの撤退を考えていますか?期待していたほどの収益が出ない、法規制の強化で運営が難しくなった、単純に管理の手間が負担になってきた…様々な理由で「もうやめたい」と感じている方も少なくないでしょう。しかし、民泊事業をやめる際には単に部屋を閉めるだけではなく、行政への届出や税務処理など、複数の重要な手続きが必要です。また、撤退には思わぬ費用がかかることも。
この記事では、民泊撤退に必要な具体的な手続きから費用の目安、後悔しないための重要ポイントまで、民泊オーナーの撤退をスムーズに進めるための情報について解説します。
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民泊売却したい方のお問い合わせはこちら! ▶︎民泊をやめる際の具体的な手続きとは?

民泊事業からの撤退を考えている方は少なくありません。コロナ禍の影響や法規制の強化、運営の負担増加など、さまざまな理由で「もう限界かも」と感じる場面があるものです。
しかし、民泊をやめる際には単に部屋を閉めるだけではなく、いくつかの重要な手続きが必要になります。適切な手順を踏まないと、思わぬトラブルや追加費用が発生する可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、民泊撤退に必要な具体的な手続きについて、順を追って解説します。
民泊の種類を確認する
民泊撤退の手続きを始める前に、まず自分がどのタイプの民泊事業を行っているかを確認することが重要です。民泊には大きく分けて「住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊」と「旅館業法に基づく簡易宿所」の2種類があります。
住宅宿泊事業法に基づく民泊の場合は、都道府県知事等への廃業届が必要になります。一方、旅館業法に基づく簡易宿所の場合は、保健所への廃業届が必要です。それぞれ提出先や必要書類が異なるため、まずは自分がどちらの制度で運営しているかを確認しましょう。
また、民泊の種類によって撤退時の税務処理も変わってきます。例えば、簡易宿所として開業している場合は、固定資産の処分や減価償却資産の扱いなどについて、より複雑な手続きが必要になることがあります。
賃貸物件の場合:物件を元の状態に戻す
賃貸物件で民泊を運営していた場合、撤退に伴って物件を元の状態に戻す作業が必要になります。これは単なる原状回復以上に重要な工程です。
まず、宿泊者向けに設置した家具や家電、消火器などの安全設備を撤去する必要があります。また、玄関のスマートロックや鍵の保管ボックスなどの特殊設備も取り外す必要があるでしょう。
特に重要なのは、内装の変更を行った場合の対応です。間取りの変更や壁の塗り替え、床材の張り替えなどを行っていた場合、賃貸契約の条件によっては元の状態に戻すことが求められます。この原状回復費用は決して安くなく、数十万円かかるケースも珍しくありません。
また、賃貸契約書をよく確認して、解約予告期間を守ることも大切です。多くの賃貸契約では1〜2ヶ月前の解約通知が必要とされており、これを守らないと余分な家賃を支払うことになります。
さらに、近隣住民への挨拶や説明も忘れないようにしましょう。民泊運営中に何かしらのトラブルがあった場合は、撤退時に一言謝罪の言葉を伝えておくと、後々のトラブル防止につながります。
廃業届を提出する
民泊事業を完全に終了するためには、必ず廃業届を提出する必要があります。この手続きを怠ると、行政上の問題が発生する可能性があるため、必ず行いましょう。
住宅宿泊事業法に基づく民泊の場合、廃業届は事業を廃止した日から30日以内に都道府県知事等に提出することが法律で定められています。提出先は民泊開業時に届出を行った自治体の窓口です。多くの自治体では観光部門や住宅部門が担当していますが、自治体によって異なる場合があります。
必要書類としては、「廃業等届出書」と「住宅宿泊事業者標識」の返却が基本となります。廃業等届出書は各自治体のホームページからダウンロードできることが多く、必要事項を記入して提出します。記入する内容には、事業者の情報、物件の所在地、廃業日などが含まれます。
旅館業法に基づく簡易宿所の場合は、廃業届を保健所に提出します。この場合も廃業後すぐに手続きを行うことが望ましいです。提出書類としては「旅館業廃業届」が必要で、これも各自治体のホームページで入手できることが多いです。
また、自治体によっては廃業届をオンラインで提出できるケースもあります。しかし、標識の返却など物理的な提出が必要な場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
民泊プラットフォームに通知する
民泊の撤退手続きでは、行政機関への届出だけでなく、Airbnbやブッキング・ドットコムなどの民泊プラットフォームへの通知も重要です。これを怠ると、サイト上に物件が掲載されたままになり、予約リクエストが来て対応に困ることになります。
各プラットフォームによって退会や物件削除の手続きは異なりますが、基本的には以下の手順で進めます。
まず、すでに入っている予約がある場合は、それらをすべてキャンセルまたは対応完了させることが必要です。特に直近の予約については、ゲストへの個別連絡を行い、代替宿泊施設の提案などのフォローをすることがマナーです。
次に、物件の新規予約を止めるために、「予約の一時停止」設定を行います。Airbnbでは「カレンダーをブロック」する機能があり、これを利用することで新規予約を防ぐことができます。
最終的に、アカウントの削除または物件リスティングの完全削除を行います。Airbnbの場合、アカウント設定から「アカウントを削除」を選択する流れになります。ブッキング・ドットコムでは、エクストラネットからプロパティを削除する手続きが必要です。
税務上の手続きを行う
民泊事業の撤退において、税務上の手続きは非常に重要です。適切な処理を行わないと、後々税務調査で指摘されるリスクがあります。
まず、個人事業主として開業届を提出していた場合は、「個人事業の廃業届出書」を税務署に提出する必要があります。廃業した日から1か月以内に提出することが望ましいです。この届出書には、廃業日や事業の種類、廃業理由などを記入します。
次に、固定資産の処分に関する処理です。民泊のために購入した家具や家電、設備などを売却した場合、売却損益を計算して確定申告する必要があります。また、そのまま個人で使用する場合は、適正な時価で「個人引き出し」として処理します。
減価償却資産については、残存簿価の確認が必要です。まだ減価償却が終わっていない資産がある場合、廃業時に一括で経費計上できるケースもあります。これにより、最終年度の所得を調整することも可能です。
民泊撤退に必要な費用はどれくらい?

民泊事業からの撤退を検討する際、最も気になるのは「いったいいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。実際、民泊をやめる際にはさまざまな費用が発生します。
これらの費用は物件の状況や運営形態によって大きく異なります。費用の全体像を把握することで、撤退の際の資金計画を立てやすくなります。
ここでは、民泊撤退に必要な具体的な費用と、できるだけコストを抑えるための方法について解説します。
賃貸と持ち家で異なる費用
民泊撤退時の費用は、賃貸物件で運営していたか、持ち家で運営していたかによって大きく異なります。それぞれのケースで発生する主な費用を見ていきましょう。
賃貸物件の場合、最もインパクトが大きいのは原状回復費用です。民泊向けに改装していた場合、これを元の状態に戻す必要があります。例えば、間取りの変更、壁紙や床材の張り替え、設備の取り外しなどの費用が発生します。原状回復費用の相場は物件の広さや改装の程度によって異なりますが、一般的には10〜50万円程度となります。特に、大規模な改装をしていた場合は100万円を超えることもあります。
また、賃貸契約の解約に伴う違約金も考慮する必要があります。契約期間の途中で解約する場合、1〜2ヶ月分の家賃相当額を違約金として支払うケースが多いです。
一方、持ち家の場合は原状回復や違約金の心配はありませんが、他の費用が発生します。例えば、民泊用に購入した設備や家具の処分費用、または再販売時の損失などです。さらに、民泊用に住宅ローンを組んでいた場合、繰り上げ返済の手数料や、金利タイプによっては違約金が発生することもあります。
また、持ち家を売却して完全に撤退する場合は、不動産仲介手数料や譲渡所得税なども考慮する必要があります。不動産仲介手数料は売却価格の3〜4%程度、譲渡所得税は売却益に対して課税されますが、所有期間や居住状況によって税率が変わってきます。
持ち家の場合は、民泊をやめた後の活用方法も費用に影響します。通常の賃貸物件として貸し出す場合は、新たな広告費用や仲介手数料(家賃0.5〜1ヶ月分程度)がかかります。
これらの費用を総合すると、賃貸物件の場合は20〜100万円程度、持ち家の場合は状況によって大きく異なりますが、設備処分費用だけでも10〜30万円程度は見込んでおくべきです。撤退を検討する際は、これらの費用を事前に把握し、計画的に進めることが重要です。
家具・家電撤去費用
民泊撤退時に避けて通れないのが、家具や家電の撤去費用です。多くの民泊オーナーは、ゲストの快適な滞在のために様々な家具や家電を購入しています。これらをどう処分するかによって、費用は大きく変わってきます。
まず、家具・家電の撤去・処分方法には主に次の選択肢があります。
- 自分で処分する
- 不用品回収業者に依頼する
- リサイクルショップに買い取ってもらう
- オークションやフリマアプリで売却する
- 次の入居者や知人に譲渡する
自分で処分する場合、粗大ごみとして出すことになりますが、自治体によって費用が異なります。
不用品回収業者に依頼する場合は、一括で処分できる利点がありますが、費用は比較的高めです。1R〜1Kの部屋の家具・家電をすべて処分する場合、3〜10万円程度が相場となります。
一方、まだ使える状態の良い家具・家電であれば、リサイクルショップでの買取も検討できます。ただし、買取価格は購入時の10〜30%程度と考えておくべきです。特に、使用感が強い物や流行遅れのデザインの物は買取を断られることもあります。
最近では、メルカリやヤフオクなどで個人売買する方法も一般的です。この方法だと、リサイクルショップよりも高値で売れる可能性がありますが、梱包や発送の手間、トラブル対応のリスクなども考慮する必要があります。
さらに、物件を次の入居者に引き継ぐ場合や、知人に譲る場合は、撤去費用を抑えられる可能性があります。特に、同じく民泊を始める人に一式譲渡できれば、処分費用がほぼゼロになることもあります。
具体的な費用例を挙げると、1Kの民泊物件(ベッド、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、テーブル、椅子など基本的な家具・家電を含む)の場合、自分で処分すると合計で1〜3万円程度、不用品回収業者に依頼すると5〜8万円程度が目安となります。
民泊撤退で後悔しないために行うべきこととは?

民泊事業からの撤退を決断することは、単に事業をやめるという以上に、さまざまな感情や現実的な課題と向き合うプロセスです。これまで時間とお金を投資してきた事業から撤退するのは、心理的にも経済的にも簡単なことではありません。しかし、適切な計画と準備を行うことで、後悔のない形で民泊事業に区切りをつけることが可能です。
ここでは、民泊撤退を成功させるための重要なポイントについて掘り下げていきます。
撤退の理由を明確にする
民泊事業からの撤退を考える際、漠然とした不満や一時的な感情による決断ではなく、客観的な事実に基づいた判断をすることで、撤退後の後悔を防ぐことができます。
撤退理由として多いのは、収益性の問題です。当初の予想よりも稼働率が低い、運営コストが予想以上にかかる、価格競争が激しくなったなど、収益面での課題が出てくることがあります。このような場合、実際の収支を詳細に分析し、今後も状況が改善する見込みがあるかどうかを冷静に判断することが大切です。
また、ライフスタイルの変化も撤退の大きな理由になります。仕事が忙しくなった、家族の状況が変わった、健康上の理由で管理が難しくなったなど、個人的な事情により民泊運営が難しくなることもあります。この場合、自分のライフスタイルの優先順位を整理し、民泊運営の位置づけを再考することが有効です。
撤退の理由を明確にする過程で、「本当に撤退すべきなのか」を再考することも重要です。例えば、運営方法の見直しや物件のリノベーションによって収益性が改善する可能性はないか、運営代行サービスの利用によって自分の負担を減らせないか、などの代替案も検討してみましょう。
撤退にかかるコストを正確に把握する
民泊事業からの撤退を成功させるためには、撤退にかかる費用を事前に正確に把握することが極めて重要です。想定外の費用が発生すると、経済的な負担だけでなく精神的なストレスも大きくなります。
まず、物件関連の費用について考えましょう。賃貸物件の場合、契約解除に伴う違約金が発生することがあります。定期借家契約の途中解約では、残りの契約期間に応じた違約金が設定されていることが多く、数十万円に及ぶケースもあります。契約書を確認し、解約条件や違約金の有無を必ず確認しましょう。
一方、自己所有物件の場合は、民泊用途から他の用途への転用コストを考慮する必要があります。例えば、通常の賃貸物件として貸し出す場合は、内装の変更や設備の入れ替えなどの費用が発生します。また、売却を検討する場合は、不動産仲介手数料や各種税金なども考慮に入れましょう。
さらに、Wi-Fi、清掃サービス、鍵の受け渡しサービスなどの解約に伴う違約金も考慮すべき費用です。これらのサービスは年間契約となっていることが多く、途中解約の場合は残り期間分の一部または全額を請求されることがあります。
費用を正確に把握するためには、チェックリストを作成し、各項目について見積もりを取ることをお勧めします。
民泊M&A仲介を使用して撤退予定の民泊物件を高値で売却する
民泊事業からの撤退を考える際、多くのオーナーは「せっかく構築したビジネスを無駄にしたくない」と感じるものです。実は、民泊事業を単に終了するのではなく、事業ごと売却することで、投資の一部を回収できる可能性があります。近年、民泊事業の売買を専門に扱うM&A仲介サービスが増えており、このオプションは撤退を検討するオーナーにとって魅力的な選択肢となっています。
民泊M&A仲介とは、民泊事業を売りたい人と買いたい人をマッチングさせるサービスです。単に物件を売却するのではなく、運営ノウハウや実績、予約システム、リピーターなどの顧客基盤も含めたビジネス全体を譲渡することができます。これにより、ゼロから民泊事業を始めるよりも効率的に事業を拡大したい買い手にとっては価値があり、売り手にとっては通常の不動産売却よりも高値での取引が期待できます。
民泊M&A仲介を利用するメリットはいくつかあります。まず、専門の仲介業者が適切な買い手を見つけてくれるため、自分で買い手を探す手間が省けます。また、事業価値の適正な評価やデューデリジェンス(資産状況の精査)、交渉の進行など、専門的なプロセスをサポートしてもらえます。さらに、守秘義務契約のもとで取引が進むため、オーナーのプライバシーや事業情報が保護されます。
では、どのような民泊事業が高値で売却できる可能性が高いのでしょうか。まず、安定した収益実績が重要です。過去1〜2年間の予約状況やレビュー、収支データなどが明確に記録されており、一定の利益が出ていることが望ましいです。特に、年間を通じて高い稼働率を維持している物件や、高単価で予約が入る物件は評価が高くなります。
立地条件も重要な要素です。観光地や交通アクセスの良い都市部など、需要の高いエリアの物件は魅力的です。また、周辺に競合が少なく、特色のある物件であれば、さらに価値が高まります。例えば、特別な眺望がある物件や、歴史的建造物を改装した物件などは、独自性という付加価値があります。
実際の売却価格は、年間収益の数倍(一般的には2〜5倍程度)で設定されることが多いです。年間純利益が100万円の民泊事業であれば、200万円〜500万円程度の売却価格が目安となります。ただし、前述の要素に加えて、物件の所有形態(所有権か賃借権か)や契約条件、周辺の開発計画なども価格に影響します。
民泊M&A仲介を利用する際の流れは、一般的に以下のようになります。
- 仲介業者への相談・登録
- 事業価値の評価と売却価格の設定
- 買い手候補へのアプローチ(匿名で情報提供)
- 興味を示した買い手との面談・交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンス(買い手による精査)
- 最終契約の締結と事業譲渡
この過程には通常2〜6ヶ月程度かかります。また、仲介手数料として売却価格の5〜10%程度が発生することが一般的です。これらの時間とコストも考慮に入れた上で、M&A仲介の利用を検討することが重要です。
注意点としては、すべての民泊事業が売却できるわけではないという点です。収益性が低い物件や、法令違反のリスクがある物件、賃貸契約上の制約が厳しい物件などは、買い手が見つかりにくい場合があります。また、売却までに時間がかかることも考慮し、その間も事業を継続する必要があることを理解しておきましょう。
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民泊事業からの撤退は、単に事業を終了するだけではなく、適切な手続きと計画が必要なプロセスです。まず、民泊の種類に応じた廃業届の提出、物件の原状回復、プラットフォームへの通知、そして税務処理といった具体的な手続きを正しく行うことが重要です。
撤退にかかる費用は、賃貸物件と持ち家で大きく異なり、物件の状況や改装の程度によって10万円から100万円以上になることもあります。後悔しないためには、撤退の理由を明確にし、コストを正確に把握した上で計画的に進めることが大切です。
状況によっては、M&A仲介サービスを利用して事業ごと売却することで、投資の一部を回収できる可能性もあります。
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