不動産投資を始めたいけれど、どの投資方法を選べばいいか迷っていませんか?特に、ワンルーム投資と民泊運営の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて知りたい方も多いはずです。
この記事では、不動産投資の経験者として、ワンルーム投資の特徴から民泊運営との収益性の比較まで、具体的な数値とともに徹底解説します。
ワンルーム投資とはどんな投資方法?

不動産投資の入門として注目を集めているワンルーム投資は、一室を所有して賃貸収入を得る投資手法です。物件価格が比較的低額で始められるため、初めての不動産投資として選ぶ投資家が増加しています。
それでは、ワンルーム投資の具体的な特徴を見ていきましょう。
一室単位で始められる不動産投資
ワンルーム投資は、単身者向けの物件を購入して賃貸収入を得る不動産投資です。国土交通省の調査によると、新築ワンルームの平均価格は7,577万円、中古では4,021万円程度となります。
住宅ローンの活用により、頭金数百万円程度から始められる点が特徴です。都市部の単身者需要を狙った投資として人気があり、賃料収入は月額5〜8万円程度が一般的な水準となります。
入居者の多くは社会人や学生といった単身者であり、一般的な賃貸物件と比較して入居期間が短いことが特徴です。そのため、空室対策や入居者募集の取り組みが重要になります。
物件選定の際には、駅からの距離や周辺の生活利便施設の充実度など、単身者のニーズに合致した立地であることが重要です。特に、通勤・通学に便利な交通アクセスは、安定した入居率を維持する上で欠かせない要素となります。
ワンルーム投資が初心者に向いていると言われる理由は?

不動産投資を始める際、多くの投資家がワンルーム投資を選択します。これには、初心者でも取り組みやすい特徴が複数存在します。ワンルーム投資が初心者に選ばれる具体的な理由について解説していきます。
単身者需要で安定した入居率が見込める
ワンルーム物件は、単身者の需要が高い都市部において安定した入居率を維持できます。国土交通省の統計によると、都市部における単身世帯数は年々増加傾向にあり、2025年には全世帯の約4割を占めると予測されています。
企業の採用状況や進学者数の増加に伴い、ワンルームの需要は継続的に存在します。特に、都心部の企業が集中するエリアや大学周辺では、安定した入居需要が見込めます。
立地選定において重要なポイントは、駅からの距離と生活利便施設へのアクセスです。駅から徒歩10分圏内の物件は、入居希望者からの需要が高く、空室期間を最小限に抑えることができます。
管理の手間が少なく副業にも最適
ワンルーム投資は、一室単位の管理となるため、他の不動産投資と比較して運営負担が軽減されます。賃貸管理会社に委託することで、入居者対応や建物メンテナンスなどの実務作業を任せることが可能です。
具体的な管理項目としては、賃料の回収、入居者の募集、設備の修繕対応などがあります。これらの業務を賃貸管理会社に委託する場合、一般的に賃料収入の5%程度の管理手数料が発生します。
本業との両立を考える投資家にとって、時間的な制約が少ないワンルーム投資は理想的な選択肢となります。特に、投資初心者は管理会社を活用することで、安定的な運営を実現できます。
売却時の出口戦略が立てやすい
ワンルーム物件は、投資用不動産として一定の需要があるため、売却時の出口戦略を立てやすい特徴があります。不動産投資会社や個人投資家からの購入需要が存在し、適切な価格設定により売却機会を確保できます。
売却価格の目安として、築年数や立地条件により変動はありますが、一般的に取得価格の70〜80%程度での売却が可能です。特に、駅近物件や管理状態の良好な物件は、より高値での売却が期待できます。
税金対策としても活用可能
ワンルーム投資は、減価償却費や諸経費の計上により、節税効果が期待できます。国税庁の定める耐用年数表に基づき、建物部分の減価償却費を計上することで、課税所得を抑制することが可能です。
具体的な節税効果として、建物部分の取得価格を耐用年数で除した金額を経費として計上できます。鉄筋コンクリート造の場合、耐用年数は47年となり、年間の減価償却費は建物価格の約2.1%となります。
また、ローン返済における支払利息や固定資産税、修繕費なども経費として計上可能です。これにより、給与所得者の場合、総合課税における所得税や住民税の負担を軽減することができます。
ワンルーム投資のメリットとは?

不動産投資の中でもワンルーム投資には、他の投資物件にない独自の利点があります。特に初めて不動産投資を検討する方にとって、魅力的な特徴が多く存在します。それでは、ワンルーム投資の具体的なメリットについて解説していきます。
安定した家賃収入が期待できる
ワンルーム物件からの家賃収入は、一般的な不動産投資と比較して安定性が高いことが特徴です。都市部における単身者向け賃貸物件の平均稼働率は95%以上を維持しており、継続的な収入が見込めます。
具体的な収益性として、表面利回りは都心部で5〜7%、郊外部では7〜9%程度となります。実質利回りについては、管理費や修繕費を考慮すると、表面利回りから2〜3%程度を差し引いた水準となります。
賃料相場は立地により大きく異なりますが、都心部では月額7〜9万円、郊外部では5〜7万円程度が一般的な水準です。賃料収入から諸経費を差し引いた純収入は、月額3〜5万円程度となります。
物件価格が比較的安価で始めやすい
ワンルーム物件は、一般的なファミリー向け物件と比較して取得価格が低く抑えられます。首都圏における新築ワンルームの価格帯は2,000〜3,000万円程度、中古物件では1,000〜2,000万円程度が中心となります。
住宅ローンを活用する場合、頭金は物件価格の10〜20%程度が必要となります。具体的な必要資金として、新築物件で300〜500万円、中古物件で200〜400万円程度から投資を始めることが可能です。
入居者の需要が多く空室リスクが低い
単身世帯の増加により、ワンルーム物件への需要は年々高まっています。厚生労働省の統計によると、都市部における単身世帯は2030年までに全世帯の約35%を占めると予測されています。
入居者層は、主に社会人や学生といった単身者が中心となります。特に、通勤・通学の利便性が高い立地では、継続的な需要が見込めます。入居者の年齢層は20〜30代が中心であり、賃料支払いの滞納リスクも比較的低い傾向にあります。
管理コストを抑えられる
ワンルーム物件は、一室単位の管理となるため、維持管理コストを効率的に抑えることができます。具体的な管理コストとして、月額の管理費は賃料の5〜8%程度、修繕積立金は3〜5%程度が一般的な水準です。
設備面においても、キッチンやバスルームなどの設備が最小限に抑えられているため、修繕費用を低く抑えることが可能です。年間の修繕費用は、築年数にもよりますが、賃料収入の5〜10%程度を見込む必要があります。
不動産投資の入門として最適
ワンルーム投資は、不動産投資の基本的な知識や経験を習得するための入門として優れています。物件選定から収支管理まで、不動産投資に必要なスキルを段階的に学ぶことができます。
投資実績を積み重ねることで、より大規模な投資への展開も可能となります。特に、賃貸管理や入居者対応のノウハウは、将来的な投資規模の拡大において重要な経験となります。
実務面では、賃貸管理会社のサポートを受けながら、投資運営の基礎を学ぶことができます。これにより、投資リスクを最小限に抑えながら、不動産投資のスキルを向上させることが可能です。
ワンルーム投資のデメリットは?

不動産投資には必ずリスクが伴います。ワンルーム投資においても、投資判断の際に考慮すべき重要な課題が存在します。投資を始める前に、これらのデメリットを十分理解することで、適切なリスク管理が可能となります。
それでは、ワンルーム投資における具体的なデメリットについて解説していきます。
入居者の回転率が高く手間がかかる
ワンルーム物件の入居者は、一般的に居住期間が短い傾向にあります。不動産市場の調査データによると、ワンルーム物件の平均入居期間は2〜3年程度となり、ファミリー向け物件の平均5〜7年と比較して明確な差が存在します。
入居者の入れ替わりが頻繁になることで、原状回復工事や新規入居者の募集にかかる費用が定期的に発生します。具体的な費用として、原状回復工事には20〜30万円程度、新規募集の仲介手数料には賃料1ヶ月分が必要となります。
入居者の審査や契約手続きなども頻繁に発生するため、賃貸管理会社への業務委託が一般的です。この場合、管理手数料として月額賃料の5〜8%程度が必要となり、収益性に影響を与える要因となります。
将来的な家賃下落のリスクがある
不動産市場の変動により、賃料水準が低下するリスクが存在します。特に、築年数の経過や競合物件の増加により、賃料の維持が困難になる場合があります。
国土交通省の調査によると、築年数が10年を超えるワンルーム物件では、新築時と比較して賃料が15〜20%程度低下する傾向にあります。また、周辺エリアに新築物件が供給されることで、相対的な競争力が低下し、賃料の引き下げを余儀なくされるケースも存在します。
築年数による資産価値の低下
建物の経年劣化により、不動産の資産価値は徐々に低下していきます。ワンルーム物件の場合、一般的に築20年を経過すると、新築時の価格から50〜60%程度まで資産価値が減少します。
具体的な減価の目安として、築5年で20〜30%、築10年で30〜40%、築15年で40〜50%程度の価値下落が想定されます。この資産価値の低下は、将来的な売却時の価格に直接影響を与える要因となります。
競合物件の増加で空室率上昇も
都市部における新築ワンルームの供給が継続的に行われることで、競合物件との差別化が困難になるケースが増加しています。不動産経済研究所の調査によると、主要都市における単身者向け賃貸物件の供給戸数は、年間約5万戸のペースで推移しています。
競合物件の増加により、入居者獲得の競争が激化し、空室期間が長期化するリスクが存在します。特に、立地条件や建物グレードが類似した物件が近隣に供給された場合、既存物件の競争力は相対的に低下します。
H3:修繕費用の負担が定期的に発生
建物の維持管理には、定期的な修繕費用の支出が必要となります。具体的な修繕項目として、給湯器の交換(10〜15万円)、エアコンの交換(8〜12万円)、クロスの張替え(5〜8万円)などが一般的です。
大規模修繕については、築12〜15年程度で実施が必要となり、一室あたり100〜150万円程度の費用が発生します。この修繕費用は、長期的な収支計画において重要な検討項目となります。
また、突発的な設備トラブルへの対応費用も考慮する必要があります。水漏れや電気設備の故障など、予期せぬ修繕が必要となるケースも存在し、修繕積立金として賃料収入の3〜5%程度を確保することが推奨されています。
ワンルームでも民泊運用は可能?

不動産投資の新たな運用方法として、ワンルーム物件での民泊運営が注目を集めています。住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により、一定の条件下でワンルーム物件での民泊営業が可能となりました。
その具体的な条件と運営方法について解説していきます。
民泊運用に適した物件の条件
民泊として運営するワンルーム物件には、特定の条件を満たすことが求められます。住宅宿泊事業法では、年間営業日数が180日以内という制限が設けられており、この制限内で効率的な運営を行うための物件選定が重要です。
立地面では、観光スポットや主要駅からのアクセスが良好な物件が求められます。訪日外国人観光客の利用が多い民泊では、空港や観光地へのアクセスの良さが重要な選定基準となります。国土交通省の統計によると、訪日外国人の約70%が公共交通機関を利用するため、駅から徒歩10分圏内の物件が推奨されます。
設備面では、Wi-Fi環境の整備や多言語対応のテレビの設置など、外国人旅行者向けの設備投資が必要です。具体的な初期投資として、家具・家電の購入に50〜80万円程度、Wi-Fi環境の整備に5〜10万円程度が必要となります。
運営代行サービスを使用すれば手間をかけずに運用が可能
民泊運営の実務面では、専門の運営代行サービスを活用することで、オーナーの負担を大幅に軽減することが可能です。運営代行会社は、予約管理から清掃、チェックイン対応まで、運営に必要な業務を一括して代行します。
代行サービスの具体的な業務内容には、以下の項目が含まれます。
・予約サイトの掲載管理と料金設定
・ゲストとのコミュニケーション対応
・清掃とリネン交換の手配
・鍵の受け渡しとチェックイン案内
・トラブル発生時の24時間対応
運営代行の費用は、売上の20〜30%程度が一般的な水準となります。稼働率や平均宿泊単価にもよりますが、月額の売上が20〜30万円の場合、代行手数料は4〜9万円程度となります。この手数料には、清掃費用やリネン交換費用も含まれるケースが多く存在します。
また、行政への届出や法令遵守の管理も代行サービスに含まれることが一般的です。住宅宿泊事業法に基づく定期報告や宿泊者名簿の管理など、法令遵守に必要な実務作業を専門家に委託することで、コンプライアンスリスクを軽減することができます。
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民泊と賃貸経営、どちらが儲かるの?

不動産投資の運用方法として、通常の賃貸経営と民泊運営では、収益構造やリスクが大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、投資目的に合わせた運用方法を選択することが重要です。
以下では、具体的な比較と検討のポイントを解説していきます。
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運営方式による収益性の違い
民泊運営は、住宅宿泊事業法による180日ルールと特区民泊の2つの制度に基づいて実施されます。住宅宿泊事業法では、年間営業日数が180日以内に制限されていますが、国家戦略特区に指定された地域では、特区民泊として年間を通じた営業が可能です。
住宅宿泊事業法における180日ルールの場合、一泊あたりの単価は通常の賃貸の3〜4倍となりますが、営業日数の制限により年間収入は制約されます。具体的な収入例として、一泊15,000円で月15日の稼働の場合、月額収入は225,000円程度となります。
一方、国家戦略特区での民泊運営では、年間を通じた営業が可能なため、より高い収益が期待できます。東京都や大阪市などの特区エリアでは、年間300日以上の稼働を実現している事例も存在し、月額収入が40〜50万円に達するケースもあります。
通常の賃貸経営では、月額賃料7〜9万円程度が一般的な水準となり、年間を通じて安定した収入が見込めます。賃料収入から諸経費を差し引いた実質的な収益は、月額4〜6万円程度となります。
初期投資と運営コストの比較
民泊運営を開始する際には、通常の賃貸経営と比較して多額の初期投資が必要となります。具体的な初期費用として、以下の項目が挙げられます。
・家具・家電の購入:60〜100万円
・通信環境の整備:5〜10万円
・セキュリティ設備:10〜20万円
・内装工事:20〜40万円
運営コストについても、民泊の場合は以下の費用が定期的に発生します。
・清掃費:1回3,000〜5,000円
・リネン交換:1回2,000〜3,000円
・管理手数料:売上の20〜30%
・消耗品補充:月額5,000〜10,000円
通常の賃貸経営では、初期投資は原状回復工事の20〜30万円程度で済み、運営コストも管理手数料(賃料の5〜8%)と修繕費用が主な支出となります。
稼働率と収入の安定性を検証
民泊運営の稼働率は、季節変動や市場環境の影響を受けやすい特徴があります。観光庁の統計によると、都市部の民泊施設の平均稼働率は50〜70%程度で推移していますが、オフシーズンでは30%程度まで低下するケースも存在します。
特に、住宅宿泊事業法による180日ルールの対象施設では、限られた営業日数の中で効率的な運営が求められます。繁忙期に稼働を集中させることで、年間収入を最大化する戦略が重要となります。
一方、通常の賃貸経営では、契約期間中は安定した賃料収入が見込めます。入居者の平均居住期間は2〜3年程度で、賃料の支払い遅延リスクも民泊と比較して低い傾向にあります。ただし、退去時の空室期間や賃料改定時の交渉など、収入に影響を与える要因は存在します。
まとめ
ワンルーム投資は、少額から始められる不動産投資として、特に投資初心者に適した選択肢となります。都市部における単身者需要を背景に、安定した収益が期待できる一方で、入居者の回転率や将来的な資産価値の低下など、考慮すべきリスクも存在します。また、民泊運営との比較では、住宅宿泊事業法の規制や運営コストの違いを踏まえた検討が必要です。投資判断の際には、自身の投資目的や運営体制に合わせて、最適な運用方法を選択することが重要となります。
【参考】
LIXIL不動産ショップ 新築ワンルームマンションの価格相場|価格と利回りの関係は?新築購入は中古よりも危険?