不動産投資を検討する中で「一般的な賃貸物件投資よりも高い収益を期待できる投資方法はないだろうか」「インバウンド需要の回復を活かした投資機会を探している」「節税効果も期待できる魅力的な投資先を知りたい」とお考えではありませんか。
従来のワンルームマンション投資では利回り3~5%程度が相場ですが、リゾートホテル投資では6~10%以上の高利回りを実現できる可能性があります。さらに、海外からの観光客増加による安定した需要と、優待利用による付加価値も魅力的な投資分野といえます。
この記事では、リゾートホテル投資の具体的なメリットから投資方式の違い、そして見過ごしてはならないリスクまで、投資判断に必要な情報を詳しく解説します。
リゾートホテル投資のメリットは?

リゾートホテル投資は従来の住宅系不動産投資とは異なる魅力的な特徴を持つ投資方法です。観光業界の成長とともに注目を集めているこの投資方式について、具体的なメリットを詳しく見てみましょう。
高い利回りを期待できる
リゾートホテル投資の最大の魅力は、一般的な賃貸住宅投資と比較して高い利回りを期待できる点にあります。都市部のワンルームマンション投資では表面利回り3~5%程度が相場ですが、リゾートホテル投資では6~10%以上の利回りを実現できるケースが多く見られます。
この高利回りの背景には、リゾートホテルの宿泊料金設定があります。一般的な賃貸住宅の月額家賃と比較して、ホテルの一泊あたりの宿泊料金は高く設定されており、稼働率が適切に管理されれば相当な収益を生み出すことができます。特に人気の観光地にある物件では、繁忙期の宿泊料金が平常時の2~3倍になることも珍しくありません。
また、リゾートホテルは複数の収益源を持つことも高利回りの要因となります。宿泊料金に加えて、レストランやバー、スパ、会議室、ウェディング会場などの付帯施設からの収入も期待できます。これらの複合的な収益により、単純な宿泊料金だけでは実現できない利回りを達成することが可能になります。
さらに、適切な運営管理により稼働率を向上させることで、投資収益の最大化を図ることができます。プロの運営会社による効率的な集客戦略や価格設定により、年間を通じて安定した高い稼働率を維持することが収益向上の鍵となります。
インバウンド需要を取り込める
日本政府が推進する観光立国政策により、海外からの観光客数は大幅に増加しています。特に新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いた後、インバウンド観光客の回復と増加が顕著に見られており、この流れはリゾートホテル投資にとって大きな追い風となっています。
インバウンド観光客の特徴として、日本国内の観光客と比較して滞在期間が長く、一回あたりの消費金額も高い傾向があります。特に欧米系の観光客は長期滞在を好み、アジア系の観光客は高級志向のサービスを求める傾向が強く、どちらもリゾートホテルの収益向上に寄与します。
また、インバウンド観光客は季節的な集中が国内観光客ほど顕著ではないため、年間を通じて比較的安定した需要を期待できます。国内観光客が集中する夏休みやゴールデンウィーク以外の時期でも、海外からの観光客により一定の稼働率を維持することが可能になります。
さらに、円安傾向が続く現在の経済環境では、海外からの観光客にとって日本での宿泊や消費がより魅力的になっており、この為替環境もリゾートホテル投資の収益性向上に貢献しています。政府の観光政策と為替環境の両面から、インバウンド需要の取り込みは今後も期待できる要素といえます。
安定した資産価値を維持できる
リゾートホテル物件は立地条件が優れていることが多く、長期的な資産価値の維持が期待できます。一般的にリゾートホテルは景観の良い海岸沿いや山間部、温泉地などの希少性の高い土地に建設されており、これらの立地条件は時間が経過しても価値が大きく下落するリスクが低いという特徴があります。
特に自然環境に恵まれた立地では、開発規制により新たな競合施設の建設が制限されることも多く、既存物件の希少価値が維持されやすい環境にあります。また、観光地としての知名度が確立されている地域では、継続的な観光需要により物件価値の安定性が高まります。
建物についても、リゾートホテルは一般的な住宅と比較して建築基準が高く、耐久性に優れた構造で建設されることが多いため、適切なメンテナンスを行うことで長期間にわたって価値を維持することができます。また、時代に合わせた改装やリノベーションにより、むしろ価値を向上させることも可能です。
さらに、リゾートホテル投資では土地と建物の両方を所有するため、単純な金融商品投資と比較してインフレヘッジ効果も期待できます。物価上昇時には宿泊料金や物件価値も連動して上昇する傾向があり、実質的な資産価値の目減りを防ぐ効果があります。
運営を専門家に委託できる
リゾートホテル投資では、実際の運営業務を専門の運営会社に委託することが一般的です。これにより、投資家自身がホテル経営の専門知識を持たなくても、プロフェッショナルによる効率的な運営を実現できます。
運営委託により、予約管理、接客サービス、清掃、メンテナンス、マーケティング、財務管理など、ホテル運営に必要な全ての業務を経験豊富な専門家に任せることができます。これらの業務は24時間365日の対応が必要な場合も多く、個人投資家が直接対応することは現実的ではありません。
また、専門運営会社は複数のホテル物件を管理している場合が多く、スケールメリットを活かした効率的な運営が可能です。一括仕入れによるコスト削減、システムの共通化による効率化、ノウハウの共有による品質向上など、個別運営では実現できない利点があります。
運営委託先の選定においては、過去の運営実績、財務状況、運営方針、手数料体系などを総合的に評価することが重要です。信頼できる運営会社との契約により、投資家は運営の詳細に関わることなく、安定した収益を得ることができます。
自身も優待価格で利用できる
リゾートホテル投資の隠れたメリットとして、オーナー自身が所有するホテルを優待価格で利用できる点があります。多くの場合、投資家は一般宿泊料金よりも大幅に割引された価格で宿泊することができ、家族旅行やプライベートな利用において実質的な節約効果を得ることができます。
この優待制度は単純な金銭的メリットだけでなく、投資対象となる物件の品質やサービスレベルを直接確認できる機会でもあります。実際に宿泊することで、設備の状況、スタッフのサービス品質、他の宿泊客の層などを把握でき、投資判断の参考材料とすることができます。
また、優待利用により得られる体験は、知人や友人への紹介にもつながりやすく、間接的な集客効果も期待できます。投資家自身が満足した体験を得られれば、それが口コミとして広がり、ホテルの評判向上と稼働率アップに貢献する可能性があります。
さらに、複数のリゾートホテルに投資している場合は、それぞれの物件で優待を受けることができ、年間を通じて様々な場所での休暇を楽しむことができます。これは投資によって得られる金銭的リターン以外の付加価値として、投資家のライフスタイル向上に寄与します。
節税効果を期待できる
リゾートホテル投資では、不動産投資としての節税効果を活用することができます。建物部分の減価償却費を経費として計上することにより、帳簿上の所得を圧縮し、所得税や住民税の軽減効果を得ることが可能です。
特にリゾートホテルのような事業用不動産の場合、住宅用不動産と比較して建物の設備部分の割合が高く、これらの設備は比較的短期間で減価償却できるため、初期の節税効果が大きくなる傾向があります。空調設備、給排水設備、電気設備、厨房設備などは15年程度の償却期間で経費化でき、建物本体部分よりも早期に節税効果を実現できます。
また、ローンを利用して投資を行った場合の支払利息も経費として計上でき、特に投資初期の利息負担が大きい時期には相当な節税効果を期待できます。その他にも、物件の管理費、修繕費、保険料、税金なども必要経費として計上することができます。
相続税対策としても、リゾートホテル投資は有効な手段となります。現金で保有するよりも相続税評価額を圧縮できる効果があり、また収益を生み出す資産として次世代への資産承継にも活用できます。ただし、節税効果を最大限に活用するためには、税務の専門家と相談しながら適切な投資計画を立てることが重要です。
リゾートホテル投資の主な種類

リゾートホテル投資には複数の投資方式があり、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。投資家の資金規模、リスク許容度、運営への関与度などに応じて最適な投資方式を選択することが成功の鍵となります。
区分所有型
区分所有型投資は、リゾートホテルの客室を一室単位で購入する投資方式です。この方式は比較的少額の資金で投資を開始できることから、初心者投資家や資金規模が限られた投資家にとって最も取り組みやすい投資形態といえます。
一般的に区分所有型では、購入した客室を運営会社に賃貸し、運営会社が実際のホテル運営を行います。投資家は客室の賃貸収入を得る形となり、ホテル全体の収益に応じて配分される仕組みが多く採用されています。投資金額は物件や立地により異なりますが、1室あたり1,000万円から5,000万円程度の範囲で投資することができます。
区分所有型の大きなメリットは、投資リスクの分散です。ホテル全体を一棟で購入する場合と比較して、投資金額が小さく抑えられるため、複数の物件や地域に分散投資することが可能になります。また、万が一運営が不調になった場合でも、損失を限定的に抑えることができます。
一方で、区分所有型では投資家個人がホテル運営に直接関与することは難しく、運営会社の方針や能力に大きく依存することになります。また、一室あたりの収益性は一棟投資と比較して限定的である場合が多く、大きなリターンを期待する投資家には物足りない場合があります。
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一棟投資型
一棟投資型は、リゾートホテル全体を一棟まるごと購入する投資方式です。この方式では投資家がホテルの完全なオーナーとなり、運営方針から収益配分まで全てをコントロールすることができます。投資金額は規模により大きく異なりますが、数億円から数十億円規模の資金が必要となることが一般的です。
一棟投資の最大のメリットは、高い収益性と完全なコントロール権です。ホテル全体の収益が投資家に帰属するため、運営が成功すれば区分所有型よりもはるかに高いリターンを期待できます。また、運営会社の選定、料金設定、サービス内容、改装計画など、全ての経営判断を投資家が行うことができます。
さらに、一棟投資では土地と建物の両方を完全に所有するため、将来的な売却時には土地の値上がり益も期待できます。立地条件の良いリゾート地では、長期的な土地価値の上昇により、大きなキャピタルゲインを実現できる可能性があります。
しかし、一棟投資型にはリスクも相応に高くなります。投資金額が大きいため、運営が不調になった場合の損失も大きくなります。また、ホテル運営の専門知識が必要となり、適切な運営会社の選定や運営方針の策定など、高度な判断力が求められます。
ファンド型投資
ファンド型投資は、複数の投資家から資金を集めて組成したファンドを通じてリゾートホテルに投資する方式です。この方式では、投資家は直接ホテル物件を所有するのではなく、ファンドの出資者として間接的に投資を行います。最低投資金額は100万円から1,000万円程度の場合が多く、区分所有型よりもさらに少額から投資を開始できます。
ファンド型投資の大きなメリットは、プロフェッショナルによる運用です。ファンドマネージャーがホテル選定から運営管理まで全てを担当するため、投資家は専門知識を持たなくても高品質な投資機会にアクセスすることができます。また、複数のホテル物件に分散投資されることが多く、リスクの分散効果も期待できます。
さらに、ファンド型では投資家は運営に関する業務を一切行う必要がなく、配当を受け取るだけの完全受動的投資が可能です。これは他の事業で忙しい経営者や、不動産投資の経験が少ない投資家にとって大きなメリットとなります。
一方で、ファンド型投資では投資家の裁量権が限定的となります。個別の物件選択や運営方針について投資家が直接関与することはできず、ファンドマネージャーの判断に委ねることになります。また、ファンドの管理手数料や成功報酬などのコストが発生するため、実質的なリターンが減少する場合があります。
海外リゾートホテル投資
海外リゾートホテル投資は、日本国外のリゾート地にあるホテル物件に投資する方式です。特に東南アジア、ハワイ、オーストラリアなどの人気リゾート地での投資機会が多く提供されています。投資金額や投資方式は国や物件により様々ですが、現地の不動産法制や税制を理解した上で投資を行う必要があります。
海外リゾートホテル投資の魅力は、高い成長性と収益性です。新興国では経済成長に伴う観光業の拡大が期待でき、先進国では安定した観光需要により継続的な収益を期待できます。また、為替変動により円ベースでの収益が向上する可能性もあります。
特に東南アジア地域では、中間所得層の拡大により域内観光需要が急速に成長しており、この成長を取り込むことで高いリターンを実現できる可能性があります。また、欧米系の長期滞在観光客も多く、年間を通じて安定した需要を期待できます。
しかし、海外投資には特有のリスクも存在します。為替変動リスク、政治的リスク、法制変更リスクなど、国内投資では考慮する必要のないリスクが発生します。また、現地の法制度や商慣習の理解、税務処理の複雑さなど、専門的な知識と現地でのサポート体制が必要となります。
リゾートホテル投資の経営方式

リゾートホテル投資では、物件を取得した後の経営方式により収益構造や投資家の関与度が大きく異なります。各経営方式の特徴を理解し、投資目的やリスク許容度に応じて最適な方式を選択することが重要です。
所有直営方式
所有直営方式は、投資家がホテル物件を所有し、自ら直接経営を行う方式です。この方式では、投資家が経営者として全ての経営判断を行い、ホテル運営から生じる全ての収益と費用が直接投資家に帰属します。最も能動的な投資形態であり、高い経営スキルと相当な時間的コミットメントが必要となります。
所有直営方式の最大のメリットは、収益の最大化です。運営会社への委託手数料や管理費用が発生しないため、ホテルから生じる収益を最大限投資家が享受することができます。また、サービス内容、料金設定、マーケティング戦略など、全ての経営要素を投資家の判断で最適化することが可能です。
さらに、直営により得られる経営ノウハウは、将来的な投資拡大や他の事業展開にも活用することができます。ホテル業界の知識、顧客ニーズの理解、効率的な運営方法など、実際の経営を通じて蓄積される経験は貴重な資産となります。
しかし、所有直営方式には高いリスクも伴います。ホテル運営は24時間365日の対応が必要であり、予約管理、接客サービス、清掃、メンテナンス、財務管理など多岐にわたる業務を統括する必要があります。また、観光業界の動向、競合他社の戦略、法規制の変更などに常に対応していく必要があり、相当な専門知識と経営経験が求められます。
管理運営受託方式
管理運営受託方式は、投資家がホテル物件を所有し、運営業務を専門の運営会社に委託する方式です。所有権は投資家にありながら、実際の運営はプロフェッショナルに任せることで、専門性と効率性を両立することができます。現在最も一般的に採用されている方式の一つです。
この方式では、運営会社が日常的な運営業務を全て担当し、投資家は所有者として運営方針の決定や大きな投資判断に関与します。運営会社への委託費用は一般的に売上の5~15%程度に設定されることが多く、運営会社の能力により収益性が大きく左右されます。
管理運営受託方式のメリットは、専門性の活用と投資家の負担軽減です。経験豊富な運営会社により効率的な運営が実現でき、投資家は運営の詳細に関わることなく安定した収益を期待できます。また、運営会社の持つ予約システム、マーケティングネットワーク、人材ネットワークなどを活用することができます。
一方で、運営会社の選定が投資成果を大きく左右するため、慎重な選択が必要です。運営実績、財務状況、運営方針、手数料体系などを総合的に評価し、長期的な パートナーとして信頼できる会社を選ぶことが重要です。また、運営会社への依存度が高くなるため、運営会社の経営状況や方針変更が投資収益に直接影響することになります。
リース方式
リース方式は、投資家が所有するホテル物件を運営会社に一定期間賃貸し、運営会社が固定賃料を支払う方式です。この方式では、投資家は安定した固定収入を得ることができ、ホテル運営の業績変動リスクを回避することができます。特に安定志向の投資家に適した方式といえます。
リース方式では、賃料は通常ホテルの規模や立地、市場条件などを考慮して設定され、多くの場合3~10年程度の長期契約が結ばれます。投資家は契約期間中、ホテルの稼働率や収益性に関わらず一定の賃料収入を得ることができるため、収益の予測可能性が高くなります。
この方式の大きなメリットは、収益の安定性とリスクの限定です。観光業界の繁閑の波や競合状況の変化、経済情勢の変動などに関わらず、一定の収益を確保することができます。また、運営に関する一切の責任を運営会社が負うため、投資家は完全に受動的な投資を行うことができます。
しかし、リース方式では収益の上限も固定されるため、ホテル運営が好調な場合でも追加的な収益を得ることはできません。また、賃料水準は一般的に保守的に設定されることが多く、他の運営方式と比較して収益性が低くなる傾向があります。さらに、長期契約のため、市場環境の変化に応じた柔軟な対応が困難になる場合があります。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式は、投資家が有名ホテルブランドのフランチャイズ契約を締結し、そのブランド名でホテルを運営する方式です。この方式では、確立されたブランド力とノウハウを活用しながら、投資家が実質的なオーナーとして運営を行います。国際的なホテルチェーンから国内の有名ブランドまで、様々な選択肢があります。
フランチャイズ方式の最大のメリットは、ブランド力の活用です。知名度の高いホテルブランドを使用することで、集客力の向上、予約システムの活用、マーケティング効果の享受などが期待できます。また、フランチャイザーから提供される運営マニュアル、研修プログラム、品質管理システムなどにより、安定したサービス品質を維持することができます。
さらに、フランチャイズチェーンの予約ネットワークを活用することで、個人経営では困難な広範囲からの集客が可能になります。特に海外からの観光客にとって、知名度の高いブランドは安心感を与え、予約率の向上につながります。
一方で、フランチャイズ方式では加盟金、ロイヤリティ、マーケティング費用などの継続的な費用が発生します。これらの費用は売上の5~10%程度になることが多く、収益性に一定の影響を与えます。また、フランチャイザーの運営基準に従う必要があり、独自の経営判断に制約が生じる場合があります。
リゾートホテル投資のリスクは?

リゾートホテル投資は魅力的なリターンを期待できる一方で、様々なリスクも存在します。これらのリスクを事前に理解し、適切な対策を講じることが投資成功の重要な要素となります。
景気や社会情勢に影響を受けやすい
リゾートホテル投資は観光業に基づく投資であるため、景気変動や社会情勢の影響を強く受ける特徴があります。経済不況時には企業の出張需要や個人の余暇消費が減少し、ホテルの稼働率と宿泊料金が大幅に下落するリスクがあります。
特に新型コロナウイルス感染症のような大規模な社会的事象が発生した場合、観光業界全体が深刻な打撃を受けることが実証されました。国境封鎖、移動制限、外出自粛などにより、リゾートホテルの稼働率が大幅に低下し、一時的に事業継続が困難になる状況も発生しました。
また、自然災害やテロ事件、政治的不安定などの要因も観光需要に大きな影響を与えます。これらの事象は予測が困難であり、発生時には急激な需要減少により深刻な収益悪化をもたらす可能性があります。地震、台風、火山噴火などの自然災害が多い日本では、特にこのリスクを慎重に考慮する必要があります。
さらに、為替変動もインバウンド需要に大きな影響を与えます。円高が進行すると海外からの観光客にとって日本での消費が割高になり、観光需要の減少につながる可能性があります。一方で円安時には国内観光客の海外旅行が増加し、国内リゾートホテルの需要が相対的に高まることもあります。
多額の初期投資が必要
リゾートホテル投資では、一般的な住宅投資と比較して多額の初期投資が必要となります。区分所有型でも1室あたり数千万円、一棟投資では数億円から数十億円規模の資金が必要となることが多く、この高い投資金額がリスクを増大させる要因となります。
初期投資金額が大きいということは、投資判断を誤った場合の損失も相応に大きくなることを意味します。また、多額の借入れを行って投資する場合、金利変動リスクや返済負担が経営を圧迫するリスクも発生します。特に変動金利で借入れを行った場合、将来的な金利上昇により収益性が大幅に悪化する可能性があります。
さらに、リゾートホテルは開業後も継続的な設備投資や改装が必要となります。競合他社との差別化を図るため、また設備の老朽化に対応するため、定期的に相当な金額の追加投資が発生します。これらの投資も収益性に大きな影響を与えるため、長期的な資金計画を慎重に立てる必要があります。
また、初期投資の回収期間も一般的な不動産投資より長くなる傾向があります。投資金額が大きい分、年間の純利益で投資元本を回収するまでに10年以上かかることも珍しくありません。この長期回収期間中に市場環境が変化するリスクも考慮する必要があります。
リゾートホテルの流動性が低い
リゾートホテル物件は一般的な住宅や商業用不動産と比較して流動性が低く、売却が困難になるリスクがあります。購入希望者が限られるため、売却を希望してもすぐに買い手が見つからない場合が多く、売却価格も市場環境により大きく変動する可能性があります。
流動性の低さの主な要因は、投資対象として検討する投資家の層が限定的であることです。リゾートホテル投資には専門知識と多額の資金が必要であり、さらにホテル運営の経験や観光業界への理解も求められるため、潜在的な購入者が少なくなります。また、立地が観光地に限定されるため、地域的な需要変動の影響も受けやすくなります。
特に一棟投資の場合、物件価格が数億円規模になることが多く、この価格帯で投資を検討できる投資家は非常に限られます。そのため、売却を急ぐ場合には大幅な価格引き下げを余儀なくされる可能性があります。また、金融機関からの融資を受けて購入する買い手が多いため、融資環境の変化も売却可能性に大きな影響を与えます。
さらに、リゾートホテルは運営継続が前提となる物件であるため、単純な不動産としての価値だけでなく、事業としての収益性も売却価格に大きく影響します。運営状況が不調な物件では、建物や土地の価値があっても大幅な価格下落を避けることができません。
この流動性リスクを軽減するためには、投資時から出口戦略を明確にしておくことが重要です。将来的な売却可能性を考慮した物件選択、運営実績の維持向上、市場動向の継続的な把握などにより、売却時の選択肢を確保することが必要です。
優秀なスタッフの人材確保が難しい
リゾートホテルの成功は質の高いサービスを提供するスタッフの能力に大きく依存しますが、優秀な人材の確保と維持は継続的な課題となります。特にリゾート地は都市部から離れた立地にあることが多く、人材の確保がより困難になる傾向があります。
ホテル業界は労働集約的な産業であり、フロント、客室清掃、レストラン、設備管理など多様な職種のスタッフが必要です。これらの職種それぞれに専門的なスキルと経験が求められ、特に外国人観光客への対応が必要な場合は語学力も重要な要素となります。しかし、このような条件を満たす人材は限られており、採用競争も激化しています。
また、リゾートホテルは季節的な需要変動があるため、繁忙期と閑散期でスタッフ数を調整する必要があります。しかし、一時的な雇用では質の高いサービスを維持することが困難であり、通年雇用を行う場合は閑散期の人件費負担が経営を圧迫することになります。
人材確保の困難さは、サービス品質の低下、顧客満足度の悪化、口コミ評価の低下など、直接的に収益性に影響する問題を引き起こします。また、人材不足により既存スタッフの労働負荷が増加し、離職率の上昇というさらなる悪循環を生む可能性もあります。
この問題への対策として、競争力のある給与体系の構築、充実した福利厚生の提供、キャリア開発機会の創出、働きやすい職場環境の整備などが重要です。また、地域の教育機関との連携による人材育成、外国人労働者の活用、ITシステムによる業務効率化なども有効な手段となります。
さらに、スタッフのモチベーション向上のため、明確な評価制度の導入、成果に応じたインセンティブの設定、従業員の意見を経営に反映する仕組みの構築なども必要です。優秀な人材を長期間確保するためには、単なる雇用関係を超えた、働きがいのある職場づくりが不可欠といえます。
人材投資は短期的にはコストとして認識されがちですが、長期的には顧客満足度向上、リピート率増加、口コミによる集客効果など、収益向上に直結する重要な投資であることを理解し、戦略的に取り組むことが求められます。
まとめ
リゾートホテル投資は高い利回りとインバウンド需要の取り込み、節税効果など魅力的なメリットがある一方で、景気変動の影響や高額な初期投資、流動性の低さなどのリスクも存在します。投資方式も区分所有型からファンド型まで多様な選択肢があり、経営方式によって収益構造も大きく異なります。
これらの特徴を踏まえると、リゾートホテル投資は相当な専門知識と資金力が必要な投資分野であることがわかります。しかし、より手軽に宿泊事業への投資を始めたい方には、民泊投資という選択肢があります。
民泊投資であれば数百万円程度の初期投資で始めることができ、都市部の利便性の高い立地で安定した需要を期待できます。また、民泊M&Aを活用すれば、既に運営実績のある物件を取得することで、初期のリスクを大幅に軽減することが可能です。運営ノウハウも含めて事業を承継できるため、未経験者でも安心して宿泊事業に参入できます。
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