旅行先の宿泊施設を選ぶとき、「民泊とペンションはどう違うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?どちらも一般的なホテルとは異なる魅力を持っていますが、法的な位置づけやサービス内容、料金体系、雰囲気など、実は様々な点で大きく異なります。
宿泊施設選びで失敗しないためには、両者の違いを正しく理解することが重要です。この記事では、民泊とペンションの定義から、提供されるサービス、料金体系、内装や雰囲気、立地条件、運営する側から見た特徴まで、具体的に解説します。
民泊とペンションの定義は?

「民泊」と「ペンション」という言葉を耳にする機会は多くても、両者の違いを明確に説明できる方は少ないかもしれません。宿泊施設として似ている面もありますが、法律上の位置づけや運営形態は全く異なります。ここでは、民泊とペンションそれぞれの定義と法的背景について詳しく見ていきましょう。
民泊とは
民泊は、一般住宅を活用して宿泊サービスを提供する宿泊形態です。マンション、アパート、一戸建てなど様々な住居形態で運営されており、キッチンや洗濯機などの生活設備が整っているため、「暮らすように旅をする」体験ができます。
法律上、民泊は2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に基づいて運営されます。個人が自分の住居を活用して年間180日以内で営業する場合、都道府県知事への届出が必要です。また、Airbnbなどの民泊仲介業者が間に入り、世界中の物件と旅行者をマッチングする仕組みも普及しています。
民泊の最大の魅力は、ホテルよりもリーズナブルな価格で、現地の生活感を味わえる点です。家族や友人グループでの旅行では、全員が同じ空間で過ごせるため、充実した時間を過ごせるでしょう。地元のホストからその土地ならではの情報を得られることも大きなメリットです。
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ペンションとは
ペンションは、オーナーが自ら住み込みで経営し、家庭的なおもてなしを提供する宿泊施設です。10室前後の客室を持ち、ログハウス風や洋風の建物が一般的で、客室は洋室タイプが主流となっています。
法律上、ペンションは「旅館業法」に基づく「簡易宿所営業」に分類されます。営業許可を取得するには、客室の床面積は33平方メートル以上(洋室の場合は一人当たり3.3平方メートル以上)、適切な換気・採光・照明設備、便所・洗面設備など、旅館業法が定める基準を満たす必要があります。また、食品衛生法の規制も適用されるため、飲食の提供には食品衛生責任者の設置が求められます。
ペンションの最大の魅力は、オーナーの個性が反映された空間とサービスです。ホテルチェーンのような均一性はなく、オーナーの趣味や特技を活かした独自のコンセプトを持つ施設が多いのが特徴です。通常、朝食と夕食のサービスを提供する1泊2食付きプランが主流で、オーナー自らが調理する手作り料理を楽しめます。
主に高原や温泉地、スキー場など観光地に立地しており、アウトドアアクティビティと組み合わせた滞在を楽しめることも魅力です。
サービス内容にどんな違いがある?

民泊とペンションでは、提供されるサービス内容に明確な違いがあります。食事の有無、アメニティの充実度、共用設備の利用条件、清掃サービスの頻度など、滞在の快適さを左右する要素は意外と多いものです。ここでは、両者のサービス内容の違いについて詳しく見ていきましょう。
食事サービスの有無
民泊では基本的に食事提供を行っていません。その代わり、キッチン設備が整っており、自炊できる環境が提供されています。スーパーで買い物をして地元の食材を使った料理を作ったり、外食したりと、自分のペースで食事を楽しめる自由度の高さが特徴です。
最近では、冷蔵庫に簡単な朝食セットを用意しておくサービスを提供する民泊も増えています。各自が好きなタイミングで自由に食事できる点も、民泊ならではのメリットです。
一方、ペンションでは基本的に食事サービスが提供されます。1泊2食(朝食・夕食)付きのプランが一般的で、オーナー自らが腕をふるう手作り料理を楽しめます。夕食では、オーナーの特技や地元の食材を活かした自慢の料理が振る舞われることも少なくありません。地元の食文化に触れられる貴重な機会となるでしょう。
食事スタイルも異なります。民泊では各自が好きなタイミングで食事できますが、ペンションでは決められた時間に食事が提供されます。他の宿泊客と同じテーブルで食べる「相席」スタイルのペンションも多く、他の旅行者との交流の機会にもなります。
アメニティ
民泊のアメニティは基本的に最小限に抑えられています。シャンプー、ボディソープ、タオルなどの基本的なものは用意されていますが、歯ブラシやかみそりなどの使い捨てアメニティは提供されないケースが一般的です。これは、民泊が「家としての機能」を重視しているためです。
ただし、長期滞在を想定しているため、掃除機やアイロンなどの生活用品が備え付けられていることが多いです。
ペンションでは、アメニティの充実度はオーナーの方針によって大きく異なります。基本的なアメニティは用意されていますが、ホテルほど豪華ではないケースが多いでしょう。しかし、オーナーのこだわりが反映されたユニークなアメニティが提供されることもあります。オーガニックシャンプーや手作り石鹸など、通常のホテルでは体験できない特別なアイテムが用意されている場合もあります。
また、周辺のアクティビティを楽しむための道具(スキー用品、釣り道具など)の貸出サービスを行っているペンションも多いです。
共用施設の違い
民泊では、一軒家をまるごと借りるタイプでは共用施設はありませんが、一部屋だけを借りるタイプでは、キッチンやリビングを他の宿泊者と共有することがあります。バックパッカー向けの民泊やゲストハウスタイプでは、共用キッチンは重要な交流スペースとなっています。Wi-Fiやテレビなどの設備も、一般的な住宅と同様に整っています。
共用施設は基本的に24時間利用可能であることが多く、自由度の高さが特徴です。
ペンションの共用施設は、ラウンジやダイニングが中心です。多くのペンションでは、暖炉や大きなソファのあるラウンジスペースを設けており、他の宿泊客と交流したり、読書を楽しんだりできる空間を提供しています。立地によっては露天風呂やバーベキュースペース、天体望遠鏡、子供向けプレイルームなど、特徴的な共用施設を設けているところもあります。
利用時間については営業時間が設定されていることが一般的で、夜間は騒音防止のため共用スペースの利用が制限されることもあります。
清掃サービス
民泊では基本的に滞在中の清掃サービスはありません。長期滞在の場合でも、毎日の清掃は宿泊者自身で行うセルフクリーニングが基本です。掃除機やクイックルワイパーなどの清掃道具は備え付けられているため、必要に応じて自分で部屋を清掃できます。
チェックアウト後の大掃除はホスト側が行い、その費用は清掃料金として宿泊料金に含まれていたり、別途請求されたりします。アメニティの補充もチェックイン時の一度だけです。
一方、ペンションでは一般的に毎日の清掃サービスが提供されます。ただし、ホテルのように完全な清掃ではなく、ベッドメイキングやタオル交換、ゴミ捨てなど基本的な部分に限られることが多いです。滞在中も必要に応じてアメニティを補充してもらえます。
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宿泊料金の特徴は?

宿泊施設を選ぶ際に最も気になるポイントの一つが料金です。民泊とペンションでは、料金体系や価格帯に明確な違いがあります。ここでは、両者の料金面での特徴を詳しく解説します。
一泊あたりの平均価格帯
民泊の価格帯は、立地や施設の質によって大きく変動しますが、一般的には1泊あたり5,000円〜15,000円程度が相場です。都市部の場合、同エリアのビジネスホテルやリゾートホテルと比較すると、20%〜40%ほど安く宿泊できるケースが多いです。一室あたりの定員が多いタイプの民泊では、人数で割ると一人当たりの宿泊費がさらに安くなります。
ペンションの場合、基本的に1泊2食付きのプランが一般的で、一人あたり8,000円〜15,000円程度が相場です。民泊とは異なり、一人当たりの料金設定が基本となるため、複数人で利用しても一人当たりの料金はあまり変わりません。ただし、子供料金や幼児料金などの割引制度を設けていることが多いため、ファミリー利用の場合はこうした割引も考慮に入れると良いでしょう。
料金に含まれるものを比較すると、民泊では基本的に素泊まりの料金であるのに対し、ペンションでは朝食と夕食の料金が含まれています。食事代を考慮すると、両者の価格差はそれほど大きくない場合もあります。
追加料金の有無
民泊の場合、表示されている宿泊料金とは別に、追加料金が発生することがあります。
主な追加料金は以下の通りです。
- 清掃費:チェックアウト後の清掃費用として一律3,000円〜10,000円程度。滞在日数に関わらず固定額であることが多いため、短期滞在の場合は相対的に負担が大きくなります。
- サービス料:民泊予約サイト経由で予約する場合、サイト利用料として宿泊料金の5%〜15%程度が上乗せされることがあります。
- 追加人数料金:定員を超える人数で宿泊する場合、追加人数分として一人あたり2,000円〜5,000円程度が発生します。
- 設備利用料:エアコンやバーベキュー設備など、特定の設備の利用に対して別途料金が発生することもあります。
ペンションの場合、基本的に宿泊料金に朝食・夕食代やサービス料は含まれており、表示価格以外の追加料金が発生することは比較的少ないです。ただし、以下のような場合には追加料金が発生することがあります。
- 暖房費:寒冷地のペンションでは、冬季に暖房費として一日あたり300円〜1,000円程度の追加料金を請求されることがあります。
- 入湯税:温泉地にあるペンションでは、入湯税(通常150円程度)が別途必要になることがあります。
- 特別料理のオプション:基本の食事プランとは別に、特別料理を追加できるケースがあります。
- レンタル品:スキー用品やバーベキュー道具などのレンタル料金。
予約時には、これらの追加料金の有無と金額を必ず確認することが大切です。特に民泊の場合、表示価格以外の追加料金の合計が思いのほか高額になることもあるため、総額でのコスト比較をすることをおすすめします。
シーズン別料金
民泊とペンションは、シーズンによる料金変動の特徴が異なります。
民泊の場合、都市部と観光地で料金変動のパターンが異なります。都市部の民泊では、平日と週末で料金差が生じることが多く、週末は平日より20%〜30%ほど高くなるケースが一般的です。また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの大型連休では通常料金の1.5倍〜2倍に跳ね上がることもあります。観光地の民泊では、その地域の観光シーズンに合わせた料金設定になっていることが多いです。
ペンションの場合、観光地に立地していることが多いため、観光シーズンに合わせた料金変動が顕著です。繁忙期(ハイシーズン)と閑散期(オフシーズン)の料金差は非常に大きく、繁忙期はオフシーズンの1.5倍〜2倍の料金設定になっていることが珍しくありません。
長期連休や特別なイベント期間(花火大会や祭りなど)には、民泊もペンションも予約が取りにくくなり、料金も高騰する傾向があります。特にペンションは部屋数が少ないため、人気のペンションは繁忙期の数ヶ月前には予約で埋まってしまうこともあります。
オフシーズンや平日を狙って予約すれば、かなりお得に宿泊できる可能性が高まります。ペンションでは、オフシーズンに特別割引プランや特典付きプランなどを提供していることも多いので、予算を抑えたい方は積極的に利用すると良いでしょう。
雰囲気や内装の違いは?

宿泊体験の質を大きく左右するのが、宿泊施設の雰囲気や内装です。民泊とペンションでは、空間デザインの考え方や内装のスタイルに明確な違いがあります。これらの違いは、単なる見た目の問題ではなく、宿泊中の過ごし方や得られる体験の質にも直結します。ここでは、両者の雰囲気や内装の特徴的な違いについて詳しく見ていきましょう。
一般的な内装スタイル
民泊の内装は、一般的な住宅の延長線上にあることが多いです。マンションやアパートの一室を利用した民泊では、シンプルでモダンなインテリアが主流です。機能性を重視した配置になっており、ベッドやソファ、テレビ、キッチン設備などが効率的に配置されています。
最近では、SNS映えを意識したおしゃれな内装の民泊も増えています。デザイナーズマンションの一室を活用したスタイリッシュな空間や、古民家を改装した和モダンな雰囲気の民泊など、多様なスタイルが登場しています。
ペンションの内装は、オーナーの趣味や特技、こだわりが強く反映されることが多いです。音楽好きなオーナーであれば楽器やレコードコレクションが飾られていたり、アウトドア好きなオーナーであれば登山用品やスキー道具がインテリアとして活用されていたりします。このような「テーマ性」のある内装は、ペンションならではの魅力と言えるでしょう。
洋風の建物が主流で、ログハウス風の温かみのある内装や、ヨーロッパ風のクラシカルな雰囲気の内装が人気です。暖炉やステンドグラス、アンティーク家具などが配置され、非日常的な空間を演出しています。
部屋の広さと間取り
民泊の場合、物件タイプによって広さや間取りが大きく異なります。大きく分けると、「一室タイプ」と「一軒家タイプ」の2種類があります。
「一室タイプ」の民泊は、マンションやアパートの一室を利用したもので、広さは20平方メートル〜50平方メートル程度が一般的です。多くの場合、ワンルームまたは1LDKの間取りとなっており、1人〜4人程度の少人数での利用に適しています。空間が限られているため、ベッドやソファベッド、布団などを使って就寝スペースを確保する工夫がなされています。
「一軒家タイプ」の民泊は、戸建て住宅全体を貸し出すもので、広さは60平方メートル〜150平方メートル以上と幅広いです。複数の寝室があるため、大人数でのグループ旅行やファミリー旅行に適しています。リビング、ダイニング、キッチン、複数の寝室、場合によっては庭やテラスなども備えており、まさに「家」として機能する空間となっています。
ペンションの客室は、基本的に「ホテルの客室」と「自宅の個室」の中間的な位置づけです。一般的な広さは15平方メートル〜30平方メートル程度で、洋室タイプが主流です。間取りはシンプルで、ベッドエリアと小さなテーブル・椅子があるくらいで、キッチンやリビングなどは共用スペースとして別に用意されていることが多いです。
民泊とペンションの部屋の大きな違いは、「自炊設備の有無」です。民泊では基本的に各部屋またはユニット内にキッチン設備が備わっていますが、ペンションでは各部屋にキッチン設備はなく、食事は提供される食事に頼ることになります。
また、バスルームの形態も異なることが多いです。民泊では各部屋・ユニットにプライベートバスルーム(トイレ・洗面・バスタブ/シャワー)が備わっていることが一般的ですが、ペンションでは部屋にはトイレと洗面台のみで、バスルームは共同利用というケースも少なくありません。特に小規模なペンションでは、温泉や大きな共同浴場を設けていることが魅力になっています。
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立地や周辺環境に違いはある?

宿泊施設選びで見落とせないのが、立地条件と周辺環境です。民泊とペンションでは、一般的に存在する地域や周辺の環境に大きな違いがあります。ここでは、両者の立地や周辺環境の特徴的な違いについて詳しく見ていきます。
一般的な立地の特徴
民泊は基本的に「住宅」を活用した宿泊施設であるため、住宅が建てられるあらゆる場所に存在します。特に多いのは、都市部の住宅街や商業地域に近い住宅地です。これは、観光客の多くが観光スポットへのアクセスの良さや利便性を重視するためです。東京、大阪、京都などの主要観光都市では、駅から徒歩圏内や観光名所周辺の住宅地に民泊が集中している傾向があります。
都市部の民泊は、地元の人々が実際に暮らしている住宅街の中に位置することが多いため、観光客向けに作られた環境ではなく、地元の人々の日常生活を垣間見ることができます。近所にはスーパーやコンビニ、地元の飲食店などが揃っており、観光客ではなく地元住民向けのサービスを体験できます。
一方で、近年では地方の古民家や別荘地の物件を活用した民泊も増えています。過疎化が進む地方では、空き家を活用した民泊が地域活性化の一環として推進されているケースもあります。こうした地方の民泊は、自然環境に恵まれた静かな立地であることが多く、「田舎暮らし体験」を求める旅行者に人気です。
ペンションは、その成り立ちからリゾート地や観光地に集中しています。軽井沢、那須、富士五湖、八ヶ岳などの高原リゾート、ニセコや白馬などのスキーリゾート、湯布院や草津などの温泉地に多く見られます。これらの地域は、自然環境の豊かさや季節の魅力、アウトドアアクティビティなどの観光資源があることが特徴です。
ペンションは、基本的に「観光客のための宿泊施設」として計画的に建てられたものが多いため、観光地の中でも特に景観の良い場所や観光スポットへのアクセスが便利な場所に立地しています。ただし、密集した市街地よりも、自然に囲まれた静かな環境を好んで選ぶオーナーが多いため、中心地からはやや離れた場所に位置することも少なくありません。
景観や眺望の違い
都市部の民泊からは、多くの場合、周辺の住宅や建物、街並みが見えます。高層マンションの一室を利用した民泊では、都市の夜景を一望できるケースもあります。東京や大阪などの大都市では、スカイツリーや東京タワー、通天閣などのランドマークが見える物件は特に人気があります。京都や金沢などの歴史的な街並みが残る都市では、伝統的な町家の風情を楽しめる民泊も魅力的です。
都市部の民泊の周辺環境は、利便性が高いことが特徴です。徒歩圏内にスーパーやコンビニ、飲食店、公共交通機関などが揃っていることが多く、生活するように滞在できます。地元の人々が利用する商店街や市場なども近くにあることが多いため、観光客向けではない本物の地元の雰囲気を体験できます。
一方、地方や郊外の民泊では、自然環境に恵まれた景観を楽しめることもあります。湖畔や海辺、山の麓などに立地する別荘タイプの民泊では、窓から美しい自然景観を望むことができるケースも少なくありません。
ペンションは、その立地の特性上、自然豊かな景観を楽しめることが大きな魅力です。高原リゾートに立地するペンションからは、壮大な山々や緑豊かな森、季節の花々など、美しい自然景観を望むことができます。湖畔や海辺に立地するペンションでは、水辺の景色を楽しめることも特徴です。
多くのペンションでは、この自然景観を最大限に活かすため、大きな窓や展望デッキ、テラスなどを設けています。建物の配置も景観を考慮して設計されていることが多く、客室からの眺望が良くなるよう工夫されています。高原のペンションでは、南向きの客室から山々の眺望を楽しめるよう設計されていることが一般的です。
ペンションの周辺環境は、静けさと自然の豊かさが特徴です。喧騒から離れた静かな環境で、鳥のさえずりや川のせせらぎ、風の音など、自然の音に包まれて過ごすことができます。散策路や自然公園などが近くにあることも多く、自然とのふれあいを楽しむことができます。
季節によって景観が大きく変わるのもペンションの魅力です。春は新緑と花々、夏は鮮やかな緑と爽やかな高原の風、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の美しい自然を楽しむことができます。避暑地として人気の高原リゾートでは、夏でも涼しく過ごせる気候も大きな魅力となっています。
運営するならどちらがいい?

宿泊施設の経営に興味をお持ちの方にとって、民泊とペンションはどちらも魅力的な選択肢です。しかし、初期投資の規模や必要な運営ノウハウ、法的手続きなど、ビジネスとして考えると両者には大きな違いがあります。ここでは、民泊とペンションを運営する際の比較ポイントを詳しく解説します。
初期投資の比較
民泊の初期投資は比較的抑えられる傾向にあります。既存の住宅やマンションの一室を活用するため、新築費用は必要ありません。必要な費用は主に改装費と設備投資費です。
マンションの一室を民泊として運営する場合、一般的な改装費用は100万円〜500万円程度が相場です。この費用には、内装のリフォーム、家具・家電の購入、Wi-Fi環境の整備などが含まれます。既に所有している物件を活用する場合は、初期投資をさらに抑えることができます。
築年数の古い物件でも、清潔感を出すための最低限のリフォームと魅力的な家具・インテリアの導入で十分運営可能です。都市部では、立地の良さが最大の武器となるため、内装にこだわりすぎる必要はありません。
一方、ペンションの初期投資は相当な金額になることが一般的です。ペンションは基本的に一から建設するケースが多く、土地取得費と建築費を合わせると、1億円以上かかることも珍しくありません。小規模なペンション(客室5〜8室程度)でも、土地を含めると5,000万円〜8,000万円程度の初期投資が必要になるでしょう。
既存のペンションを購入して事業を引き継ぐ場合でも、2,000万円〜5,000万円程度の投資が必要です。さらに、購入後のリノベーション費用も考慮する必要があります。古いペンションは設備の老朽化が進んでいることが多いため、浴室やキッチンなどの水回り設備の更新、外壁の塗り替え、屋根の修繕などの費用が別途発生することがあります。
また、ペンションでは飲食の提供が基本となるため、厨房設備への投資も必要です。業務用キッチン設備、食器類、テーブル・椅子などのダイニング家具など、飲食施設としての設備投資も考慮しなければなりません。
民泊とペンションの初期投資の大きな違いは、「規模」と「専門性」にあります。民泊は基本的に住宅としての機能があれば運営できますが、ペンションは宿泊施設としての専門的な設計や設備が必要になります。そのため、初期投資額に大きな差が生じるのです。
初期投資を抑えたい場合や、まずは小規模から始めたい場合は民泊の方が向いているでしょう。一方、本格的な宿泊業に取り組みたい場合や、長期的な事業として考えている場合はペンションの方が適していると言えます。
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運営コスト
民泊の運営コストは比較的低く抑えられる傾向にあります。特に、自分で清掃や接客を行う場合は、人件費をほとんどかけずに運営することも可能です。民泊の主な運営コストには以下のようなものがあります。
- 清掃費:外部の清掃サービスを利用する場合、1回あたり5,000円〜15,000円程度。自分で行えばこのコストは削減できますが、時間と労力は必要です。
- 光熱費:電気、ガス、水道などの基本料金に加え、宿泊者の使用分がかかります。夏場のエアコン使用や長時間のお湯の使用などで変動しますが、月に1万円〜3万円程度が目安です。
- 消耗品費:トイレットペーパー、タオル、シーツ、アメニティなどの補充費用として、月に5,000円〜2万円程度。
- インターネット・通信費:Wi-Fi環境の維持費として、月に5,000円〜7,000円程度。
- 予約サイト手数料:Airbnbなどの予約サイトを利用する場合、宿泊料金の10%〜15%程度が手数料として差し引かれます。
- 保険料:民泊専用の保険に加入する場合、年間2万円〜5万円程度。
これらを合計すると、マンションの一室を民泊として運営する場合、月々の運営コスト(人件費を除く)は3万円〜10万円程度と見積もることができます。物件の家賃や返済金がある場合は、別途それらの費用も考慮する必要があります。
一方、ペンションの運営コストは民泊よりも大幅に高くなります。ペンションの主な運営コストには以下のようなものがあります。
- 人件費:ペンションでは食事提供が基本のため、特に繁忙期にはヘルプスタッフが必要になることが多いです。シーズン中のアルバイト雇用なども含めると、人件費は月に20万円〜50万円程度かかることもあります。
- 食材費:朝食・夕食を提供する場合、食材の仕入れ費用として、宿泊者1人あたり2,000円〜5,000円程度。地元の高級食材を使用する場合はさらに高額になります。
- 光熱費:共用スペースや厨房などを含めると、民泊よりも大幅に高くなります。冬場の暖房費は大きな負担となり、月に10万円〜30万円程度かかることもあります。
- 設備維持費:建物や設備の修繕、メンテナンス費用として、年間で売上の5%〜10%程度を見込む必要があります。
- 広告宣伝費:独自の集客を行う場合、ウェブサイトの運営費や広告費として、月に数万円〜10万円程度。
- 各種保険料:火災保険、賠償責任保険などで、年間20万円〜50万円程度。
- 税金・公共料金:固定資産税、事業税、各種公共料金など。
運営の手間という点では、民泊は予約管理、鍵の受け渡し、清掃などが主な業務となりますが、ペンションでは食事の準備、接客、アクティビティの提案など、より幅広い業務が発生します。料理の提供は大きな違いで、朝食と夕食を毎日提供するためには、相当な労力と時間が必要になります。
副業や投資目的であれば民泊の方が向いていますが、本業として宿泊業に携わりたい場合はペンションの方が安定した収益を見込めるでしょう。
関連:民泊のランニングコストには何が含まれる?コストが適切でないとどうなる?
集客方法の違い
民泊の集客は、主に専用のオンラインプラットフォームを通じて行われます。Airbnb、Booking.com、Expediaなどの大手予約サイトに登録することで、世界中の旅行者にアピールできます。
特にAirbnbは民泊専用のプラットフォームとして世界的に認知されており、多くの外国人旅行者がこのサイトを通じて宿泊先を探します。Airbnbの特徴は、ホストとゲストの相互評価システムにあります。良い評価を多く集めることができれば、検索結果の上位に表示されるようになり、予約率が大幅に向上します。
一方、ペンションの集客は、より多様な方法で行われます。従来型の集客方法としては、旅行会社との提携、観光協会への登録、地元の観光パンフレットへの掲載などがあります。独自のウェブサイトを構築して、SEO対策を行うことも重要です。
近年では、ペンションも楽天トラベル、じゃらんなどのオンライン予約サイトを活用するケースが増えています。これらのサイトは国内旅行者向けの強力な集客ツールですが、登録には旅館業法上の許可が必要です。
口コミの重要性も両者で異なります。民泊ではオンラインプラットフォーム上の評価が直接予約数に影響するため、良い評価を得ることが最優先事項です。一方、ペンションでは口コミサイトの評価に加え、リアルな口コミやリピーターからの紹介も大きな集客源となります。
民泊とペンションの集客方法の違いは、「ターゲット層」と「滞在目的」の違いに起因します。民泊は主に価格重視の観光客や短期滞在のビジネス客をターゲットとするのに対し、ペンションは非日常的な体験を求める国内旅行者をターゲットとしています。
集客面では、民泊は大手プラットフォームの力を借りやすい反面、価格競争に巻き込まれやすいというデメリットがあります。ペンションは独自の魅力で勝負できる反面、認知度を高めるのに時間がかかるというデメリットがあります。どちらを選ぶかは、自分のマーケティングスキルや人脈、提供したいサービスの特性によって判断すると良いでしょう。
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法規制対応の難易度
民泊とペンションでは、事業を始める際の法的手続きや規制対応の難易度に大きな違いがあります。
民泊の法規制は、2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によって定められています。この法律により、一般住宅でも一定の条件を満たせば宿泊事業を営むことが可能になりました。民泊を始めるための主な手続きは以下の通りです。
- 住宅宿泊事業者としての届出
- 必要書類の準備(住宅の登記事項証明書、住宅の図面、設備等の基準への適合確認書、欠格事由に該当しない旨の誓約書、マンションの場合は管理規約の写しや管理組合の同意書、周辺住民への説明実施報告書など)
- 消防法の基準適合
- 各自治体の条例対応
民泊の届出から営業開始までは、スムーズに進めば1〜2ヶ月程度かかります。ただし、書類の不備があった場合や自治体の審査に時間がかかる場合は、さらに時間を要することもあります。
一方、ペンションの法規制は、「旅館業法」に基づいています。ペンションは旅館業法上の「簡易宿所営業」に分類され、開業には許可が必要です。ペンションを始めるための主な手続きは以下の通りです。
- 旅館業(簡易宿所)営業許可の取得
- 必要書類の準備(営業許可申請書、定款または寄付行為、登記事項証明書、施設の構造設備の概要、施設の平面図、施設の周囲の見取図、設備の大要、法人の役員名簿など)
- 施設基準への適合(客室の床面積は33平方メートル以上、適当な換気・採光・照明・防湿・排水の設備、宿泊者の需要を満たす適当な数の便所・洗面設備、その他各自治体が条例で定める基準)
- 消防法の基準適合
- 食品衛生法の基準適合
- 建築基準法の適合確認
ペンションの許可取得から営業開始までは、3ヶ月〜半年程度かかることが一般的です。特に新築の場合は、建築確認から竣工検査、各種許可申請と時間がかかります。
民泊とペンションの法規制対応の最大の違いは、「届出制」と「許可制」の違いです。民泊は基本的に届出を受理されれば営業を開始できますが、ペンションは全ての基準を満たした上で許可を得なければ営業できません。そのため、ペンションの方が法規制対応のハードルが高いと言えます。
また、営業日数の制限も大きな違いです。民泊は年間営業日数が180日(自治体によってはさらに少ない日数)に制限されているのに対し、ペンションにはそのような制限はありません。通年営業を考えている場合は、ペンションの方が適しているでしょう。
法的リスクという観点では、民泊は比較的新しい制度のため、法改正や規制強化の可能性があります。実際、民泊新法施行後も、多くの自治体で独自の規制が追加されています。一方、ペンションは長年にわたって制度が確立されているため、急激な制度変更のリスクは低いと言えるでしょう。
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まとめ
民泊とペンションの違いを理解することで、自分の旅行スタイルや目的に合った宿泊施設を選べるようになります。
法律上の位置づけでは、民泊は住宅宿泊事業法に基づく届出制で年間180日以内の営業が可能です。一方、ペンションは旅館業法に基づく許可制で、通年営業が認められています。
サービス面では、民泊は自炊中心で清掃は基本的にセルフですが、ペンションは1泊2食付きで毎日の清掃サービスが提供されます。料金については、民泊は5,000円〜15,000円程度の素泊まり料金ですが、ペンションは8,000円〜15,000円程度の1泊2食付き料金です。
立地では、民泊は都市部の住宅街に多く公共交通機関でのアクセスが便利な一方、ペンションは自然豊かなリゾート地に位置し車での訪問が基本です。運営面では、民泊は初期投資100万円〜500万円程度で低コスト・低リスクで始められますが、ペンションは初期投資5,000万円〜1億円以上で本格的な宿泊業として長期的視点が必要です。
あなたの旅行スタイルや目的に合わせて、これらの違いを参考に最適な宿泊施設を選んでみてください。非日常的なリゾート体験を求めるならペンション、地元の生活を体験したいなら民泊と、使い分けることで旅の満足度がさらに高まるでしょう。
