民泊事業の立ち上げを検討する中で、申請手続きの複雑さに頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。民泊申請には法律の種類ごとに異なる手続きや必要書類があり、初めての方にとって大きな負担となります。
本記事では、民泊申請代行サービスの費用相場から、含まれるサービス内容、必要書類、信頼できる業者の選び方まで、詳しく解説します。
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民泊申請代行の費用相場はいくらなのか?

民泊事業を始めるにあたり、申請代行の費用は重要な検討要素になります。法律の種類によって必要な手続きや審査基準が異なるため、申請代行の費用も法律ごとに異なる傾向にあります。
それでは、各法律における申請代行の具体的な費用について確認していきましょう。
民泊新法に基づく申請代行の費用
民泊新法に基づく届出の申請代行費用は、一般的に15万円から25万円の範囲で設定されています。この費用には、届出書類の作成、関係部署との事前相談、物件調査、図面作成などの基本的なサービスが含まれます。
物件の規模や構造によって追加費用が発生する場合もあり、特に消防用設備等点検費用は物件の床面積に応じて3万円から10万円程度必要になります。
さらに、建築基準法の用途変更が必要な場合は、追加で10万円から15万円程度の費用が見込まれます。
旅館業法に基づく申請代行の費用
旅館業法における簡易宿所の許可申請代行費用は、通常25万円から40万円の範囲となります。保健所への申請書類作成、消防署との協議、図面作成、現地調査などの業務が含まれます。
申請内容の複雑さや物件の状況により、設備工事や改修工事の費用が別途必要になる場合があります。具体的には、非常用照明の設置で5万円から10万円、消火器の設置で1万円から3万円などの費用が追加で発生します。
特区民泊の申請代行にかかる費用
特区民泊の認定申請代行費用は、20万円から35万円程度が一般的な価格帯です。申請書類の作成、事前相談、物件調査に加え、特区独自の要件確認や書類準備なども含まれます。
特区民泊は地域によって規制内容が異なるため、追加の安全対策や設備設置が必要になる場合があります。
例えば、防犯カメラの設置費用として3万円から8万円、鍵の交換費用として1万円から3万円程度の追加費用を見込む必要があります。
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民泊申請代行サービスの内容は何が含まれる?

民泊申請代行サービスは、申請に関わる様々な業務を一括して代行することで、事業者の負担を軽減します。申請から許可取得までの一連の流れを専門家がトータルでサポートする体制が整えられています。
それでは、具体的なサービス内容について見ていきましょう。
申請書類の作成と提出代行
申請書類の作成では、物件情報や事業計画などの必要事項を正確に記入し、行政機関が求める形式に沿って書類を整えます。特に重要な図面作成では、建築基準法や消防法の基準に適合した詳細な平面図や立面図を作成します。
提出時には、行政機関への事前相談で指摘された修正点を反映し、不備のない状態で申請書類を提出します。また、添付書類の取得代行や原本証明などの手続きも含まれます。
行政機関との交渉や相談対応
保健所や消防署などの行政機関との事前相談や協議を代行します。特に法的解釈が必要な案件では、行政担当者との綿密な打ち合わせを行い、認可取得に向けた調整を行います。
各行政機関からの指摘事項や要望について、専門的な見地から対応策を提案し、円滑な許可取得へと導きます。必要に応じて現地での立会いにも対応し、行政担当者との実地確認も行います。
物件調査と適合性確認
物件の現地調査では、建築基準法や消防法などの法令基準への適合性を確認します。非常口や避難経路の確保、防火区画の設置状況など、安全面での要件を詳細にチェックします。
調査結果に基づき、必要な改修工事や設備設置の提案を行い、法令基準を満たすための具体的な対策を示します。物件の構造や設備状況に応じて、最適な改善プランを提示します。
消防法関連の手続きサポート
消防設備等設置届出や点検報告書の作成、消防用設備等着工届の提出など、消防法に関する各種手続きを代行します。自動火災報知設備や誘導灯などの設置位置を図面上で検討し、消防署との協議を行います。
設備業者との連携により、消防用設備の設置工事や点検作業の手配も代行可能です。設置後の検査立会いや完了検査の対応まで一貫してサポートします。
申請後のフォローアップ対応
申請から許可取得までの進捗管理を行い、行政機関からの追加要望や指摘事項に迅速に対応します。許可取得後も、営業開始に向けた各種届出や標識の掲示など、必要な手続きをサポートします。
定期的な報告義務や設備点検など、継続的な法令遵守に関する助言も提供します。必要に応じて保健所の立入検査への立会いや、不明点の問い合わせ対応なども行います。
民泊申請の必要書類とは?

民泊事業を始める際には、法令に基づいた適切な書類の準備が不可欠です。申請には法定の様式に加え、添付書類の提出も求められます。
それでは、申請に必要な具体的な書類の内容について確認していきましょう。
住宅宿泊事業届出書
住宅宿泊事業届出書は、民泊事業を営む上で最も基本となる申請書類です。届出書には、事業者の基本情報、営業区域、宿泊室の床面積などの詳細な情報を記載します。
住所や連絡先などの基本情報に加え、管理業務の実施方法や安全確保措置の内容などの具体的な運営計画も記載が必要です。特に、緊急時の連絡体制や宿泊者の把握方法については、実効性のある内容を示す必要があります。
住宅の登記事項証明書
登記事項証明書は、物件の所有権や権利関係を証明する公的な書類です。申請日から3ヶ月以内に発行された原本が必要となり、物件の所在地や面積、所有者情報などが確認できる内容でなければなりません。
賃貸物件の場合は、所有者からの民泊営業の承諾書も併せて提出する必要があります。区分所有建物の場合は、管理規約や管理組合からの許可証明も求められます。
住宅の図面
住宅の図面には、各階の平面図、配置図、立面図などが含まれます。図面には居室の用途や床面積、非常口の位置、避難経路などを明確に表示する必要があります。
特に重要なのは、宿泊室や共用部分の明確な区分けと、防火設備や消防設備の設置位置の正確な記載です。図面は建築士による作成が推奨され、寸法や縮尺も正確に表示する必要があります。
消防法令適合通知書
消防法令適合通知書は、消防署による物件の安全性確認を証明する書類です。消防用設備等の設置状況や避難経路の確保など、消防法上の基準に適合していることを示します。
通知書の取得には、消防用設備等点検結果報告書や防火対象物使用開始届出書なども必要となります。設備の設置工事を行った場合は、工事業者による完了証明書も併せて提出が求められます。
民泊申請代行業者の選び方のポイントは?

民泊申請代行業者の選定は、事業の円滑な立ち上げを左右する重要な判断になります。適切な業者を選ぶことで、申請手続きの負担軽減だけでなく、確実な許可取得につながります。
それでは、業者選びの具体的なポイントを確認していきましょう。
実績と経験豊富な業者を選ぶ
申請代行業者の実績は、許可取得までの確実性を示す重要な指標です。特に民泊新法施行後の申請実績数や許可取得率は、業者の専門性と対応力を判断する基準となります。
実際の申請経験に基づく知識やノウハウは、行政機関との折衝や課題解決に活かされます。特に複雑な案件や特殊な物件での実績がある業者は、予期せぬ問題への対応力も期待できます。
料金体系を確認する
申請代行の基本料金に加え、追加で発生する費用の有無や金額を事前に確認することが重要です。物件調査費用、図面作成費用、消防設備点検費用など、すべての費用項目を明確にします。
着手金や完了時の支払いなど、料金の支払い条件も重要な確認事項です。また、申請が不許可となった場合の返金規定や、追加対応が必要になった際の費用についても確認が必要です。
サポート体制の充実度をチェック
担当者の専門知識や経験に加え、組織としてのバックアップ体制も重要な判断材料です。建築士や行政書士など、専門家との連携体制が整っているかどうかも確認します。
申請中の進捗報告や相談対応の体制、営業開始後のフォローアップ体制なども、サービスの質を判断する重要な要素です。特に緊急時や休日の対応体制は、事業運営の安定性に関わる重要事項です。
口コミや評判を参考にする
実際に申請代行を依頼した事業者からの評価は、業者選びの参考になる貴重な情報源です。特に対応の丁寧さや、予定通りの許可取得、追加費用の発生有無などの具体的な評価は注目すべき点です。
ただし、口コミ情報は個別の事例に基づくものであり、物件の状況や申請内容によって評価が異なる可能性もあります。複数の評価を総合的に判断し、自身の案件に照らし合わせて検討することが重要です。
まとめ
民泊申請代行サービスの利用には、法律の種類に応じて15万円から40万円程度の費用が必要となりますが、申請書類の作成から行政機関との交渉、物件調査、消防法対応まで、専門的なサポートを一括して受けることができます。業者選びでは、実績や料金体系、サポート体制を十分に確認することが重要です。信頼できる業者に依頼することで、複雑な申請手続きの負担を軽減し、スムーズな事業開始が可能になります。専門家のサポートを得ることで、法令遵守と効率的な申請手続きの両立を実現できます。