「副業で民泊を始めたいけれど、何から手をつければいいのだろう?」「運営にかかる費用や時間が心配…」そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、民泊事業は適切な準備と運営方法を選択することで、働きながらでも十分に実現可能な副業なのです。

この記事では、民泊を副業として始めるために必要な許認可や手続き、物件の選び方から、効率的な運営方法まで、詳しく解説します。

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民泊を副業で始めるために必須な知識

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民泊事業は、空き部屋や持ち家を活用して収入を得られる魅力的な副業として注目を集めています。しかし、闇雲に始めるのではなく、適切な準備と知識が必要になります。

民泊の基本から、実際の運営までの流れを確認していきましょう。

民泊新法・旅館業法・特区民泊の違いとは?

民泊を始める際には、まず運営形態を決める必要があります。民泊には大きく3つの法的枠組みが存在し、それぞれに特徴や制限があります。

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、一般の住宅を活用した宿泊サービスを提供する際の基準を定めています。年間提供日数は180日以内という制限がありますが、比較的参入のハードルが低く、副業として始めやすい特徴があります。自治体への届出制で、旅館業法に比べて設備要件も緩和されています。

一方、旅館業法による民泊は、年間営業日数の制限がなく、本格的な宿泊事業として運営できます。ただし、消防法や建築基準法の厳格な基準をクリアする必要があり、設備投資も相応に必要になります。

特区民泊は、国家戦略特区に指定された地域でのみ運営可能です。滞在期間が2泊3日以上という条件がありますが、年間営業日数の制限がないため、インバウンド需要の取り込みに適しています。

いずれの形態でも、近隣住民への配慮や、防火・衛生管理の徹底が求められます。特に集合住宅での運営を検討する場合は、管理規約で民泊が禁止されていないか確認が必要です。

また、民泊物件の所在地によって、自治体独自の規制が追加されることもあります。観光地や住宅密集地では、騒音や治安への懸念から、営業時間や提供日数にさらなる制限が設けられているケースもあります。

民泊運営に必要な手続きは何?

書類

民泊の運営を始めるにあたり、様々な行政手続きが必要になります。必要書類の準備から申請、そして実際の運営開始まで、一連の流れを詳しく解説します。

許可申請に必要な書類

民泊の申請手続きには、複数の書類が必要です。提出先は各自治体の保健所や住宅部門になります。申請書類の中でも特に重要なのが、住宅の図面と設備の配置図です。

間取り図には、非常口や消火器の位置、客室の広さなど、安全性に関わる情報を明確に記載する必要があります。また、設備チェックリストでは、換気扇や照明、浴室などの設備が基準を満たしているかを細かく確認します。

申請時には身分証明書のほか、住民票や登記簿謄本も必要になります。法人として運営する場合は、定款や登記事項証明書なども求められます。これらの書類は申請時に原本の提示が求められるケースが多いため、事前に準備しておきましょう。

自治体ごとの規制確認

自治体によって民泊に関する規制は大きく異なります。繁華街や住宅密集地では、営業時間や年間営業日数に厳しい制限が設けられていることがあります。

事前相談では、運営予定地域の具体的な規制内容や必要な対策について、詳しい説明を受けることができます。また、近隣住民への説明会開催が必要かどうかも確認できます。住民とのトラブルを未然に防ぐためにも、この段階での丁寧な確認が重要です。

消防法や建築基準法

建物の安全性確保は民泊運営の大前提です。消防法では、火災報知器や消火器の設置、避難経路の確保などが定められています。特に木造建築の場合は、防火対策の基準が厳格になります。

建築基準法では、建物の構造や設備が居住用途から宿泊施設へと変更可能かどうかを確認します。用途地域によっては民泊施設への転用が制限される場合もあるため、事前の確認が欠かせません。

また、耐震基準への適合も重要なポイントです。特に築年数の古い建物では、耐震診断や補強工事が必要になるケースもあります。

手続き完了後の施設検査

申請書類の受理後、実地検査が行われます。検査官が実際に施設を訪問し、申請内容と実態が一致しているかを確認します。

検査のポイントは、防火設備の設置状況や避難経路の確保、客室の広さ、換気・照明などの設備の充実度です。特に重視されるのが、非常口の表示や避難経路図の掲示など、安全に関わる部分です。

施設検査に合格すると、運営開始が正式に認められます。ただし、これで終わりではありません。定期的な設備点検や衛生管理の記録など、継続的な維持管理も求められます。

副業での民泊を始めるためには?

始め方

民泊を副業として始める際、物件の準備方法には大きく3つの選択肢があります。それぞれの特徴や必要な投資、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

賃貸物件で民泊を始める

賃貸物件での民泊は、比較的少ない初期投資で始められる方法です。ただし、物件オーナーや管理会社から民泊営業の許可を得る必要があります。まずは賃貸契約書の確認から始めましょう。

賃貸物件を活用する場合のポイントは、家賃に見合う収益が見込めるかどうかです。稼働率が低い時期も家賃は固定費として発生します。そのため、立地条件や周辺の宿泊需要を慎重に見極める必要があります。

賃貸での民泊運営には、物件の改装に関する制限も考慮が必要です。壁紙の張り替えや設備の取り付けなど、退去時の原状回復義務がある改装は、コスト計算に含める必要があります。特に古い物件の場合、設備投資の費用対効果を慎重に検討しましょう。

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所有物件を活用する

すでに所有している物件を活用する方法は、新たな物件取得コストが不要なため、効率的に事業を始められます。特に空き家や使用頻度の低い別荘などは、民泊転用の好候補となります。

所有物件の活用では、建物の状態や設備の更新時期を確認することが重要です。築年数が経過している場合、水回りの改修や空調設備の更新など、快適な宿泊環境を整えるための投資が必要になることがあります。

また、固定資産税や管理費などの既存コストを考慮した収支計画も欠かせません。これまでの維持費に加えて、清掃や管理のための新たな運営コストも発生します。物件の規模や状態に応じた適切な料金設定が、収益化のカギとなります。

新たに物件を購入して始める

新規に物件を購入する方法は、初期投資は大きくなりますが、目的に適した物件を選択できる利点があります。物件選びの際は、観光スポットへのアクセスや公共交通機関との距離など、宿泊者の利便性を重視します。

購入時には、建物の構造や法的制限も詳しく確認します。特に区分所有建物の場合、管理規約で民泊が禁止されていないか、事前に確認が必要です。また、住宅ローンを利用する場合は、民泊営業が可能な融資条件かどうかの確認も重要です。

物件購入後の収支計画では、ローン返済や固定資産税などの固定費に加え、予期せぬ修繕費用も考慮に入れます。安定した運営のためには、最低限の稼働率と適切な料金設定による収益確保が不可欠です。

物件購入による民泊開始は、長期的な資産形成の視点も重要です。将来的な不動産価値の変動や、エリアの発展性なども考慮した投資判断が求められます。不動産投資としての側面も含めて、総合的な検討を行いましょう。

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民泊副業の初期費用と運営コストはどれくらい?

どちらがいい

民泊事業の収益性を検討する上で、必要な費用の把握は極めて重要です。初期費用から運営コストまで、実際の数字を交えながら詳しく解説していきます。

初期費用

民泊を始める際の初期費用は、物件の状態や運営規模によって大きく変動します。標準的な1DKタイプのマンションを民泊として運営する場合の初期費用の目安を見ていきましょう。

まず、設備投資に関する費用です。快適な宿泊環境を整えるためには、以下のような投資が必要になります。

基本的な家具・家電類の購入には、50万円から80万円程度を見込む必要があります。これには、ベッド(10万円)、エアコン(15万円)、冷蔵庫(5万円)、洗濯機(5万円)、テレビ(5万円)などが含まれます。また、Wi-Fi環境の整備(2万円)も、現代の宿泊施設には欠かせません。

安全対策のための設備投資も重要です。火災報知器(2万円)、消火器(1万円)、防犯カメラ(3万円)などの設置が必要になります。さらに、スマートロックの導入(3万円)により、チェックインの省力化も図れます。

内装の改修や補修にも費用が発生します。クロスの張り替え(20万円)、照明器具の交換(5万円)、床材の補修(10万円)など、物件の状態によって必要な工事は変わってきます。

家賃や光熱費など運営コスト

運営を始めてからは、毎月固定的に発生するコストと、稼働状況に応じて変動するコストがあります。これらを適切に見積もることで、収支の見通しが立てやすくなります。

固定費として最も大きいのが家賃です。賃貸物件で運営する場合、都心部で8万円〜15万円程度、郊外でも5万円〜10万円程度は必要です。所有物件の場合は、固定資産税や管理費が monthly costとして計上されます。

光熱費は稼働率によって変動しますが、1室あたり月額1万円〜2万円程度を見込んでおく必要があります。特に夏季の冷房費用や、給湯設備の使用による水道・ガス代は大きくなりがちです。

清掃費用も重要な運営コストです。1回の清掃で3,000円〜5,000円程度、月間の稼働日数によって総額は変動します。シーツやタオルのクリーニング代(1回500円〜1,000円)も忘れずに計上しましょう。

また、予期せぬトラブルへの対応費用として、月額1万円程度の予備費を確保しておくことをお勧めします。設備の故障や破損への迅速な対応は、評価維持のために欠かせません。

インターネット利用料(月額5,000円程度)、損害保険料(年間2万円程度)、予約サイトの手数料(売上の3%〜15%)なども、継続的に発生するコストとして計上が必要です。

働きながら運用は難しい、、どうすれば効率的に運営できる?

なぜ

本業と民泊運営の両立は、確かに容易ではありません。しかし、適切な運営方法を選択し、効率化のための仕組みを整えることで、無理のない運営が可能になります。

時間管理術で効率よく運営する

限られた時間で効率的に運営するには、業務の優先順位付けと時間配分が重要です。特に注意が必要なのは、チェックインとチェックアウト時の対応です。

スケジュール管理アプリを活用し、予約状況や清掃スケジュール、設備点検などの予定を一元管理することで、見落としを防ぐことができます。また、チェックイン前日には必ず設備の動作確認を行い、トラブルを未然に防ぐ習慣をつけましょう。

緊急時の対応方法も事前に決めておくことが大切です。深夜の設備トラブルや急な問い合わせに備えて、24時間対応可能な修理業者のリストを準備しておくと安心です。また、近隣に住む信頼できる協力者を確保できれば、急な対応も円滑になります。

集客と予約管理を自動化する

予約管理の自動化は、運営効率化の要となります。複数の予約サイトを一元管理できるチャネルマネージャーを導入することで、予約の重複を防ぎ、空室状況の更新も自動化できます。

料金設定も、需要予測に基づいて自動調整するシステムを活用することをお勧めします。季節やイベント時期に応じた適切な料金設定により、稼働率と収益の最適化が図れます。

ゲストとのコミュニケーションも、自動化できる部分は積極的に活用しましょう。チェックイン案内や設備の使用方法など、定型的な情報提供は、あらかじめ用意したテンプレートメッセージで対応できます。

運営運営代行サービスを使用する

時間的制約が大きい場合は、運営代行サービスの利用も検討しましょう。代行サービスには、清掃のみの部分委託から、予約管理や緊急対応を含む全面委託まで、様々なプランが用意されています。

清掃代行サービスは、最も一般的な委託形態です。専門スタッフによる清掃により、品質の安定化と時間の確保が可能になります。ただし、コストは1回あたり5,000円から1万円程度必要になるため、収支計画に組み込む必要があります。

総合的な運営代行サービスを利用する場合、売上の15%から30%程度の手数料が発生します。一見コストは高く感じますが、本業に専念できる時間的メリットや、プロフェッショナルによる運営ノウハウの活用という面でのメリットも考慮に入れる必要があります。

このように、民泊の運営効率化には様々な選択肢があります。自身の状況や目標に合わせて、最適な運営方法を選択することが重要です。初めは小規模から始めて、徐々に規模を拡大していくアプローチも、リスク管理の観点から有効な戦略といえます。
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まとめ

民泊を副業として始めるには、様々な準備と検討が必要です。まずは運営形態を決め、必要な許認可を取得することから始まり、物件の準備、設備投資、そして効率的な運営方法の確立まで、段階的に進めていく必要があります。特に重要なのは、自身の状況に合わせた運営方法の選択です。時間的制約や資金面での制約を考慮しながら、スマートロックやチャネルマネージャーなどのテクノロジーの活用、あるいは運営代行サービスの利用など、様々な選択肢の中から最適な方法を選ぶことで、持続可能な副業として民泊事業を展開することが可能です。