特区民泊の運営を検討中の事業者や物件オーナーの方は、認定要件や営業制限など、具体的な条件の確認に頭を悩ませているのではないでしょうか。

本記事では、特区民泊の基本的な仕組みから、他の民泊制度との違い、メリット・デメリット、向いている人の特徴まで、詳しく解説します。特区民泊参入の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
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特区民泊とは?

部屋

特区民泊とは、国家戦略特別区域法に基づいて行われる民泊のことをいいます。国が指定した国家戦略特区内において、一定の要件を満たした施設で、年中無休での民泊営業が可能となる制度です。

特区民泊を始めるには、まず特区内の自治体から認定を受ける必要があります。認定を受けるための要件としては、施設の衛生面や安全面での基準をクリアすることが求められます。

また特区民泊では、通常の民泊と異なり、営業日数に制限がありません。年間を通して宿泊者を受け入れることができるため、安定的な収益が見込めるのが大きな特徴といえるでしょう。

認定要件の具体的な内容

特区民泊の認定を受けるためには、施設の面積や設備など、一定の要件を満たす必要があります。

主な認定要件

  • 宿泊室の床面積が9㎡以上であること
  • 適切な広さの台所、浴室、トイレ、洗面設備などを備えていること
  • 非常用照明器具や消火器などの防災設備が設置されていること
  • 宿泊者名簿を備え、宿泊者の本人確認を行うこと

このように、特区民泊を営業するには、一般的な賃貸物件とは異なる設備基準をクリアしなければなりません。

民泊新法との違いは何?

特徴

民泊新法と特区民泊は、民泊を行うための法的根拠となる制度ですが、いくつかの重要な点で異なります。それぞれの制度の主な違いを比較し、特徴を整理していきます。

項目特区民泊民泊新法旅館業法(簡易宿所)
営業日数制限なし年間180日以内なし
最低宿泊日数2泊3日以上なし1泊2日以上
最低床面積1部屋25㎡以上3.3㎡/人3.3㎡/人
管理業者委託不要不在時のみ必要不要

営業日数の制限を比較

まず大きく異なるのが、年間の営業日数に対する制限です。民泊新法では、原則として年間180日までと営業日数が制限されています。これは、民泊を本業としてではなく、副業的に運営することを想定しているためです。

一方、特区民泊には営業日数の制限がありません。年中無休で営業することが可能なため、民泊を主要な収益源とすることができるのです。物件の稼働率を高く保ち、安定した収益を狙うことができます。

宿泊期間の違い

民泊を利用する宿泊者の連続宿泊可能期間にも、違いがみられます。民泊新法では、同一人物が連続して10日を超えて宿泊することはできません。あくまで短期滞在用の宿泊施設としての利用に限定されるわけです。

これに対し、特区民泊では、連続180日までの長期滞在が可能なっています。月単位、年単位の中長期の利用ニーズにも対応しやすいため、安定的な収入が見込めます。

申請手続きの難易度

民泊を始めるための申請手続きの面でも、違いがあります。民泊新法のもとでは、都道府県への届出が必要で、比較的簡易な手続きで民泊営業が可能です。書類を提出し、必要な措置を講じれば足ります。

一方、特区民泊の場合は、自治体からの認定が必要となります。安全性や衛生面での厳しい基準をクリアし、必要書類を揃えて申請する必要があるため、手続きの難易度はやや高くなります。

施設基準の重要な違い

民泊施設の設備面での基準にも、違いがみられます。民泊新法では必ずしも個室である必要はなく、必要な設備等の規定はありますが、特区民泊よりは緩やかです。

これに対し特区民泊では、宿泊室は9㎡以上の面積を有し、台所や浴室、トイレなどの設備も適切な広さで設けることが求められます。旅館業に近い水準の構造設備基準が適用されるため、クリアするためのハードルは高くなります。

管理体制の要件比較

民泊施設の管理体制についても、それぞれ要件が異なります。民泊新法のもとでは、管理者の常駐は求められませんが、緊急時の対応体制を整える必要があります。宿泊者の安全確保のために、機械警備などを導入することが一般的です。

特区民泊の場合は、管理者またはその代理人による、施設への定期的な巡回や、宿泊者からの苦情対応が義務付けられています。責任者を定め、トラブルに迅速に対処できる管理体制の構築が求められます。

営業可能エリアの違い

最後に、営業可能なエリアについても大きな違いがあります。民泊新法では、住宅専用地域を除いて、原則として全国で営業が可能です。立地による制限はほとんどないといえるでしょう。

特区民泊の実績(令和6年11月時点)

  • 東京都大田区
  • 千葉県千葉市
  • 新潟県新潟市
  • 大阪府
    • 大阪市
    • 八尾市
    • 寝屋川市
  • 福岡県北九州市

これに対し、特区民泊で営業できるのは、国家戦略特区として指定された区域内に限られます。三大都市圏を中心に、特区の指定が進んでいますが、対象エリアは民泊新法に比べればかなり限定的です。

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特区民泊のメリットは?

メリット

特区民泊は、民泊事業者にとって様々なメリットのある制度といえます。年間を通して安定的に営業ができる点や、管理コストを抑えられる点などが、大きな魅力となっています。

事業の採算性を高められる特区民泊の優位性を整理していきましょう。

年間を通した営業が可能

特区民泊の大きなメリットの一つは、営業日数に制限がないことです。通常の民泊では年間180日までと営業できる日数が限られていますが、特区民泊ではそうした制約がありません。

これにより、閑散期や平日も含めて、年間を通して宿泊者を受け入れることができます。繁忙期や週末に集中することなく、施設の稼働率を高く維持できるため、安定的な収益確保につながるのです。

需要が見込める立地であれば、スケジュール管理の自由度が高い特区民泊は、より効率的な運営が可能といえるでしょう。宿泊単価の設定次第では、家賃収入をはるかに上回る収益をあげることも十分可能です。

管理委託が不要

民泊の運営には、一般に物件管理や清掃、ゲストとのやり取りなど、様々な業務が発生します。こうした管理業務を外部に委託すれば、オーナーの手間は減りますが、その分コストもかさみます。

特区民泊の場合、管理業務をオーナー自身で担うことが可能です。自主運営により、管理会社などへの委託費を抑えられるため、収益性の高い運営を実現できるのです。

もちろん、自主運営の場合は労力面での負担は大きくなりますが、その分収益率を高く保てるため、投資物件としての価値は大きいといえます。コストと手間のバランスを勘案しながら、最適な運営体制を選ぶことが重要です。

施設要件が比較的緩和されている

特区民泊では、旅館業法の適用を受ける通常の民泊に比べ、施設要件が緩和されている部分があります。例えば、玄関帳場の設置義務がない点や、各居室での冷暖房設備が不要な点などです。

こうした施設要件の緩和により、開業時の初期投資を低く抑えることができます。旅館業法の厳しい基準をクリアするための大規模な設備投資が必要なく、比較的軽微な改修ですむケースも多いのです。

既存の物件を民泊に転用する場合でも、大がかりな工事は必要なく、内装や家具の変更程度で開業できることも少なくありません。小規模な投資で、高い収益物件に生まれ変われる可能性があります。

外国人観光客の需要獲得できる

訪日外国人観光客の増加を背景に、長期滞在を希望するインバウンド需要が高まっています。ホテルや旅館だけでは宿泊施設が不足するなか、民泊へのニーズは年々増加しているのです。

特区民泊は、連続180日までの長期利用が可能なため、こうしたインバウンド需要を積極的に取り込める環境にあります。とりわけ英語圏や中華圏からの観光客の長期滞在ニーズは根強く、特区民泊との親和性は高いといえるでしょう。

インバウンド需要を意識した物件選定や情報発信を行うことで、高い入居率を見込むことができます。家具家電の設備充実はもちろん、多言語でのコミュニケーション体制も重要なポイントとなります。

安定した収益確保できる

以上のような特徴を兼ね備えた特区民泊は、年間を通じた高い収益性が期待できるビジネスといえます。開業後早期の黒字化も十分可能な上、高単価での長期運用により安定収益を実現しやすいのです。

シミュレーションを丁寧に行い、適切な事業計画を立てることがポイントです。想定家賃や初期投資額、ランニングコストなどを可視化し、目標とする稼働率での収支を試算します。こうした数値の精査を重ねることで、より確度の高い収益物件に仕上げることが可能となります。

特区民泊のデメリットは?

特区民泊には、先述のようなメリットがある一方で、いくつかのデメリットや制約も存在します。特区という限定的な区域内でのみ営業が可能な点や、一般の民泊とは異なる施設要件などがあげられます。

こうした特区民泊特有のデメリットを十分に理解した上で、物件選定や事業計画を進めることが重要といえるでしょう。特区民泊の課題と対策について見ていきます。

最低宿泊日数の制限されている

特区民泊では、利用者の最低宿泊日数が2泊3日以上と定められています。このため、1泊のみの短期利用を望む宿泊者の需要に応えることができないのです。

観光目的の短期滞在者をターゲットとした営業は難しく、中長期の利用が見込める宿泊者の取り込みが重要になります。出張者や研修目的の利用者、留学生といった、一定期間の滞在が必要な層がメインターゲットとなるでしょう。

立地によっては、こうした中長期需要の見込みが立ちにくいケースもあります。需要の厚みがどの程度あるのかを見極め、宿泊日数の制限を踏まえた上で物件を選定することが肝要です。

地域制限がある

前述の通り、特区民泊の営業が可能なのは、国家戦略特区に指定された区域内のみです。三大都市圏の一部エリアが中心で、地方都市での展開は難しいのが実情です。

このため、特区民泊への参入を検討する際は、物件の所在地が特区内にあるかどうかを最初に確認する必要があります。たとえ優良物件であっても、特区外であれば活用できないためです。

物件の絶対数が限られる以上、エリア内の競合物件の状況にも目を配る必要があります。周辺の民泊物件の供給量や価格帯を調査し、差別化要因を見出すことが重要となります。

立地面の制約は大きいものの、特区内の需要を的確に捉えることができれば、高い収益を上げることも十分に可能です。特区の指定エリアの将来性を見据え、慎重に物件選びを進めましょう。

床面積要件が厳格

特区民泊では、一般の民泊に比べて、物件の床面積要件がやや厳しく設定されています。宿泊室の床面積は原則25㎡以上と定められており、狭小物件の活用は難しいのが実情です。

一般に、民泊向けの投資物件は20~30㎡程度の物件が中心となりますが、特区民泊の場合は平均的な広さでは要件を満たせません。ある程度大きめの物件を確保する必要があるのです。

とりわけ都心部では、広い物件ほど賃料が高騰する傾向にあります。利回りを確保するためには、より高い宿泊単価設定が求められることになります。

床面積要件をクリアした上で、いかに採算が取れる物件を見つけられるかが、特区民泊経営の重要なポイントとなります。立地と広さのバランスを慎重に見極める必要があるでしょう。

消防設備の設置する義務がある

特区民泊を営業する際は、一定の消防設備を設置することが義務付けられています。具体的には、自動火災報知設備や消火器、誘導灯や誘導標識などの設置が必要となります。

こうした消防設備の設置には、一定の費用がかかります。物件の規模にもよりますが、数十万円から百万円程度の投資が必要なケースが一般的です。

加えて、消防設備は定期的なメンテナンスも欠かせません。年1回の点検が義務付けられており、費用面での負担が継続的に発生します。

参入時のイニシャルコストを低く抑えたい場合は、消防設備がすでに設置済みの物件を選ぶのも一つの方法です。ただし、設備の経年劣化などにも注意が必要で、入念な現地調査が不可欠といえます。

適切な事業計画を立てる上で、消防設備の設置費用は見落としがちな項目の一つです。物件選定の段階から、こうした設備投資の必要性を意識し、採算性の精査を行うことが重要となります。

特区民泊で民泊を始めるのに向いている人は?

特区民泊での民泊経営は、一般の賃貸経営とは異なる独特の特性があります。宿泊者とのコミュニケーションや、きめ細やかなサービス提供が求められるなど、オーナー自身の資質も問われる事業といえます。

ここでは、特区民泊になじみやすい人物像を、具体的な特徴に即して整理していきます。自身の適性を客観的に見極め、特区民泊参入の判断材料としていただければと思います。

長期滞在者の受入に意欲的な方

特区民泊では、中長期の宿泊需要の取り込みが重要なポイントとなります。インバウンドのビジネス客や留学生など、数週間から数ヶ月にわたって滞在する宿泊者への対応力が問われるのです。

こうした長期滞在者のニーズに合わせ、快適な住環境を整える意欲のある方は、特区民泊に向いているといえるでしょう。生活に必要な設備や備品をきちんと揃え、適切なメンテナンスを継続的に行っていく姿勢が求められます。

加えて、宿泊者の生活リズムを乱さないような配慮や、トラブル発生時の迅速な対処なども必要になってきます。長期的な信頼関係を築ける丁寧なコミュニケーション力のある方なら、安定的な需要確保も容易になるはずです。

特区内に物件を所有する方

特区民泊への参入を考える上で、特区内に適した物件を確保できるかどうかは非常に重要なポイントとなります。自身が所有する物件が特区内にあるのなら、新たな物件取得のハードルは大きく下がります。

また物件の広さや設備面での条件さえクリアできれば、比較的容易に特区民泊への転用が可能です。本業との兼ね合いを考えながら、遊休不動産の有効活用を図れるのは大きなメリットといえるでしょう。

新規参入者の場合、特区内の物件情報の入手が難しいこともあり、参入のハードルは高くなりがちです。その点、特区内物件をすでに所有している方は、スムーズな参入が見込めます。

ただし物件の立地や間取りなどを十分に吟味し、宿泊需要を的確に捉えられるかを見極める必要があります。自己所有物件だからといって安易に参入するのは避け、事業収支をしっかり検討することが重要です。

インターネット活用が得意な人

特区民泊の集客において、インターネットの活用は欠かせません。airbnbへの掲載やInstagramやX、フェイスブックなどのSNSを使用したWeb上でのプロモーションが宿泊者獲得の鍵を握ります。

こうしたインターネットツールに親和性が高く、Web集客のノウハウに長けている方なら、効果的な宿泊者獲得が可能となります。仲介サイトの集客力を活用しつつ、自社サイトでの直接予約の比率を高めることで、仲介手数料の節減にもつながります。

また物件の魅力を十分に伝えられる、訴求力のある物件情報の掲載も重要です。写真や文章での表現力に優れ、物件の強みを的確に伝えられる方なら、差別化も容易になるでしょう。

旅行好きで観光客目線の人

特区民泊では、宿泊者の目線に立った、きめ細かなおもてなしの提供が求められます。とりわけ観光目的での利用者に対しては、単なる宿泊施設ではない、付加価値の高いサービス提供が重要となるのです。

日頃から旅行を楽しみ、観光地の魅力探しに興味を持っている方なら、そうした観光客目線でのサービス設計も容易といえます。地域の見どころやグルメ情報に精通していれば、宿泊者の要望に沿った的確な提案も可能になるでしょう。

加えて、宿泊者との何気ない会話の中から、ニーズの本質を汲み取る観察眼も必要となります。表面的な要望に留まらず、その奥にある期待を捉え、それを超える体験を提供できるかが、満足度に直結するのです。

旅慣れている人なら、宿泊者の属性に合わせたきめ細かな対応も得意とするはずです。国内外からさまざまな人を受け入れる上で、文化の違いへの理解と適応力は欠かせません。多様なゲストの期待に応えられる感性を、日頃の観光経験から学んでおくことが重要です。

地域活性化に意欲的な人

特区民泊の運営は、その地域の観光振興にも大きな影響を与えます。宿泊者を通じて地域の魅力を発信し、交流人口の拡大を促す役割も担っているのです。

地域の活性化に意欲的で、地元への愛着をもって活動できる方なら、特区民泊での高い成果も期待できるでしょう。行政や他の事業者と連携を取りながら、地域一体となった観光振興の取り組みを推進する原動力にもなり得ます。

実際、特区民泊の運営を通じて、地域のコミュニティづくりに尽力するオーナーも少なくありません。こうした地域貢献への意識の高さは、結果として自身の事業の差別化にもつながります。地元ならではの体験価値を前面に打ち出すことで、観光客の心を掴み、リピーターの獲得も狙えます。

特区民泊の申請手続きはどうする?

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特区民泊を始めるには、自治体からの認定を受ける必要があります。ここでは、その申請手続きの具体的な流れをご説明します。事前の情報収集から、認定に至るまでの道のりを、順を追って見ていきましょう。

役所等への事前相談

特区民泊の申請を行う前に、まずは管轄の保健所や消防署に相談に行くことをおすすめします。民泊を営業するための要件や、必要な手続きについて、直接尋ねることができるからです。

保健所では、衛生面での指導を受けることになります。台所や浴室、トイレなどの設備が、一定の基準を満たしているかどうかを確認してもらいましょう。また食品衛生責任者の選任が必要かどうかも、相談に乗ってもらえます。

一方、消防署では、防火・防災対策についてアドバイスがもらえます。消防法令に適合した設備の設置が求められるため、自動火災報知設備や消火器、誘導灯の設置方法などを教えてもらうとよいでしょう。

こうした事前相談を通じて、自身の物件が特区民泊の要件を満たせるのかを確認できます。その上で、必要な設備の整備や、申請書類の準備を進めていくことが肝要です。

必要書類の準備

特区民泊の認定を申請する際は、定められた書類を揃える必要があります。まずは申請書そのものの作成が必要です。物件の所在地や間取り、設備の状況などを詳しく記入します。

申請書以外にも、添付が必要な書類があります。物件の図面や、設備の配置図などを用意しましょう。消防用設備等の検査済証や、防火対象物点検報告書などの提出が求められることもあります。

また物件所有者の同意書や、定款などの事業者情報の提出も必要です。申請者が個人の場合は、住民票の写しなども用意します。

書類の準備は、申請がスムーズに進むかどうかの鍵を握ります。抜け漏れのないよう、自治体の担当窓口で必要書類を確認しておくことが大切です。書類の不備は、申請の遅延につながりかねません。

認定申請

必要書類が整ったら、いよいよ認定の申請です。申請先は、物件所在地を管轄する自治体の担当窓口となります。

申請方法は自治体によって異なりますが、通常は窓口への直接提出か、郵送での申請となります。電子申請を受け付けている自治体もあるので、事前によく確認しておくとよいでしょう。

書類を提出したら、審査期間に入ります。自治体によって異なりますが、おおむね2週間から1ヶ月ほどかかるのが一般的です。

この間に、追加の資料提出を求められることもあります。その際は、迅速かつ丁寧な対応を心がけましょう。補足説明を求められれば、できる限り詳しく回答することが大切です。

審査の内容は、要件適合性の確認が中心となります。申請内容に不備や虚偽がないかを精査し、関係法令に照らして適格性が審査されます。

現地調査と認定

書類審査を経て、現地調査が行われることになります。自治体の担当者が実際に物件を訪れ、申請内容と相違がないかを確認します。

調査では、申請書の記載内容が正確かどうかを確かめます。間取りや設備の配置、消防設備の状況などを、実地で細かくチェックします。

現地調査で問題がなければ、いよいよ認定となります。認定通知が申請者に送付され、民泊営業が可能となります。

認定基準は自治体によって多少の違いがありますが、基本的な考え方は共通しています。利用者の安全確保を最優先に、衛生面でも一定の水準をクリアしているかを重視しています。

とりわけ重視されるのが、家主不在時の管理体制です。トラブルが発生した際に、迅速に対応できる連絡先の明示が求められます。鍵の受け渡し方法なども、しっかりと定めておく必要があります。

また宿泊者名簿の備え付けや、宿泊者の本人確認なども厳格に行うよう求められます。不適切な利用を排除し、健全な民泊運営を徹底する趣旨からの要件といえます。

特区民泊は一般の民泊に比べ、やや審査が厳しい傾向にあります。だからこそ、申請前の十分な準備と、要件の確実な充足が何より重要となるのです。

疑問点があれば、自治体の担当窓口に事前に相談するのも有効でしょう。

まとめ

特区民泊は、国家戦略特区内で、一定の要件を満たした施設による通年営業が可能な民泊制度です。民泊新法と比べ、営業日数や利用期間の制限が緩やかで、収益性の高い運営が期待できる一方、立地や設備面での要件は厳しくなっています。長期滞在者の受け入れや、物件の有効活用に意欲的な方に向いた事業といえるでしょう。参入には自治体への認定申請が必要で、事前の入念な準備が欠かせません。自身の適性を見極め、物件の特性を活かした運営を目指すことが、特区民泊成功の鍵になります。

【参考】国家戦略特区 特区民泊の実績(令和6年12月26日更新)