「空き部屋を活用して収入を得たい」「海外の人との交流に興味がある」といった声をよく耳にします。家主居住型民泊は、そんな方々のニーズに応える新しい形の宿泊サービスとして注目を集めています。
この記事では、家主居住型民泊について紹介します。
関連:一軒家で民泊はできるの?許可は必要?知っておくべきことなど解説!
家主居住型民泊とは?

家主居住型民泊は、文字通り家主が住んでいる家の一部を旅行者に提供する宿泊形態になります。
通常の民泊では、物件全体を貸し出すことが一般的ですが、家主居住型の場合は家主自身も同じ建物に住んでいながら、空き部屋を活用することができます。自宅の空きスペースを有効活用できる点が、大きな特徴と言えるでしょう。
例えば、子どもが独立して空いた部屋や、もともと来客用に用意していた部屋などを、宿泊施設として運営することが可能です。家主が同居しているため、緊急時の対応もスムーズで、ゲストとのコミュニケーションも取りやすい環境が整っています。
家主居住型民泊のメリットは?

家主居住型民泊には、通常の不動産投資や一般的な民泊運営とは異なる独自のメリットがあります。自宅を活用するからこそ得られるメリットについて、具体的に見ていきましょう。
初期投資を抑えて民泊をスタートできる
家主居住型民泊の最大の特徴は、既存の住居をそのまま活用できる点にあります。新たに物件を購入したり、大規模なリフォームを行ったりする必要がないため、開始時の費用負担を大幅に抑えることができます。
例えば、すでにある家具や家電を活用することで、新規の設備投資を最小限に抑えられます。また、通常使用している水道光熱費や通信費といったインフラ費用も、追加の固定費を抑えながら有効活用することができます。
さらに、清掃やメンテナンスも自身で行えるため、外部業者への委託費用も節約できます。このように、既存のリソースを効率的に活用することで、リスクを最小限に抑えたスタートが可能となります。
多様な文化との出会いを自宅で
家主居住型民泊の魅力は、世界中からのゲストとの交流を通じて、新しい価値観や文化に触れられることです。海外旅行に行かなくても、自宅にいながら異文化交流を楽しむことができます。
日々の会話を通じて、自然な形で語学力を向上させることも可能です。特に、子どもがいる家庭では、早い段階から国際感覚を養える環境を作ることができます。また、自国の文化や習慣を紹介する機会も増え、相互理解を深めることができます。
副収入を得ることができる
空き部屋を活用することで、安定した副収入を確保することができます。特に、観光地や都市部近郊では、年間を通じて一定の需要が見込めます。週末や休暇シーズンなど、需要の高い時期に合わせて柔軟に運営することで、効率的な収益確保が可能です。
また、長期滞在のゲストを受け入れることで、安定的な収入を得ることもできます。光熱費などの固定費を効率的にカバーしながら、追加の収入を得られる点は、家計の助けとなるでしょう。
関連:Airbnb副業は儲かる?民泊運営を副業で始めるメリット、デメリットなど解説
自宅管理で柔軟な運営が可能になる
自宅で運営するため、仕事や家事の合間を縫って効率的な時間活用が可能です。チェックインやチェックアウトの対応も、自分のスケジュールに合わせて柔軟に調整できます。
また、日常的な清掃や設備のメンテナンスも、こまめに行うことができます。ゲストの要望にも迅速に対応できるため、高い満足度を維持しやすい環境が整っています。自身のライフスタイルに合わせた運営スタイルを築けることは、長期的な運営を続けていく上で大きな利点となります。
家主居住型のデメリットはある?

家主居住型民泊には魅力的なメリットがある一方で、運営する中で直面する課題もあります。実際の運営で経験する可能性のある課題について詳しく解説します。
プライバシーの課題がある
家主居住型民泊で最も大きな課題となるのが、プライバシーの確保です。自宅の一部をゲストと共有することになるため、生活空間の境界設定が重要なポイントとなります。特に、キッチンやリビングといった共用スペースの利用ルールを明確にする必要があります。
例えば、キッチンの使用時間帯を分けたり、収納スペースを区分したりするなど、具体的なルール作りが求められます。また、家族との団らんの時間や、休日のくつろぎタイムなど、プライベートな時間を確保することも重要です。
家族構成によっては、より慎重な配慮が必要となる場合もあります。小さな子どもがいる家庭では、遊び場やおもちゃの管理など、細かな調整が必要になるでしょう。また、家族それぞれのプライバシーニーズも考慮に入れる必要があります。
常時対応による時間的拘束感が発生する
家主居住型民泊では、ゲストへの対応が日常生活の一部となります。特に、チェックインやチェックアウトの時間帯は、必ず在宅している必要があるため、自由な時間の確保が難しくなる場合があります。
深夜のチェックインや早朝のチェックアウトにも対応する必要があり、睡眠時間が不規則になることも考えられます。また、急な質問や要望への対応も求められるため、常に気を配る必要性があります。
緊急時の対応も重要な課題です。ゲストが病気になったり、設備のトラブルが発生したりした場合には、すぐに対応できる体制を整えておく必要があります。そのため、長期の外出や旅行を計画する際には、事前の調整や代替の対応者の確保が必要となります。
こうした時間的な制約は、仕事や家事との両立を難しくする要因となる可能性があります。特に、フルタイムで働いている方の場合、休日や夜間の対応が心身の負担となることも考えられます。時間管理の工夫や、必要に応じて家族との協力体制を築くことが、持続可能な運営のカギとなるでしょう。
家主居住型民泊の条件は?

家主居住型民泊を始めるにあたっては、いくつかの法的要件や運営条件を満たす必要があります。
住宅宿泊事業法(民泊新法)では、家主居住型民泊に関して特定の条件を定めています。まず、家主が同じ建物に居住していることが大前提となります。具体的には、家主自身が生活の本拠として使用している住宅であり、日常的に起居している必要があります。
運営面では、年間提供日数が180日以内という制限があります。これは、一般の住宅としての性質を維持するための規定です。また、宿泊者名簿の作成・保管や、衛生管理の基準を満たすことも求められます。
住宅の構造においても、一定の条件があります。寝室は原則として個室を提供する必要があり、適切な換気設備や避難経路の確保も必須となります。さらに、近隣住民への配慮として、騒音防止や、ごみ処理のルールなども定められています。
家主居住型民泊の安全面は大丈夫?

安全面の確保は、家主居住型民泊において最も重要な要素の一つです。家主とゲスト双方が安心して過ごせる環境づくりのために、具体的な対策を講じる必要があります。
まず、物理的なセキュリティ対策として、各部屋の施錠システムの整備が不可欠です。専用の鍵や、スマートロックの導入により、プライバシーと安全性を確保します。また、防犯カメラの設置も検討に値しますが、プライバシーに配慮した適切な設置場所の選定が重要です。
個人情報の保護も重要な課題です。宿泊者の身分証明書のコピーや、予約情報などの個人情報は、適切に管理・保管する必要があります。デジタルデータの場合は、パスワード保護やバックアップなど、情報セキュリティ対策も欠かせません。
事故や緊急時への備えも重要です。火災報知器や消火器の設置、避難経路の確保と表示など、安全設備の整備が必要です。また、近隣の医療機関や警察署との連携体制を整えておくことで、緊急時にも適切な対応が可能となります。
保険加入も検討すべき重要なポイントです。宿泊者の事故や、設備の破損など、予期せぬトラブルに備えて、適切な保険に加入することをお勧めします。特に、賠償責任保険は、安心して運営を続けるための重要な要素となります。
まとめ
家主居住型民泊は、自宅の空きスペースを活用しながら、新しい収入源を確保できる魅力的な選択肢です。初期投資を抑えられることや、国際交流の機会が得られるといったメリットがある一方で、プライバシーの確保や時間的な制約といった課題もあります。
しかし、適切な準備と対策を行うことで、これらの課題は十分に克服可能です。法的要件や安全面での配慮を怠らず、計画的に進めることで、持続可能な運営を実現することができます。
家主居住型民泊は、単なる収入源としてだけでなく、新しい生活スタイルを創造する機会としても捉えることができるでしょう。