民泊物件の探し方に悩み、なかなか理想の物件が見つからないとお困りではありませんか。実は、民泊物件が見つからない背景には、法規制による物件数の制限や、物件オーナーの承諾取得の難しさなど、いくつかの要因が存在します。

この記事では、民泊物件を効率的に見つけるための具体的な方法と、物件選びで失敗しないためのポイントを詳しく解説します。

なぜ民泊物件が見つからないの?

民泊物件の探索で多くの方が直面する課題について、実務経験に基づいた解決策とともに解説します。物件探しにおける本質的な問題点を理解することで、効率的な物件探索が可能になります。

民泊可能物件の絶対数が少ない

住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により、民泊運営には様々な規制や条件が設けられました。住居専用地域での営業日数制限や、管理体制の整備など厳格な要件により、民泊に適した物件の供給が限られています。

さらに、自治体独自の上乗せ規制により、一定の地域では民泊営業が実質的に困難な状況にあります。例えば、東京都では住居専用地域での営業日数を年間180日以内に制限しているため、収益性の観点から物件オーナーが民泊利用を躊躇するケースが多くみられます。

各地域の不動産業者によると、民泊向け物件の問い合わせに対して、実際に供給できる物件は全体の10%程度にとどまっているという現状があります。

物件に対する要求が高すぎる場合がある

初めて民泊事業に参入する方の多くは、立地条件や設備面で理想的な条件を求める傾向にあります。駅から徒歩5分以内、観光地へのアクセスの良さ、築年数の新しさなど、複数の条件を同時に満たす物件を探すことは非常に困難です。

不動産投資のプロフェッショナルたちは、投資初期段階では立地よりも収益性を重視することを推奨しています。実際の運営データによると、駅から多少離れていても、清潔で快適な空間を提供できれば、高い稼働率を維持できる事例が多く報告されています。

物件探索の初期段階では、必要最低限の条件に絞り込むことで、選択肢を広げることが重要です。

探し方の知識が不足している

民泊物件の探索には、通常の賃貸物件とは異なるアプローチが必要です。一般的な不動産ポータルサイトでは、民泊利用可能物件が明示されていないことが多く、効率的な物件探しができない状況に陥ります。

実務経験者の間では、不動産業者との直接的な関係構築が重要視されています。民泊特化型の不動産仲介業者や、地域密着型の不動産会社と連携することで、物件情報へのアクセスが格段に向上します。

また、物件所有者向けセミナーや不動産投資家のコミュニティに参加することで、市場に出回る前の物件情報を入手できる可能性が高まります。

物件オーナーの許可が必要

賃貸物件で民泊事業を始める場合、物件オーナーから転貸の許可を得る必要があります。多くのオーナーは、安定した長期賃貸を好む傾向にあり、民泊利用への許可を得ることは容易ではありません。

不動産管理会社の調査によると、賃貸物件オーナーの約80%が民泊利用に対して否定的な見解を示しています。この背景には、近隣トラブルへの懸念や、建物の価値低下への不安があります。

オーナーの承諾を得るためには、具体的な運営計画や、トラブル対応体制の説明、さらには賠償保険の加入など、万全の準備が求められます。

民泊物件を探すための効果的な方法とは?

物件探しの効率を高めるには、複数の探索方法を組み合わせることが重要です。これから紹介する6つの方法は、実際の民泊経営者たちが成功を収めてきた実践的なアプローチです。

それぞれの手法の特徴を活かし、理想の物件との出会いにつなげましょう。

民泊専門ポータルサイトを活用する

民泊専門のポータルサイトには、一般の不動産サイトには掲載されない物件情報が集約されています。これらのサイトでは、民泊利用を前提とした物件情報が豊富に掲載されているため、条件に合う物件を効率的に見つけることができます。

各サイトには物件の詳細な利用条件や、実際の運営収支データが掲載されているケースもあり、投資判断に必要な情報を得ることができます。特に、物件の所在地における稼働率データや、周辺施設の情報など、民泊運営に特化した情報が充実しています。

物件情報は日々更新されるため、定期的なチェックを欠かさないことが重要です。気になる物件は即座に問い合わせることをお勧めします。

民泊運営代行会社に相談する

民泊運営代行会社は、物件探しから運営までをトータルでサポートするノウハウを持っています。これらの会社は、独自のネットワークを活用して物件情報を収集しているため、市場に出回っていない優良物件の情報を持っていることがあります。

運営代行会社との相談では、物件探しだけでなく、収支シミュレーションや必要な許認可の取得支援など、実務的なアドバイスを得ることができます。運営実績に基づいた具体的な助言は、物件選びの重要な判断材料となります。

代行会社選びの際は、運営実績や顧客評価を確認し、信頼できる会社を選定することが大切です。
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住宅宿泊事業者の届出一覧を確認

各自治体が公開している住宅宿泊事業者の届出一覧には、民泊営業が認められている地域や物件の情報が掲載されています。この情報を活用することで、民泊営業が可能な地域を特定し、効率的な物件探しにつなげることができます。

届出情報には、物件の所在地や営業形態などが記載されており、その地域における民泊市場の動向を把握することができます。特に、競合が少ない地域を見つけることで、新規参入のチャンスを見出すことができます。

定期的に更新される届出情報を確認することで、市場動向の変化にも対応できます。

地元の不動産会社をまわる

地元密着型の不動産会社は、地域特有の事情や物件オーナーとの関係性を持っています。これらの会社を直接訪問することで、オンラインでは得られない詳細な物件情報や、地域特有の規制情報を入手することができます。

不動産会社との対面での相談では、具体的な運営プランを提示することで、物件オーナーへの交渉をスムーズに進めることができます。特に、管理体制や緊急時の対応方法など、オーナーが懸念する事項への具体的な対策を示すことが重要です。

地域の複数の不動産会社と関係を構築することで、情報収集の幅が広がります。

M&Aサイトで居抜き物件を探す

M&Aサイトには、すでに民泊営業の実績がある物件の譲渡情報が掲載されています。これらの物件は、必要な許認可や設備が整っているため、スムーズな事業開始が可能です。

居抜き物件の取得では、既存の顧客基盤や運営ノウハウも引き継ぐことができ、初期投資のリスクを抑えることができます。特に、高い稼働率を実現している物件では、収益性の予測が立てやすいメリットがあります。

物件の価値評価では、過去の運営実績や将来の収益性を慎重に検討することが重要です。
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空き家バンクを活用する

各自治体が運営する空き家バンクには、地方の空き物件情報が豊富に掲載されています。これらの物件は、比較的安価で取得できる可能性が高く、初期投資を抑えた民泊運営が可能です。

空き家の活用には、自治体による補助金や支援制度を利用できるケースがあります。特に、地域活性化を目的とした民泊事業には、手厚い支援が受けられることがあります。

物件の改修費用や、アクセス面での課題を十分に検討することが必要です。

民泊物件探しで陥りやすい落とし穴とは?

民泊事業の成否は、物件選びの段階で大きく左右されます。実際の現場で数多く見られる失敗事例から、物件探しにおける重要な注意点を解説します。適切な知識を持って物件探しに臨むことで、これらのリスクを回避できます。

事前調査なしでの契約は危険

物件の外観や立地条件だけで判断し、契約を急いでしまうケースが少なくありません。実際の調査データによると、事前調査が不十分だった事業者の約70%が、運営開始後に深刻な問題に直面しています。

物件選びでは、建物の構造上の制限や、自治体による規制内容を詳細に確認する必要があります。特に、住居専用地域での営業制限や、管理規約による制限事項は、事業の継続性に大きな影響を与えます。

また、近隣住民との関係性も重要な確認事項です。過去の民泊トラブル事例では、近隣住民との事前調整が不十分だったことが原因となるケースが多く報告されています。

消防法の基準を満たさない物件

消防法の基準は民泊運営において特に重要な要件ですが、この点を見落として契約してしまう事例が多発しています。消防署への確認によると、民泊申請時の不適合率は約40%に達しています。

具体的には、非常用照明の設置や、消火器の配備、避難経路の確保など、細かな規定が設けられています。これらの基準を満たすための改修工事には、予想以上の時間と費用が必要になることがあります。

物件検討の際は、消防法適合のための具体的な対策と、必要な工事費用を事前に算出することが重要です。建築士や消防設備士への相談を通じて、専門的な見地からの助言を得ることをお勧めします。

想定外の改装費用発生

改装費用の見積もりが甘く、予算オーバーに陥るケースが頻発しています。民泊運営者の実例では、当初の見積もりの1.5倍から2倍の費用が発生したという報告が多く見られます。

特に注意が必要なのは、給排水設備の改修や電気容量の増設、防音対策などの構造的な工事です。これらの工事は、建物の状態によって費用が大きく変動します。築年数の古い物件では、想定以上の補修や改修が必要になることがあります。

また、宿泊施設としての快適性を確保するための設備投資も必要です。エアコンの増設や、家具・家電の購入など、運営に必要な備品にも相当の費用がかかります。事業計画では、これらの初期投資を含めた総合的な資金計画を立てることが不可欠です。

投資判断の際は、改装費用に加えて、予備費として総工事費の20%程度を見込んでおくことが推奨されます。また、改装工事の見積もりは、複数の業者から取得し、内容を詳細に比較検討することが重要です。

物件探しで失敗しないための重要ポイントは?

民泊物件の選定には、表面的な条件だけでなく、多角的な視点からの検討が必要です。長年の運営実績を持つオーナーたちの経験から、物件選びの核となる重要ポイントをお伝えします。これらの要素を総合的に判断することで、持続可能な民泊運営が実現できます。

エリアの需要をしっかり見極める

立地選びは事業の収益性を大きく左右する要素です。宿泊需要の高いエリアを見極めるには、観光統計データや周辺施設の状況など、複数の指標を分析する必要があります。

外国人観光客の動向調査によると、都市部では観光名所へのアクセスの良さが重視される一方、地方部では独自の観光資源や体験型コンテンツの充実度が重要視されています。特に、インバウンド需要の多いエリアでは、空港や主要駅からのアクセス性が集客に大きく影響します。

また、周辺の宿泊施設の稼働状況や価格帯を調査することで、市場の競争環境を把握できます。実際の運営者データでは、競合施設が多すぎるエリアよりも、適度な競争環境があるエリアの方が、安定した稼働率を実現できています。

物件の安全性と快適性を確認

民泊施設として運営するには、建物の構造や設備面での要件を満たす必要があります。特に重要なのは、耐震性能や防火設備、換気システムなどの安全面に関わる要素です。

建築士による診断では、築年数が古い物件でも、基本構造が健全であれば、適切な改修工事により快適な宿泊施設として生まれ変わることが可能です。ただし、水回りや電気設備の状態によっては、大規模な改修が必要になる場合があります。

宿泊者の快適性を確保するためには、防音性能や空調設備の効率性も重要な検討項目です。実際の運営者からは、これらの要素が口コミ評価に直結するという報告が多く寄せられています。

運営コストを含めた収支計画

物件取得費用だけでなく、運営に関わる全てのコストを詳細に検討することが重要です。固定費として、建物の維持管理費、公共料金、保険料などが発生し、変動費には清掃費用やアメニティの補充費用などが含まれます。

実績のある運営者の経験では、月間収入の30〜40%程度が運営コストとして必要になります。特に、清掃スタッフの確保や緊急時対応体制の整備など、人的リソースに関わるコストは慎重な見積もりが必要です。

また、定期的な設備更新や修繕費用も考慮に入れる必要があります。家具や家電の耐用年数を考慮し、計画的な更新のための積立金を設定することが推奨されます。

物件の将来性まで考慮する

長期的な視点での物件価値の変動を予測することも重要です。エリアの開発計画や人口動態の変化、交通インフラの整備状況などが、将来の事業環境に影響を与えます。

不動産市場の分析データによると、再開発計画が進行中のエリアや、新たな交通網の整備が予定されているエリアでは、物件価値の上昇が期待できます。一方で、人口減少が進むエリアでは、将来的な需要の低下に注意が必要です。

また、建物自体の経年劣化による維持管理コストの増加も考慮に入れる必要があります。築年数による減価償却を適切に計算し、将来的な売却や用途変更の可能性も含めた長期的な事業計画を立てることが重要です。

まとめ

民泊物件を見つけるには、物件探しの基本的な知識を身につけ、複数の探索方法を組み合わせることが重要です。物件の絶対数が限られている現状では、立地や設備などの条件にこだわりすぎず、収益性や将来性を重視した選定を行うことがカギとなります。また、事前調査の徹底や、運営コストを含めた詳細な収支計画の立案により、持続可能な民泊事業の展開が可能となります。これらの要素を総合的に判断し、慎重に物件選びを進めることで、理想の民泊物件との出会いにつながります。