空き家や自宅の空き部屋を民泊に貸し出せないか、あるいは賃貸物件を借りて始められないかと考えているなら、最初に決めるのは物件ではなく制度です。

旅館業法・民泊新法・特区民泊の3制度は、届出先も年間の営業日数も要件もそれぞれ分かれています。どれで運営するかを先に決めないと、物件を契約した後で手続きが全て変わることになるためです。

この記事では、制度の選び方から物件確認・初期費用・開業後の実務まで順に並べています。読み終えたあと、自分の物件と資金で始められるか・続けられるかを判断してみてください。

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民泊はどの法律で始めるかをまず決める

民泊を始めるとき最初に分かれ道になるのは、旅館業法・民泊新法・特区民泊のどの制度で運営するかという選択です。物件を探すより前に、この制度を決めておかないと後戻りになります。同じ民泊でも、営業できる日数も、求められる設備も、申請の重さも制度ごとに違うからです。

旅館業法(簡易宿所)で365日営業する

旅館業法の簡易宿所営業には、年間の営業日数に上限がありません。365日いつでも貸し出せます。営業日数を気にせず通年で部屋を回したい人が、まず候補に入れる制度です。

ただし、許可を出すのは保健所で、その手前で用途地域や消防の要件が立ちはだかります。住居専用地域では原則として営業できません。物件の場所そのものでつまずく人もいます。消防設備の基準も住宅より重く、自動火災報知設備や誘導灯の設置を求められます。

そのため、通年営業ができるぶん、許可を取るまでの準備は他の制度より重くなります。届出で済む制度と違い、保健所と消防の両方を通す許可制で、その手間がそのまま入口の高さです。

民泊新法で年180日まで営業する

全国の住宅宿泊事業の届出住宅数(稼働中)は25,326件です(2024年7月時点・観光庁)。2024年2〜3月の宿泊者数は約31万人。この数を支えているのが、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法です。

民泊新法は、保健所の許可を取らずに都道府県への届出だけで始められます。書類を揃えて出せば営業を始められるので、副業で空き部屋を貸したい個人が惹かれるのがこの手軽さです。

ところが、その代わりに年間営業日数は180日までと決まっています。365日のうち、残りの半分は貸せません。空く日数をどう扱うかが、届出の前から問われます。届出制の入りやすさに惹かれて準備を進めた人が、この180日上限に気づいて立ち止まることもあります。

家主が不在の物件では住宅宿泊管理業者への委託も必要になり、届出だけで完結しないこともあります。手軽さと制限の両方を見てから選ぶ制度です。

180日上限の内容や、残り185日の扱いについてより詳しく知りたい場合は、以下で解説しています。

民泊の180日ルールとは?制限の理由と回避方法、違反時のリスクを解説

特区民泊で2泊3日以上から営業する

特区民泊は、民泊新法のような180日上限がなく、年間を通して営業できます。ゲストの最低宿泊日数が2泊3日以上と決められている点が、選ぶときの分かれ目です。1泊だけの短期利用は受けられないため、稼働の組み立て方も他の制度と変わってきます。

ただし、この制度を使えるのは、国家戦略特別区域に指定された地域だけです。大阪市や東京都大田区などが対象で、自分の物件がある場所が特区かどうかで選べるかどうかが決まります。特区だと思って調べたら対象外で、結局は民泊新法に戻る人もいます。

年間営業の自由はあっても、使える人をはっきり選び分けるのは、地域と最低宿泊日数という2つの条件。

民泊を始めるまでの流れ

構想から掲載まで、おおむね3か月の工程が連続します。どこかをショートカットすると後の工程で止まり、そこから先は進めません。

事業の構想を固める

最初の工程は、誰にどの地域で貸すかを言葉にすることです。民泊新法と旅館業法のどちらで運営するかは、ここで決めた相手と場所によって向き不向きが変わります。観光客を年間通して受けたいのか、出張者を平日中心に受けたいのかで、選ぶ制度も探す物件も変わってくるからです。

ところが、この出発点を飛ばして物件サイトを先に開いてしまう人がいます。誰にどの地域で貸すかを決めずに物件を見始めると、気に入った部屋が出てきても、その制度で運営できるかを判断する物差しを持たないまま申し込みに進むことになります。構想は、後の工程すべての判断基準になります。

物件を決める

物件選びで最もよくつまずくのは、契約直前にマンション管理規約をめくって民泊禁止の一文を見つけることです。気に入った部屋を確保する寸前まで進んでから、住宅宿泊事業を行ってはならないと書かれているのに気づく。そこまでの内見も交渉も、その一文でやり直しになります。

賃貸物件なら、賃貸借契約書に民泊や転貸を禁じる条項が入っていないかも確かめておきます。所有者の許可がないまま貸し出せば契約違反です。たとえば用途地域や近隣との距離を確かめないまま申し込んでしまう人は、住居専用地域だったために運営できないと後から知ります。

そのため、物件は気に入るかどうかより先に、その場所と契約でそもそも民泊ができるかを確かめてから決めます。管理規約と契約書の確認は、内見より前に済ませておく工程。

消防・建築の基準を満たす

物件が決まったら、消防法が求める設備を入れる工程に入ります。求められるのは、避難経路を示す誘導灯、火災を感知して知らせる自動火災報知設備、用途や規模に応じた消火器など。住宅として暮らすぶんには不要だった設備を、宿泊施設として後から足していくことになります。

実際に、届出の前に消防署の立ち会いで設備不足を指摘される人がいます。立ち会いを通って初めて消防適合通知書が交付され、これがないと届出の書類はそろいません。建物の構造によっては工事が加わり、見積もりが当初の想定を超えていきます。

自治体へ届出・許可申請する

申請の窓口は、選んだ制度によって分かれます。民泊新法は民泊制度運営システム(minpaku)を使って都道府県へ届け出る一方、旅館業法の簡易宿所は保健所の許可を取りにいきます。同じ民泊を始めるにしても、書類を持っていく先がまったく違うわけです。

ところが、この違いに気づかず保健所と都道府県を行き来する人もいます。簡易宿所のつもりで都道府県に問い合わせたり、新法のつもりで保健所に出向いたりして、戻されてから窓口を間違えていたと分かる。どの制度で運営するかを最初に決めておけば、この往復は避けられます。窓口の確認も、書類を作り始める前に済ませておきたい一手。

設備と備品をそろえる

許可や届出の見通しが立ったら、ゲストを迎える備品をそろえます。寝具、調理器具、タオル、それに鍵の受け渡しを無人で済ませるスマートロックなど、宿泊に必要なものを一式用意することになります。住んでいた部屋をそのまま使う場合でも、不特定の人が泊まる前提でそろえ直す品がいくつも出てきます。

なかでもWi-Fiは欠かせません。外国人ゲストにWi-Fiの有無を聞かれて慌てる場面は、用意を後回しにした部屋ほど起きます。スマートロックや通信環境は、内装より地味でも予約の入りやすさに直結する設備です。

予約サイトに掲載して集客する

最後の工程が、AirbnbやBooking.comといった予約サイトへの掲載です。写真と説明文を載せ、料金とカレンダーを設定すれば、ようやくゲストを受け付けられる状態になります。ここまで来てやっと、これまでの準備が予約という形に変わり始めます。

もっとも、掲載しただけで予約は入りません。掲載したのに予約が入らず、すかすかのカレンダーを眺める日々が続くのは、開業直後ほどよくある話です。レビューがまだ付いていない部屋は検索で埋もれやすく、料金や写真を調整しながら最初の予約を取りにいく時間がかかります。掲載はゴールではなく、運営の始まりに立つ工程にすぎません。

民泊の物件は賃貸と自宅どちらがいい?

賃貸借契約書に転貸・民泊禁止の一文があると、契約後に気づいても物件を変えるしかなくなります。分譲マンションなら、管理規約の禁止条項が同じ役目を果たします。

物件を借りるか買うかより前に、その物件で民泊が禁止されていないかが、賃貸と自宅の分かれ目です。

賃貸物件で始める場合の落とし穴

賃貸物件で民泊を始めるとき、最初の関門は賃貸借契約書の条項です。多くの賃貸借契約書には、転貸(又貸し)の禁止条項が入っています。民泊は借りた部屋を旅行者に貸す形になるため、この又貸し禁止に正面からぶつかります。

契約を結んでから条項に気づいても、後戻りはききません。すでに住み始めた部屋では使えず、物件を変えるしかなくなります。

たとえばサブリース型民泊のように、大家から借りた部屋を又貸しして運営する形を考えるなら、貸主の承諾が前提になります。承諾なしで踏み切れば、又貸しそのものが契約違反です。

ところが、大家に無断で運用を始めて後から発覚する流れも起こります。近隣からの通報や、見慣れない旅行者の出入りで気づかれることもあります。

無断運用が知られれば、貸主から契約解除を通告されます。住む場所と事業の場所を、同時に失う事態。

自宅の空き部屋で始める場合の制約

自宅の空き部屋なら、又貸しの問題は起きません。では誰でも自由に始められるのでしょうか。

分譲マンションの場合、区分所有のルールである管理規約が立ちはだかります。規約に民泊禁止が明記されていれば、自分の所有する部屋でも始められません。

国土交通省の標準管理規約には民泊の可否を定める条文が用意され、禁止と定める分譲マンションも目立ちます。規約で禁止されていれば、賃貸のように物件を変えて逃げる道も残されていない。買った部屋だから何をしてもよい、という話にはなりません。

もっとも、家主が同じ建物に住む家主同居型なら、規約の壁が低く、戸建てを中心に選びやすい形になります。空き部屋の活用から考える人が、まず候補に入れる入口。

民泊を始めるのにかかる初期費用

消防設備と家具備品をそろえるだけで、開業前に数十万円が先に出ていきます。物件が決まってから動くお金とは別に、開業の前段階でまとまった現金が必要になる。ここで足りるか足りないかが、その後の運営にそのまま響いてきます。

消防設備にかかる費用

宿泊者を泊める部屋には、自動火災報知設備や誘導灯を求められるケースが多く、ふだん住んでいる住宅用の火災警報器だけでは届出が通りません。設置にかかる費用はおよそ20〜30万円程度。

たとえば既存住宅をそのまま使うつもりでも、火災報知設備を後付けする工事が必要になり、想定外の出費になる場面が出てきます。建物の構造や面積で必要な機器が変わるため、見積もりを取るまで正確な金額は読めません。先に部屋を借りてから設備費を計算すると、予算が一気に膨らんで取り返しがつきません。

家具・備品にかかる費用

家具・家電・寝具などの備品に30〜40万円程度かかります。ベッドやテーブルだけでなく、Wi-Fiルーター、寝具、調理器具、スマートロックまでそろえると、最低限のつもりでもこの水準に達します。スマートロック一つを取っても、ゲストの鍵の受け渡しを無人で回すための必需品で、ここを削ると運営の手間が一気に増えます。

実際に、開業時は必要なものだけと考えていても、ゲストの要望で買い足しが続くことがあります。電子レンジがほしい、ドライヤーの風量が弱い、食器が足りない。レビューで指摘されるたびに、一つずつ追加していく。最初の見積もりに収まらず、開業後もじわじわと出ていくお金です。

もっとも、家具備品は中古やリサイクル品で抑える余地があり、消防設備ほど金額が固定されません。どこまでそろえるかで上下する費用です。

開業後も清掃代行や管理委託など月々の費用が積み上がります。毎月の出費の全体像は、以下で解説しています。

民泊のランニングコストは月いくら?費用項目と削減のコツを解説

行政手続きにかかる費用

行政手続きそのものにかかる費用は数千円〜と、ここまでの設備費に比べれば小さい金額です。届出の書類を自分で用意して提出すれば、手数料は数千円の範囲に収まります。

ただし、行政書士へ届出代行を依頼すると30万円程度かかり、自分で出すか代行に頼むかで費用は二桁変わります。書類の準備や行政とのやり取りを時間で買うか、自分の手間で済ませるか。物件を契約する前に、その物件で民泊が認められているか、どの制度で運営するかを先に確かめておけば、代行に頼む前に判断できる材料がそろいます。

民泊を始めた後に待っている仕事

深夜、外国人ゲストから「ここってWi-Fiある?」と聞かれて固まる。届出が受理されて開業した後に待っているのは、こうした場面の連続です。

予約管理とゲスト対応

開業すれば予約が勝手に埋まる、とはいきません。Airbnbのメッセージや予約サイトの問い合わせには、宿泊前の質問が届きます。設備のこと、最寄り駅からの行き方、チェックインの時間。返信が遅れれば、その間に別の宿へ予約が流れて取り逃すこともあります。

たとえば予約が全然入らず、すかすかのカレンダーを眺める日が続く時期。逆に予約が重なれば、問い合わせ対応とスケジュール調整が同時に走ります。返信は宿泊者がいる時間に合わせて発生するため、深夜0時を過ぎてから鍵が開かないと連絡が入り、朝まで対応することもあります。

チェックインと当日対応

外国人ゲストが宿泊者の多くを占めるなら、案内は日本語だけでは通じません。深夜のWi-Fiの質問に始まり、家電の使い方、ゴミの分別、最寄りのコンビニまで、聞かれることは途切れない。翻訳アプリを片手にやり取りする場面が日常になります。

チェックイン自体は、鍵の受け渡しをどうするかで作業量が変わります。たとえばスマートロックを入れれば、暗証番号を伝えるだけで対面が要らなくなる。ただし、暗証番号が通らない、操作が分からないといった連絡はそのぶん増えます。

そのため、多言語の案内文と、トラブル時の問い合わせ窓口はあらかじめ用意しておく必要があります。設備を整えても、対応そのものが消えるわけではありません。

清掃とリネンの回転

清掃は、民泊を始める前に想像していた以上に重くのしかかります。シーツやタオルのリネン交換、水回りの掃除、ゴミの処理。これをチェックアウトとチェックインの間に終わらせなければなりません。間隔が短い日は、午前のチェックアウト直後から作業に入り、午後のチェックインまでに仕上げる回転です。

たとえば前日のチェックアウト後に汚れが残っていると分かれば、当日の朝6時から現場へ向かうことになります。翌日の予約が入っているのに清掃スタッフが来ず、朝8時に自分で現場へ走った、という場面も起きる。掃除に追われるうちに、何のためにこれを始めたのか分からなくなる、という人もいます。

もっとも清掃代行を頼めば自分の手は空きますが、そのぶん費用が乗ります。稼働させるほど避けて通れないのが、リネンの回転と清掃の段取り。

家主不在型は管理業者への委託が必須

家主が物件に住まず、宿泊者と同じ建物にいない運営は、住宅宿泊事業法上の家主不在型にあたります。この型で求められるのが、住宅宿泊管理業者への委託。遠方に住みながら自分で遠隔管理しようとして、委託が義務だと後から知る人も少なくありません。

委託先に任せられるのは、予約対応や清掃手配、緊急連絡の一次対応。ただし手数料は宿泊売上の2〜3割が相場で、収支計算に最初から織り込む必要があります。家主居住型なら自分で運営できますが、不在型を選ぶ時点で委託コストは固定費になります。

そのため物件を契約する前に、その物件で家主居住型と不在型のどちらになるかを確かめておくと、開業後の作業量と費用の見通しが立てやすくなるでしょう。

管理業者の選び方や委託範囲の決め方は、以下で解説しています。

民泊を経営するメリット・デメリットとは?管理方や収益の安定の方法など解説

始める前に知っておきたい民泊のリアル

民泊を始めた人の3人に1人以上が、数年以内に撤退しています。観光庁のデータでは届出累計から廃止件数を引くと廃業率は35〜38%の水準にあります。届出住宅のうち実際に稼働している物件は一部にとどまり、立地や運営体制によっては黒字化するまでに相当の時間がかかります。

始めやすさと、続けられるかどうかは別の話。届出を出せば儲かる、という前提はここで崩れます。

数字の重さは営業日数にも表れます。民泊新法で運営する場合、営業できるのは年間180日まで。残りの185日は、物件があっても貸せません。固定費だけが動き続ける半年が、収支計算からそっくり抜け落ちます。

古民家を800万円かけて買い、リノベーションまで済ませたのに、稼働率35%で年利益は30万円。回収まで40年を超える試算になった例もあります。

もっとも、これは民泊が成立しないという話ではありません。物件を契約する前に、どの制度で運営するか、その物件で民泊が禁止されていないかを確かめてから動けば、ここで挙げた撤退側に回るリスクは下げられます。儲かる話に乗る前に、続けられるかを冷静に見る。判断材料を一つずつ揃えるところから始まります。

実際に撤退に至った事例と、各失敗パターンの対処法は、以下で解説しています。

民泊経営が失敗する7つの理由と対策|失敗パターンを知って収益を確保する方法

民泊の始め方は大きく2つある

更地から立ち上げるか、すでに予約が入っている民泊をそのまま買って引き継ぐか、入り口は2つに分かれます。

選び方で、開業までにかかる時間も、最初に背負うリスクも変わってきます。

ゼロから物件を探して自力で立ち上げる

ひとつ目は、物件探しからすべて自分で進める経路です。

物件探し・届出・集客という3つの工程を、順番にこなしていきます。

物件が決まり、行政への届出が通っても、それで予約が入るわけではありません。レビューがゼロのページは検索結果でも埋もれ、最初の数か月はカレンダーが空いたまま動かない期間が続きます。

たとえば内装と備品を整え、撮影した写真を掲載し、価格を調整しながら、最初の1件の予約を待つ。この立ち上げ期に売上が出ない一方で、ローンや家賃の支払いは初月から始まります。

物件選びから運営の仕組みまで自分で組み立てられる代わりに、軌道に乗るまでの数か月は持ち出しで支える前提になります。

実績のある民泊を買って引き継ぐ

立ち上げの空白期間を避けたいなら、すでに動いている民泊を買って引き継ぐ選択肢があります。

すでに予約が入り稼働実績のある物件を、許認可ごと引き継ぐ形です。運営の実態がわかった状態で受け取れるので、開業初日から客室が埋まり、初月から売上が立ちます。

ゼロから立ち上げる経路は、軌道に乗らないまま早期撤退するリスクが大きいところです。実績のある物件を選べば、過去の稼働データやレビューを見たうえで判断できるぶん、いきなり赤字物件をつかむ確率を下げられるでしょう。

ただし、売り手が個人とのやり取りだけでは、稼働率や近隣トラブルの有無まで正確に確かめるのは難しくなります。そこで使われるのが、民泊売買やM&A仲介、事業譲渡といった専門の仲介です。稼働実績を数字で確かめてから購入の判断ができるので、ゼロ立ち上げにくらべてリスクの見通しが立てやすくなります。

民泊のM&Aや事業譲渡の手法と注意点は、以下で解説しています。

民泊M&Aとは?物件譲渡などの手法やメリット、デメリットなど解説!

民泊の始め方に関するよくある質問

賃貸で借りた部屋で勝手に民泊を始めても大丈夫ですか

おすすめしません。賃貸借契約には転貸や又貸しを禁じる条項が入っていることが多く、無断で民泊に使うと契約違反になります。発覚すれば契約解除や立ち退きの対象です。

物件を契約してから民泊禁止だと気づくのでは、手遅れになります。借りる前に契約書の使用目的を確認し、貸主から民泊利用の書面承諾を取るのが先です。承諾が取れない物件は、どれだけ立地が良くても候補から外れます。分譲マンションの一室を借りる場合は、管理規約で民泊が禁止されていないかもあわせて見ておきます。

副業で民泊をやって本業の会社にバレませんか

完全に隠し通すのは難しいです。住宅宿泊事業の届出は、屋号や事業者名が観光庁の公開情報に載ります。所得が増えれば住民税の額が変わり、給与天引きの会社では経理が気づくきっかけになります。

そのうえ民泊は、想像より手がかかります。深夜0時過ぎにゲストから鍵が開かないと連絡が入り、朝まで対応した夜。前日のレビュー返信に1時間かかり、本業の準備が後回しになった日。こうした連絡対応が平日の昼夜を問わず割り込んできます。

会社の就業規則で副業が許可制なら、隠れて始めるより先に申請を通しておくほうが安全です。

自分が住んでいない物件を遠隔で無人運営できますか

仕組みのうえでは無人運営も可能です。スマートロックや遠隔チェックインを使えば、現地で鍵を手渡さずにゲストを迎え入れられます。

ただし、家主が物件に住んでいない家主不在型では、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務づけられています。自分一人でゲスト対応から清掃手配まで遠隔でこなすのは、現実には回りません。給湯器が故障したとゲストから連絡が入っても、現地の業者手配は遠隔では時間がかかります。

遠隔をうたっても、最後は誰かが現地に立ちます。委託する管理会社へ払う手数料は、家主不在型の節で触れた水準が毎月の固定費としてのしかかるため、収支計算にはこれを最初から織り込んでおきます。

年180日しか営業できないなら残りの185日はどうすればいいですか

民泊新法を選ぶと、年間の営業日数は180日が上限です。残り185日をどう扱うかは、制度選びの段階で決めておく問題になります。

ただし、埋め方は大きく分かれます。365日通年で貸したいなら、そもそも民泊新法ではなく旅館業法の簡易宿所や特区民泊を選ぶ。年180日のまま割り切るなら、空く期間をマンスリー賃貸や自分用のセカンドハウスに回す手もあります。

物件を契約した後に180日制限へ気づくと、残り半年が遊んだままコストだけ出ていきます。残りの日数の使い道は、物件を契約する段階で決めておきます。

資金やマンパワーがない個人でも始められますか

持ち家を使えば、物件取得費はかかりません。届出制の民泊新法なら行政申請も数千円から始められ、入口の金額だけ見れば個人でも届きます。

もっとも、始められることと続けられることは違います。先に挙げた古民家の例のように、稼働率が伸びない物件では回収まで何十年もかかり、想定をはるかに超えることがあります。

予約対応・清掃手配・委託コストが毎月のしかかり、一人で抱え込んだ末に早期で手放す人が後を絶ちません。資金やマンパワーが乏しいまま一人で抱え込むなら、市町村が運営する民泊サポートのプログラムに乗る、最初から管理会社へ委託するといった体制を先に組んでおくほうが続きます。

まとめ

民泊を始められるかは、物件を契約する前にどの制度で運営するかを決め、その物件で民泊が禁止されていないかを確かめたかで大きく変わります。住宅宿泊事業法で届出を出すのか、簡易宿所として旅館業法の許可を取るのか、特区民泊の認定を受けるのか。選んだ制度によって、年間営業180日の上限がかかるかどうかも、用意する消防設備や備品の費用も変わってきます。

物件を先に契約してから制度を考えると、管理規約で民泊が禁じられていた、用途地域で許可が下りなかった、という壁に後から突き当たります。届出や許可の手続きそのものは個人でも進められますが、契約前の制度選びと条件確認を飛ばすと、開業前にやり直しが発生します。

そのうえで、届出を出した事業者のうち観光庁データ(届出累計から廃止件数を逆算)で35〜38%が廃止に至っています。予約への返信、チェックイン前後の清掃、トラブル対応は毎日続き、管理業者に委託すれば売上の一部が手数料として出ていきます。儲かるという話だけを信じて飛び込むと、新法で営業できない残り半年分の空室と固定費だけが残ります。

どの制度で運営し、その物件で民泊ができるかを先に確かめてから、初期費用と運営の手間に見合うかを冷静に見積もる。この順番が、民泊の始め方の出発点です。